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逢瀬は、プラットホームで。  作者: 椎名美雪
第二章
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付き合ってるの?

 木内さんの“あてつけ”のような行動から、それほど経たない頃、由真ちゃんから驚くようなことを聞かれた。


「ねー。椎名ちゃんと、いっちゃんてさ、付き合ってるの?」


 どんな質問なのか――予想すらしていない言葉に、ありがちな表現で“ペンを落としそうになった”。


 課の営業たちは出払っていて、事務員がいるだけだから良かったけど。

 私は何故そうなるのかと、短く聞き返した。


「え? なんで? どうしてそうなるの!?」


 否定とかナントカより、まずそっちが気になる。


「えー? だって、私達が入社した頃からさ、内輪でそうなんじゃないかって話してたんだよね」


 由真ちゃんは、冷やかし半分な目で見ている。


「井沢さんカッコイイよねー、ってみんなで言ってたんだけど、彼女いるんじゃんって思ってた」



 簡単にいうと、彼女たちにはこう見えていたようだ。


 井沢さんが何かと私に構っていて、私からもそんな雰囲気が出ていた。

 食堂に行くときも、よく一緒に行っているから。

 よく二人でいるところを見ていた。

 しかも、仲良さそう。


 ……なるほどね。


 そんな風に聞かれても、「そうだよ♪」なんて言えないんだよ。

 だって、違うんだもの。

 寂しくてもなんでも、私には否定しかできないから、


「なーに言ってるの! 付き合ってないよ~。気のせいだから」


 苦笑いするしかなくて。

 周囲には、そんな風に見られていたんだ。

 誤解されるくらい仲良さそうに見られているのに、フラレている私って?


 去年、井沢さんから貰った、ふたつのガラス細工 。

 あれからずっと、お守りのように毎日肌身離さずに持ち歩いていた。

 制服に着替えても、胸ポケットに忍ばせていた。

 割れないように綿を少しだけつめた、小さな巾着型のポーチに入れて。


 つらいことや、寂しいこと、悲しいことがあると、無意識にそのポーチに触れるクセがついている私。


 私だけが想っているのだと、改めて実感して息苦しかった。

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