表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かわいい幼馴染は俺のアレを握らないと安心して眠れないそうです……~俺の〇〇〇は片想いの彼女にとって安眠グッズがわりだと!?~  作者: Kazuchi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/48

可愛い女の子二人に掴まれるのは何もアレだけじゃない。

「……真奈美まなみね、拓也くんの《《しっぽさん》》を握っているととても安心して眠れるの」


「お兄ちゃん、未祐みゆうは昔みたいにお兄ちゃんの《《手を》》握って眠りたい……」


 ……俺、赤星拓也あかぼしたくやは運命の選択の時を迎えようとしていた。


 介抱のために妹の未祐が敷いてくれた布団に横たわったまま、

 ぼんやりと天井の虚空を見つめていた……。


 季節外れの熱中症で倒れてしまったが、体調は既に回復しており、

 いつでも起き上がることは出来るが、だけど気持ちの整理がなかなか付かない。


 幼馴染みの真奈美と妹の未祐、二人の言葉が交互に頭をよぎった。

 真奈美は俺にとって手の届かないまぶしい存在そのものだった……。


 幼馴染で手を伸ばせば届きそうなのに届かない、いつも隣にいたはずなのに、

 幼い日のかくれんぼを思い出す、まるで神隠しにあったみたいに忽然こつぜんと消えてしまった真奈美、あの夏の日、透き通るような白い肌、ストレートの長い黒髪 頬にうかぶはかなげな微笑みと同じで、強く触れてしまったらきっと壊してしまいそうだったから……。


 何があっても真奈美を悲しませてはいけない、きっと繊細な彼女は少しの悲しみにも耐えられない。


 愛犬のショコラが真奈美を奇跡的に見つけ出した時、俺は子供心に誓った、たとえ指一本触れられなくても構わない、真奈美の側にいるだけで良いんだって……。


 その後、中学まではいつも真奈美と俺は一緒だった、三年間同じクラスで、登下校も隣同士でいつも一緒、茜がそばにいてくれることがいつしか当たり前の日常になっていた。蛇口をひねれば水が出るみたいに、そのありがたみに気が付いていなかったんだ。


 いつまでもこの関係が続くと勝手に信じていた。


 だけど永遠なんて存在しなかったんだ……。


『……拓也くん、高校は離ればなれになっちゃうね』


 何で真奈美が選んだのはお嬢様女子校なんだ、俺と同じ共学の高校に行けばいいじゃないか!!


 思わず口からこぼれ落ちそうな俺の醜い本音を慌てて飲み込んだ。


『真奈美、君更津南女子に合格おめでとう!! すごい名門お嬢様女子高じゃん、入学したら可愛い女の子の同級生を俺に紹介してくれよ……」


 不慣れな軽口で偽って精一杯の道化を演じるしかなかった、キャラじゃない冗談に逃げ込まないと俺はどうにかなってしまいそうな精神状態だったから。


 高校に入学してからの俺は、空虚な毎日を過ごしていた。

 毎朝のルーティーンは何も変わらないのに、駅まで続く通学路、いつも幼馴染みの歩いていた左側を空ける癖に気が付いて、思わず苦笑いをしてしまう……。


 俺は真奈美とはこのまま疎遠になってしまうのだろうか?

 そんなことを鬱々《うつうつ》と考えていると本当に頭がおかしくなりそうだ。

 俺は床に敷いた布団から跳ね起きて、脇のデスクに向かい、ノートパソコンの電源を入れた。

 起動前の真っ黒い液晶画面に映った俺の顔は、まるで苦虫を噛みつぶしたような表情だった。軽い起動音と共に画面が立ち上がり俺は間髪入れずにキーボードで文字を入力した。


【幼馴染みと結婚する確率】


 キーワートを入力したが、最後の検索ボタンを押す手が止まった。

 ……本当に俺はどうかしている、検索結果なんて見なくても答えは分かりきっているくせに。


「くそっ、俺は何を血迷っているんだ……」


 ノートパソコンの画面が照らし出す灯りで、俺の腕の輪郭が暗闇に青白く浮かんだ。おのれの行動が馬鹿馬鹿しくなって、画面の開かれたウインドウのタブを閉じようとマウスのカーソルを動かした。


「んっ!? これは何だ……」


 ノートパソコンのデスクトップに、見慣れない☆星のマークの付いたフォルダが貼り付けられている。妹の未祐が勝手に作成した妹フォルダの隣にいつの間にか新規作成されていた。妹フォルダは以前からあった、お許しが出るまで絶対に見ちゃ駄目って、未祐は俺に念を押して言ってたな。


「……」


 うわあっ!? 見るなと言われると強烈に見たくなるな、《《妹フォルダ》》

 色もピンク色で何だか意味深すぎるし、でも見たことがバレたら未祐に確実に殺されるのは火を見るよりも明らかだ。


 でも隣の謎フォルダなら、まだ未祐から禁じられてないから見ても構わないだろう……。


「何々、先孕せんはらってネームがフォルダの星マークと一緒に書いてあるぞ、よしっ、☆☆☆を《《三回クリック》》だ、ポチッとな!!」


 人の気持ちって面白いな、先ほどまでこの世の終わりみたいな顔をして、うなだれていたのに妹の未祐の秘密をのぞき見する行動が俺に妙な高揚感を与えていた。笑いの感情で人は救われると良く聞くが今の俺にはまさに微かな救いの糸だった……。


「森田千穂原作、野ヘビいちご連載夢小説って、これは未祐と一緒にアフレコ練習した脚本だな、なになに、原作小説のタイトルは!? 【先取先生せんしゅせんせい!! 卒業まで絶対に先生の赤ちゃんをはらみます♡】って、きわどすぎんだろ……。 そうか!! 着ぐるみでやらされた四十八手の格好も、この脚本で自主制作のアニメに活用するためなんだな、それは納得、納得!!」


 未祐とアフレコ練習した作品は、兄妹間の禁断の愛を描いていた。

 あのまま続けていたらいったいどんな展開が待っていたんだろう?

 俺はよこしまな好奇心で脚本を読み始めた……。


「最初は女子校入学からスタートか、うおっ、いきなり濡れ場!! 校長先生が入学式の挨拶をしている壇上の袖でくんずほぐれつだと!?」


 はあ、はあ、本当にどエロい、最近の少女小説は一体どうなっているんだ、

 まったくけしからん!! 某小説サイトだったら一発垢banを喰らうレベルだぞ……。


 よし、先を読み進めるか……。


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 脚本を最後まで読み終えた俺の顔から笑みは完全に消えていた。


 続けて俺は躊躇とまどいもなく、画面上の《《妹フォルダ》》をクリックした……。



「……未祐、お前ってやつは!?」



 次回に続く。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ