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逢瀬は、プラットホームで。  作者: 椎名美雪
第二章
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好きでいる意味

 初めて連れて行かれた教会で、まさかの即日入信。


 それから数回程度、仕事帰りに立ち寄っていた。好きな人に誘われるまま、流されるままの日々。

 情けないよね。

 彼に「行こう」と言われると、断れないんだから。


 あの当時、井沢さんの教団内での肩書を聞いても、「?」なだけだった。

 漢字から読み取れるのは、何かのグループの一番上にいるのかな? ということだけ。

 その役職について、私が詳しく知ったのは、更に数年が経ち、インターネットが普及してからの事。


 教団のトップ――代表や、幹部役員からの指名で決まるような役職なんだって。

 それだけの地位に行くには、どれくらいの人を勧誘して、入信させなければならなかったのか。

 気の遠くなるような人数と、時間が必要だったのだろう。


 地位は絶対的で、熱心に信心する者全ての憧れ。

 入信させればさせるほど、自分の魂のレベルが上がるんだって。

 

 変なの。


 手に入れた地位と引き換えに、彼が失ったものも多いはず。

 会社での、同僚や他の社員からの信頼とか、友達とか。


 私が考えを巡らせたって、どうにもならないようなこと。

 井沢さんは、どんな思いで入信したんだろう……?


 そんな事を考えている頃、井沢さんのかつての同期だったという女性信者に会った。彼の同期ということは、私にとって先輩にあたる。


「井沢くんの、後輩なんだって? 私もね、前に同じ会社にいたんだよ」


 たまたま、教会に来ていて会っただけだし、その人とは二回くらいしか会ったことがないけど、かなり宗教にのめり込んでいるように見えた。


 どうして、こんな風になれるんだろう?

 私も、こんな風になっちゃうのかな?

 もしかして、この人も井沢さんが好きなのかな?


 そんな考えとともに、もうひとつ頭に浮かびかけた言葉がある。

 これを実行したら、私が私ではなくなるだろう。


(私が頑張って活動したら、少しだけでもいい。振り向いてくれるのかな?)


 頭の奥で、もう一人の私が囁きかけた。

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