sky blueNo.4連打の先に
――太陽の光が身に降り注ぐ中、
暑さによってじわりと滲んだ汗が手を湿らせる。
いや、そんなことより今はこっちが先だ。
【カチッ】という音が、ベルの硬い感触と共に指先に伝わる。
ただそれだけ。
誰かが出てくる気配もないし、
何処からか音声や何かが聞こえてくるような感じもない。
おかしいな――と思って今度は強めにベルを押してみる。
【カチリッ】
「…………あれ?」
「ピューィ」
能天気な鳥の柔らかい鳴き声が聞こえる。
すまんな俺が待ってるのはお前の声じゃないんだ。
「ピ――」
そういう気配を察したのか、
鳥は小さく発した鳴き声を止めて何処かへと飛んでいってしまった。
それ以外の変化は無い。
流石におかしい。
何故何も反応がないのか……
ハッ!?もしかして今日は情報屋開けてない日なんじゃないか。
そう思って辺りに看板や張り紙が出てないかを確認する。
建物をぐるっと回ってみたけどそれらしき物は見つからない。
と、いうことは平常運転なんだよな……。
なんか問題でもあったのか?
いや、でもそれにしても誰か出るよな普通。
よしっそれならば……一か八かだ。
ゴクリ生唾を飲んだ後、意を決して、
俺はベルを押す指に力を入れた――
うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!
【カチカチカチカチカチカチカチカチッ】
こういう時は連打だ連打!
身体が熱い。
眼に熱が登ってくる感じがする。
まさか……
いやまて無意識に発動するはずが――
【バキイイイイイッ】
いやな音を立ててベルが無残に砕け散った。
やべッ……これどうしよう。
心なしか壁にもヒビが入ってる気がする。
いや、これはきっと錯覚だな。
だってコントロールするまでに何年も費やして安定させた筈だし、
前に起こした無意識化の発動なんてもうだいぶ昔のことになるんだよ
…………いかん自問して焦りを沈めようとしても今の俺には逆効果アーッ!
とりあえず、ドアとか引いてみたら案外と開いたりしてな――【ガチャ】
開いちまった――どうしよう。
とりあえず中に入っ――【急に気圧に酔って耳が詰まったかのような違和感が訪れた】
ドアから室内に足を踏み入れようとした瞬間、
脳内が、
体中が、
その先を見ることに拒否を送っている。
脳内に響いたのは数回しか感じたことの無い圧倒的な重さを感じさせる直感的危険信号。
ハッとして玄関の奥を見る。
其処に居たのは――あの日、俺を、俺達を捕らえた男だった。
頬にタトゥーの入った男は、
こちらに眼を向けて唇を吊り上げて不気味に笑いながらこう言った。
「アーットヒサシブリカ?マア、ヨロシクナアアンッ!」
殺してやる。
コイツは俺が――
全身が燃えるように熱い中、
かすかに甘い香りを感じた気がした。
No.4 end




