手詰まり
心身ともにクタクタになりながら、仕方なく帰宅。
帰りたくなくても、他に行くところなどない。帰宅した私を待つのは、鬼のような母。
私はもう、これ以上母の話に付き合いたくなくて、昼間、郵便局で手続きをした内容証明の写しを出し、母に説明をした。
また激高するのが解っているから、まっちゃんのことは伏せておく。
母は、公的なものに弱い人だから、ひとまずは理解――というか、納得をしてくれた。
けど、問題はまだ残っていて。
「とりあえず、これは解った。今後は、あの女たちが来ることも、電話が掛かることもないのね?」
そう言われて、ドキリとした。そんな保障はない。
この内容証明は、母を安心させるためだけのもの。教団が納得して受理するとは到底考えられないし、私を脱会扱いするとも思えない。
そもそも、あの教団に、“脱会”という言葉などない。“手詰まり”とは、多分こういうことだ。
これはもう、井沢さんに直接話を、相談をするしかない。
彼が言いそうなことは解っている。
それでも、母から井沢さんに直接苦情とか、怒りが向けられるよりは、ずっとマシだと思うから。
(明日、聞いてみよう)
そう、心で決めるけれど、どう言葉にしようか悩んでしまう。どんな言い方をしても、内容は変わらない。
嫌われたくない気持ちが、私を一層孤独にさせる。
“お前も所詮、他のやつと同じなんだな”そんな目で見られそうで、怖かった。




