勧誘活動
宗教には付き物の、勧誘活動。「布教」とも言うよね。
それを“するように”と、上の人――成田さんから言われた。
丁度良いので、どのようなものだったのか、説明してみようと思う。
この手法は、あくまでもこの団体に限ってのことで、他の団体ではどうかは知らない。念のため。
まずは、対象者を呼び出すことから始まる。
呼び出しといっても、その辺で立ち話ではダメ。
喫茶店やファミレスなど、長い時間いられる場所に限る。
呼び出しに成功したら、慣れない最初のうちは応援要員が数名付くけど、ある程度慣れてきたら一人立ちする。
という、暗黙のルールみたいなものが存在した。
呼び出しといっても、ハナから「宗教のお誘いです!」などと言うはずがない。
まずは、当たり障りのない会話から。
「久しぶりだね! 元気? 今度会わない?」
再会を喜ぶような感じで、気さくに呼び出され、指定された飲食店に入ったら最後。
呼び出した信者と、対象者が、まずは二人で席に着く。
昔話もソコソコに、いきなり宗教の話が切り出される。
当然、対象者は驚くよね?
気味が悪くなって、帰ろうとしても、応援要員が近くで構えているから、店外に出られない。
呼び出した信者の近くの席に、応援要員があらかじめスタンバイしているから、対象者とのやり取りやら雰囲気は、丸聞こえで筒抜け。
対象者がマズイと気付いた頃には、もう遅いという訳。
四人掛けの席だとしたら、対象者は壁際とか奥に追いやられてしまう。
そうすると、出られないでしょう?
こんなことされたら、精神的に参ってしまう。
信者たちは、熱心に教義を訴えているけど、全く興味もない素人には、到底理解出来るはずがない。
でも、彼らには、そんな事はどうでもいい。とにかく、信者の数を増やすことが大事。
こんなものの何処に、説得力があるんだろうね。力技で捻じ伏せているだけだよ。
相手が感動して、自ら「入りたい!」というのならスゴイな~って思うけど、こんなの脅迫だよ。
最終的には、対象者が根負けして、教会に連行される。
それが真実の姿。
最も、精神的に不安定な人や、とにかく救いを求めている人、純粋すぎる人は、あっという間に“落ちる”というけれど。
そんな人、そうそうお目にはかかれない。
成田さんは、私にそれをしろと言う。
そして、こんな指令を出された。
今月中に、「一人入信させなさい」――――と。




