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逢瀬は、プラットホームで。  作者: 椎名美雪
第二章
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ひとつの意志

 以前、井沢さんに、小さな抵抗を見せた私。

 彼もそれだけに拘るような人ではなく、仕事は普通にこなしていた。

 会話は、一時期よりも少なくなったようにも思えるけど、どうにか毎日を過ごした。


 私を宗教に誘った張本人の井沢さんは、私を引きこんだ後、私がどう活動しているのかについて、あまり触れてこなかった。


「日曜日は行くの?」くらいの言葉はあった。


 でも、彼は彼で忙しく動いているし、そもそも男女で活動が違うから、気にかけても仕方がないのかもしれない。

 私は、彼があまり触れてこない安心からか、活動から足が遠のいていた。


 それはもちろん、勧誘活動なども含めて。


 この “勧誘活動” 。

 実は私は、一度も行ったことがない。


 成田さんから、ノルマを課せられたけれど、私にはどうでも良かった。

 まず、私にはこの宗教の良さが全く理解出来ないし、それを薦めることも出来ない。


 勧誘されて嫌だったから、そんな思いを誰かにさせるのはイヤ。

 なんだかもう、全てが嫌になっていた。


 井沢さんのことは、変わらずに好き。

 だけど、振られた揚句、利用されてって……最悪。


 どう考えても馬鹿だし、滑稽だし、不毛だし。

 自分がすごく情けなかった。



 前に会った、井沢さんの同期だという女性。

 私は、あんな風にはなれない。


 あの人が、どうしてそんなにのめり込めたのかは知らないけど、私にはどんな理由であれ、夢中になんかなれなかった。


 活動期間が短いからじゃなくて、私には何の魅力も感じない。

 それだけのこと。


 こんな私が、「宗教活動に参加した」といえるのかどうか。

 集会にしか出たことがないから、彼らにしたら、参加していないも同然かな。


 名前だけの、不真面目な信者だった。



 そんな私の行動が、成田さんから井沢さんに伝えられた。

 私に一番近いのは井沢さんだから、当然のこと。


“椎名さんが全然来ません。もっと参加するように、言ってください!”


 自分が幹部だという手前もあるのか、どうなのか。

 彼自身が誘って入れた子が、不真面目な信心をしているって、解せないことだろう。それを他の人から指摘されるって、多少なりプライドが傷ついただろうな。


 以前の小さな抵抗と合わせても、彼の信用や期待を裏切ったことには違いなかった。

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