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Mist(停止中  作者: RYUITI
34/35

sky blueNo.5扉を開けると記憶の混濁

 

 ――ガチリと銃口とナイフ、双方の金属がぶつかる音が辺りに広がる。


眼の前に居るこの男は俺やアネモネや、

他の奴らを捕まえて拷問をしやがったキモチのワリィ男だ。

でも――「一度ヤったてめえがなんで虹の建物に来てんだよオオオオオ」

そう叫んでも俺はあの男から眼を離さない。

動いて来ない。

あの男の顔は俺が見た最後の時の顔と同じようにいつまでもニヤニヤしていた。

何故手を出してこないのか。


あの男はニヤニヤとした顔のまま、

俺を指差して口を開く。

「ソンナンジャ、ダイジナモノなんてマモレネエゼ?」

その言葉を聴いて俺の身体は自然とざわついた。

敵だったこの男が何故俺にそんな言葉をかけるのか。

「おい、お前何を――」

汗がじわりと滲む感触を気にも留めず、

あの男の姿を確かめるために眼を向けると、


俺の前は愚か、近くにもあの男の居た形跡は無かった。


結局なんだったのかと汗を拭いながら辺りを探ると、

扉の中に入った時の香りが独特な事に気が付く。


虹の活動拠点であるこの場所への侵入を防ぐためのトラップだったのか、

はたまた、誰かのスキルだったのか。


今の俺にはどうでも良くなってしまった。

唯、殺した筈のあの男の言葉が、俺の頭から離れない。

アレも幻覚や幻だったのだろうが、

胸に引っかかるモノがあってなんだかもどかしい。


けど、なんだか今は胸の中が空になったような気分で。



入る気満々で苦労して入った扉の先に進む気が無くなった俺は、

一枚の書き置きをおいて外に出る。


外は相変わらず太陽の光が満ちていた。

光を浴びる身体は扉に入る前とは違って汗が滲む感覚は無く、

変に冷たい心地が残ったままだ。


町に着いてからの目的が一つ外れたなら、

早々に別の目的へと移行しようとして、

街路へと歩を進める。


歩き始めた時に、

誰かから声をかけられていた事に気付く事が無いままに。


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