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抵抗
「あまり関わるな」
唐突な井沢さんの言葉に、頷けるはずがない。
彼としても、“仕事中も無視しろ”という無理な要求をしているのではなくて、“あまり親しくするな”という意味だったらしい。
どっちにしても、私には無理な話。
あれは命令だったのか知らないが、私は彼の言葉を無視した。
ずっと、言われるままにしてきた私が、初めて彼にNOと意思表示をしたのだ。
「そんなのヤダよ。無理に決まってるじゃん」
私なら、素直に頷くと思っていたのか、井沢さんは少し黙って私を見ていた。
気持ちを読めない、無表情な顔。
教団内で見せる、彼の表情と似ている。
瞳の奥まで凍るような、冷たい眼差し。
“目は口ほどにものを言う” という言葉があるけど、あの時、彼はきっと怒っていた。
程度は判らなくても、少なからずは、彼の反感を買ったようだった。
それでも、私にだって出来ることと出来ないことがある。好きな人に嫌われたくはないけど、友達だって切り捨てたくない。
井沢さんは、短く「あ、そう」呟くようにして、目を逸らせた。




