二人を繋ぐもの
不安だった胸の内を井沢さんに打ち明けてから、気持ちが楽になった私は、元気を取り戻しつつあった。
「俺に任せろ」
井沢さんが強く言い切ったあの日から、成田さんからの連絡がパタリと途絶えた。
嘘みたいに無くなった。
けれど、井沢さんも私も、そのことには触れずにいる。私から、「お陰さまで」とか言うべき?
いや。それは違うような気がして、あえて話題にしなかった。
そして、色々と気にしてくれた、まっちゃん。その後を心配していたから、誘いが無くなったことを話した。
「良かった! 私も安心したよ」
まっちゃんと一緒に、淳ちゃんも喜んでくれる。気分が楽になったこともあり、久しぶりに寄り道をして、マックの向かいの喫茶店でお茶をした。
「これで、井沢さんと繋がる物が無くなっちゃったよ」
寂しく呟いた私に、二人は明るく笑い飛ばす。
「そんなの無くていいじゃん!」
「これで彼の態度が変わったら、その程度ってことだよ」
それもそうか……。
友達にそう言ってから、私だって繋がりが消えた後がどうなるのか、気になっていたことを思い出す。
<脱会>という切り札を出すと決めた時、私は、彼との“全てを終わらせる覚悟”をしていたはず。
そうだった。だから、これでいいんだ。それに、後悔したところで遅い。
だけど――ひとつだけ、気になっていることがある。
変な言い方だけど、私が教団から抜けたら、彼の味方といえる存在が社内にはいなくなる。
気のせい、かどうか……井沢さんが私を避ける、までではないけれど、接触を控えているような雰囲気を感じていた。
私の思い過ごしなのかは、判らないけれど。
避けられるのなら、それで仕方がない。でも、このままなんとなく……は、悲しい。
もう一度、私から声を掛けてそれでも彼が遠ざけるなら、態度を変えるのなら諦めよう。
厄介な人を好きになってしまった女の、悪あがき。




