red No.3一緒に作業室
――リーダーからの電子通知に返信をした後、
私と相部屋になっている小さな女の子レインは、
陽の光の眩しさに耐え切れ無くなったのか、
ベッドから早々と出て、外出したいとせがんで来たので。
ひとまず、朝の大事な作業を速く終わらせるために、
私とレインは一緒に第一作業室へと向かった。
第一作業室の扉を開けて中に入り、
さっそく作業を開始する。
作業室では、
施設や住民から送られてきた相談事の他に組織の情報や、
研究機関から送られてきた重要書類などに目を通す作業を朝から日課として行っている。
基本的に、この作業は私とレインだけでは無く、
事務員さんや他の情報屋のメンバーも高確率で行う作業の一つ。
なのだが――最近どうもサボっている人が多いのか、
第一作業室には私達と、
事務員さん以外の人が来ていないことが多々あって少々困りぎみだったりする。
まあ本当にサボっている訳じゃないのは、
報告書を見れば分かるので口には出したりしないけどね。
そうこう考えているうちにいつの間にか書類が少なくなっていた。
もう私はこんなに作業をしたのかとちょっと誇らしげに鼻を擦っていると、
ため息が横から聞こえた。
どうしたのかなと横を向くと、
其処にはジトっとした目で私を見ているレインの姿がある。
その顔を見た私は――
「どうしたの?なーんでレインちゃんはそんな顔してるのかなー?」
なんて、声を掛けてみたんだけど、呆れ顔が収まる事はなくて、
私の言葉を聞いたレインはまた小さくため息をついて、
「今、モネ姉……自分で沢山書類を片付けたと思ってたでしょ。
でも実際、その書類の半分は私が片付けたんだからね?」
と私に言ってきた。
ヤバイ…勘違いしちゃった。
どーしよう。
「ごごごごごめんごーレインちゃん許してー☆」
なんて、あの頃みたいな口調で謝ってみるんだけど、
あの後、みんなが集まることは一度も無かったんだよね。
――ねぇ。
――――モネ姉?
不意に身体が揺れているのに気が付いて意識を戻すと、
私の目に、心配そうな目をして私を見つめるレインの姿が見えてきた。
空気が変な感じがする。
何か話をしなければと思った私は、
口を開こうとしていたレインよりも速く、
近くにあったオレンジ色の書類を手にとって、
「ほら、この書類なんて結構面白いと思うんだけどなあ。一緒に読んでみようよ。」
と言ってしまった。
手に取った書類には、なんだが物騒な話の内容が記載されていた。
――――
【みかんの森の爆発に関して】
【始めに。
この文書は高いスキル保持者以外がこの文書に触れた場合、
触れた者の身体を麻痺させて瀕死にさせる毒性の高いスキルを応用してある。
能力無しの人間や霧の結びつきが弱いもの、適用力が小さい者は触れないように。】
……。
…………え?
拝啓、遠いところに居るお母さんへ。私ピンチかも。
…私、モネは冷や汗が止まらないよ。
というか私、死んじゃうのかな…?
「どーしよう!私思いっきり触っちゃったよ!」
慌ててそう言うと、
レインは胸をポンっと誇らしげに叩いて、
「大丈夫だよ!モネ姉はすっごいスキル持ちなんだから!』
と言った後、
眩しいくらいの笑顔を浮かべて私の手をきゅっと握ってきた。
ああ……なんて可愛い子なんだろうかー
レイン可愛いよレイン。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけニヤニヤしていたら、
レインに、早く書類の続きを読もうと言われてしまった。
その時、苦い顔をしていたのを見て、
ちょっとだけ申し訳ない気分になったのは秘密にしておこうかな。
気を取り直して、
私とレインは読みかけの書類へ目を通すことにした。
読み終わるまで……
手はレインの手と繋いだままにしておこうかな。
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