無言の答え
いきなり、「友達は売らない!」なんて言ってしまった。
勢いもあってのことだけど、彼に二度もタテついたことになる。
一度目は、まっちゃんとあまり仲良くするな、という意味で言われた「関わるな」に対して反発したとき。
あの時、井沢さんは冷たい目で私を見ていた。
そして今。
言ってしまった後に、それを思い出して、私の中に緊張が走る。
反発したことに、後悔はない。
だけど、彼はなんと答えるのだろう……。
さっきは勢いに任せて、強気な態度と表情で突っかかれたのに、風船がしぼむように、プシューと小さくなっていく。
(言い過ぎちゃった?)
どうしても彼の顔色を窺ってしまう。
肝心の井沢さんは、キョトンとしたような顔をしている。
少しの、考えるような間合い。
やがて小さく息をついて、少しだけ目尻を下げた。
“仕方ねーな”
そんな声が聞こえてくるようだった。
「わかった」とも、「わからない」とも言わなかったけれど、彼はあまり、感情を言葉には出さない人だったから。
その後、同期の間で、被害報告はない。
少なくとも、私が訴えた “私の同期は誘わないで” という願いだけは、聞き入れてくれたみたいだった。
また怒らせてしまうかと、一瞬不安だった。
だけど、冷たい眼差しを向けられることもなかったし、ホッとした。
気が小さいだけに、勢いに任せてしまうことが多い。
私の悪いクセ。
これは直さないといけない……そんなことを思っていた。




