離れ離れ
教団では、男性と女性は活動が区別されている。
勧誘する対象は、性別を問わないそうだけど、入信させたら別々に行動しなければならない。
つまり、私は井沢さんの近くにはいられないということ。
それだけでも、教会へ向ける足が重くなるのに、行かなければ“嫌われてしまう”という不安。
教会も嫌われるのも嫌なのに、行かなくてはならない苦しみ。
半強制的にさせられているのだから、苦痛が伴うのは当然のこと。
見えない出口の前で、狼狽えるばかりだった私。
週末、日曜日などは、教団代表のお話を聞くために、教会へ出向いていた。
本人が来るのではなく、演説したビデオを見るというもの。
これがまた、気持ちが悪い。
例によって、教会の部屋に集まった信者たちが、一斉にお祈りを捧げる。
それからビデオを……というところで、ピシッと折り目正しく姿勢を伸ばした。
私から見たら、別に普通のオジサンなんだけど、彼らには神様以上か、同等の存在のよう。
私も渋々、周りに合わせてビデオを見る。
なにを話しているのか、意味が解らない。
日本語なんだろうけど、全然解らないって、どういうことなんだろう。
ああ、そっか。
解らないんじゃなくて、私が “解ろうとしなかった” だけだったんだ。
神様なんて、どうでもいい。
私には、井沢さん以外は、どうでも良い存在。
彼が私の全てだった。




