双璧の営業マン
国内営業部には、二枚目な人が、もう1人いる。
彼の名前は、佐藤隆。私の5歳年上で、23歳。年頃の独身男性を放っておくはずがなく、女性社員からは、かなりの注目を浴びていた。
営業の若手二枚看板と言われる、井沢さんと佐藤さんは対照的。
まるで、〈陰〉と〈陽〉。
いつも明るく元気で、常に輪の中心にいるような存在感。仕事も熱心だし、時折見せる悪戯っ子のような一面がある、佐藤さん。
普段はクールで、進んで前面に出ていく感じではなく、場の盛り上がり次第で…というタイプの井沢さん。
この2人が揃って外に出たら、ほぼ無敵。
「勉強のために、行っておいで」と、送り出された、大手メーカー主催の展示会。そこには、陵北電機も出展していた。
広い会場には、競合会社を含めたくさんのメーカーが出展していて、似たり寄ったりの製品を見ては、「ウチのと、どう違うの?」なんて、首を傾げることも多かった。
それほど広くない出展ブースには、営業マンが2~3人で充分。本社の営業本部と、営業所の人が交代をしながら立っている。
あまり近づくと邪魔になるので、少し離れた場所で先輩2人の仕事ぶりを眺めることにした。
会社で見せる表情とは、全然違う。
熱心に仕事をしている姿を垣間見て、井沢さんだけでなく佐藤さんにも見入ってしまう。
そんな時、近くにいた女性の話し声が聞こえた。付けている名札から、主催者側の大手メーカーの女子社員だと判る。
「陵北の営業さん、カッコいいね!」
「ねね、二人ともカッコ良くない?」
――そうなんだ! 他の人にも、そう見えるのか。
当然といえば当然だが、佐藤さんには彼女がいる。ありがちな話、社内で一番の美人女性だ。しかも、彼女はとても清楚で仕事熱心。欠点という言葉が、何処にも見当たらない。真の美男美女カップルだった。




