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かわいい幼馴染は俺のアレを握らないと安心して眠れないそうです……~俺の〇〇〇は片想いの彼女にとって安眠グッズがわりだと!?~  作者: Kazuchi


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可愛い妹は俺とのアレを思い出してニヤニヤしてしまう。

「……おーい未祐みゆうちゃん、私の声が聞こえてるのかな!?」


 誰かに激しく肩を揺すられ、驚いて我に返った。

 ぼんやりしてしまった理由わけは自分でも良く分かっているつもりだ……。

 今日、お兄ちゃんと二度も交わした甘いキスの味。甘いのは糖分を含んだスポーツドリンクのせいだけじゃない……。


 熱中症対策のアクシデントとは言え、その感触がまだ自分の唇に色濃く残っていた。


 ……駅前のハンバーガーショップ、怪訝な顔をして差し向かいの席に座っているのは森田千穂もりたちほちゃんだ、学校でも部活でもいつも一緒の私、赤星未祐あかぼしみゆうの親友なんだ。


「えっ!? な、何、千穂ちゃん、先取先生せんしゅせんせいの話だっけ……」


「違うよぉ!! 小説の話じゃなくて未祐ちゃんのお兄さんのことだよ、あの後は大丈夫だった?」


「お、お兄ちゃんが大丈夫って、な、何でそんなこと聞くの!?」」


 千穂ちゃんの口から急に拓也お兄ちゃんの話題が出て、私は一気に動揺してしまった、ジュースの紙コップを持つ手が思わず震えてしまう……。


「その挙動不審な態度は、お兄ちゃんにこっぴどく怒られたんでしょ? 可愛い妹の頼みとはいえ、突然女子高生が部屋に乱入してきたあげく、わんこの着ぐるみを無理やり着せられて淫らなまぐわいの体位を撮影されるとか……」


「ち、千穂ちゃん!? 声が大きいよぉ、周りの人が全員こっちを見てるから、もっと声の音量を抑えめにして!!」


 恥ずかしくて穴があったら入りたい……。


 森田千穂ちゃんは、その小動物的な可愛らしい外観に似合わず、

 日常的にエロワードを会話にぶっ込んでくるんだ……。


 『これでも普段はリミッターを掛けて未祐ちゃんに合わせて、かなり押さえめにしてるんだよ♡』


 と明るく言われてとても驚いたことを思い出した、彼女の趣味である小説の即売会では、もっとハードな単語がぽんぽんと飛び交っているそうだ、なんと耳年増というのか……。


 千穂ちゃんの書く夢小説、 【先取先生せんしゅせんせい!! 卒業までに絶対に先生の赤ちゃんをはらみます♡】は小説投稿サイト、野ヘビいちごで女の子のファンもかなり多いらしい。

 

 未祐も冒頭だけ読ませて貰ったけど、思わず目を覆うような男女の絡みシーンの

 連続でお子ちゃまの私には到底耐えられなかった。

 でもその内容は全て千穂ちゃんの空想の産物で、彼女は十六歳の今までキスはおろか男の子と付き合ったことすらないんだよ……。


 未祐も同じくお兄ちゃん以外には、手も握ったことがないから、あんまり偉そうなことは言えないか……。


「にゃはは、ゴメンね、未祐のお兄ちゃんからえっちの四十八手を指南されてまだ興奮覚めやらないんだな、今晩は眠れそうにないよぉ♡」


 混雑したハンバーガーショップ内の喧噪けんそうが一瞬、無音になった。


 天候も良かった休日の夕刻、家族連れや学生でほぼ満席の店内だった。

 ……は、恥ずかしすぎる、一体なんの罰ゲームなの、千穂ちゃん!?


 念のため、補足しておくけど千穂ちゃんが言っているのは、小説の苦手な描写が、お兄ちゃんの奮闘による着ぐるみの四十八手指南の模擬演習により克明に小説が書けるからとても興奮しているんだ、今晩はきっと徹夜の執筆覚悟だろうから……。


 周りから奇異な視線を投げかけられて超、恥ずかしかったけど、

 私が涙目になってから千穂ちゃんはやっと自分の暴走に気付いたんだ。


「……広瀬ひろせ部長も心配してさっきメールくれたよ、未祐とお兄さんにあらためて謝らなければってすごく反省していたみたい」


 広瀬部長が、私たち兄妹のことをそこまで心配してくれたんだ……。


「元はと言えば私が未祐ちゃんの家に行こうって無理矢理、広瀬部長を誘ったのが悪かったの、本当にごめんなさい……」


「そんなに謝らないで、千穂ちゃんは悪くないよ、私、途中で気が付いたんだ、未祐の家に来てくれた本当の理由わけを」


「……未祐ちゃん」


 親友の千穂ちゃんだけは知っているんだ、お兄ちゃんに対する私の想い、だから恋を応援しようと家に来てくれたことを……。


「私がお兄ちゃんのことを大好きだって知ってたから脚本制作にかこつけて、千穂ちゃんと広瀬部長は応援に来てくれたんだよね、本当にありがとう……」


「だけど、全部ぶち壊しちゃったよね、未祐ちゃんのお兄さんを怒らせちゃって

 私たち、アニメ同好会のメンバーは出入り禁止になってもおかしくないよね……」


 千穂ちゃんが小さな肩を震わせ、こちらに向かってもう一度、頭を下げてきた。


 千穂ちゃんはお兄ちゃんを怒らせたと勘違している、応援するどころか、

 わんこの着ぐるみで季節外れの熱中症まで起こさせて、もうお兄ちゃんに合わす顔がないと深く反省しているんだ……。


 気まずい沈黙が四人掛けのソファー席に流れる。

 テーブルのトレーに置かれたハンバーガーとポテトも、すっかり冷めてしまった。


「……千穂ちゃん」


「……な、何、未祐ちゃん」


 固く握りしめた手を膝の上に置き、がっくりとうなだれている千穂ちゃん、

 私からの次の言葉を待っているかのように見えた、彼女はきっと責められると思ってるのだろう。


「実はね、拓也お兄ちゃんに……」


「うんうん、お兄さんに……」


「千穂ちゃんと広瀬部長が帰った後にね……」


「う、うん、聞かなくても分かっているよ、お兄ちゃんに怒られたんでしょ?」


「二回もキス、しちゃったんだんだ……」


「……うんうん、顔も見たくないって言われた。って、嘘!? ええっ、キスぅ!?」


 千穂ちゃんが驚いてソファーからずり落ちそうになる、恋バナでしてやったりだ。


「未祐ちゃん!? す、凄っ、先孕せんはらだったらご懐妊するレベルの話だよ、おめでとう!! もっと私に詳しく聞かせて」


「うん、真っ先に千穂ちゃんに話を聞いて欲しかったんだ……」


 頬のニヤニヤが止まらない、やっぱり私、拓也お兄ちゃんが大好きなんだ!!


「千穂ちゃん、最初から話すね、犬の着ぐるみの中で気絶したお兄ちゃ……」


 『いらっしゃいませ!!』


 ハンバーガーショップの店員さんの声に合わせて、入店してきた人物を見て私は思わず固まってしまった。先ほどまでの浮かれた気持ちが急速に萎んでいくのが感じられる。


 期待に胸をふくらましながら席から身を乗り出す千穂ちゃん

 私の話を待っている彼女は、まだこのことに気が付いていない……。


 混雑した店内に入ってきた人物とは……!?


「ま、真奈美まなみちゃん!?」


 お兄ちゃんの大好きな幼馴染、二宮真奈美にのみやまなみちゃんだった……。




 

 

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