水面下の宗教戦争
これまで触れなかったけれど、この頃、私の身近には、もうひとつの神様がいた。
井沢さんの噂よりも、ずっと前から身近にあった。
親友のまっちゃんが、ある宗教を信仰していて、二世信者なのだそう。
「二世」というだけあり、生まれながらその道に進む運命にあったということ。彼女は、生まれついての信者だし、それが絶対。正しいとか、間違いとかではなくて、信仰が生活の一部だった。
驚いたことに、まっちゃんと同じ神様を信仰している人が、営業本部の中に、彼女を含めて三人も。
志野先輩と、私が担当している営業の一人。
もしかしたら、学生時代にも、宗教を信仰している子が近くにいたのかもしれない。たまたまそういう話を聞かなかっただけで。
それにしたって、多すぎる。
まっちゃんは普段、みんなとの会話の中では宗教の色を出さない子だった。
時折、そんな雰囲気を出すことはあっても、普通に仲良く出来る、大切な友達。
ある日、井沢さんが突然、こんなことを言いだした。
「あいつらと、あまり関わるなよ」
え?
大切な友達と関わるなって?
志野先輩とは、あまり親しくないからいいケド、営業とは仕事しないといけないし。
井沢さんにとって、一番の目障りは、まっちゃんのようだった。
事情も解らないままで頷けるはずもなく、理由を尋ねる。
細かい話は難しいから置いておき、簡単に言ってしまえば< 敵対している仲の悪い宗教団体同士 >ということだった。
くだらない理由だな、と思う私は正常なのかな?




