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定期券
いつもと変わらない、ごく普通の毎日が続いていた。
社会人生活にもだいぶ慣れて、朝マックをしなくても元気に出社できる。5月頃の足の重さはなんだったのか、と思わせるほどに、私は元気だった。
その日も、夕方で混雑をする駅前の道を、淳子ちゃんと楽しく笑いながら帰っていた。
駅の改札を抜け、二番線に上がる階段の手前で、私はゴミを捨てた。
投げ捨てるのではなく、ゴミ箱の中に落とす感じ。
新聞紙や雑誌など、ごく普通のゴミが目に映った。
その中に、違和感のある物が……。
ついさっき捨てたばかりなのか、ゴミの一番上に“それ”は乗っていた。
この駅から、数駅離れたターミナル駅で乗り換え、その先の駅までの定期券。
当時の定期券は、名前は手書き印刷が一般的だった。
そこに印刷されている文字に、見覚えがある。
「ねえ、淳ちゃん! コレ」
思わず、ゴミ箱からその定期券を取り出した。
「井沢さんの?」
どういう偶然、巡りあわせなんだろう。
たまたま、ゴミを捨てただけなのに。
こんな形で、彼の行き先を知るなんて。
私と淳子ちゃんは、期限の切れた定期券を、呆然と見つめた。




