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逢瀬は、プラットホームで。  作者: 椎名美雪
第二章
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戸惑い

 仕事が終わると、井沢さんに言われたように、マクドナルドに向かった。

 その事を、友達に言って向かったのかさえ、覚えていない。本当に、それくらい動揺していた。


 普通ならば、好きな人から、人目を避けるように声を掛けられて、「帰り空いてる?」なんて聞かれたら、「もしかして!?」と思うよね?


 そんな期待を持つだろう場面でも、井沢さんは、そうじゃないから。

 甘い期待なんて、これっぽっちも持たず、ただ不安な気持ちを抱いていた。



 マックの二階席の角。

 ガラス張りになった、角のL字になっているカウンター席からは、プラットホームや駅へ通じる階段がよく見下ろせた。

 座る場所によっては、会社の方から歩いてくる人波まで見渡せる。


 何も注文せずに座ってはいられないから、ひとまずオレンジジュースを飲む。

 まだ何も起きていないけど、意味もなく胸が嫌な音を立てていた。


 ただ、怖かった。

 井沢さんから明かされるだろう、彼の「素顔」を知るのが怖かった。

 あんなに彼の素顔を知りたかったのに、今更どうして怖いんだろう?


 少しして、井沢さんが息を切らせて現れた。

 彼は、特に何も注文せず、身体だけで二階席にやってきた。


「お待たせ」


 そう言って、笑顔を見せてくれるけど、いつものように真っ直ぐには見られない。

 彼は来たばかりで、息つく暇もなく「それじゃ、行こう」戸惑う私を横目に、先を急がせた。

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