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Mist(停止中  作者: RYUITI
32/35

cream yellowNo.6地下へと降りる一つの影

コレで終わりじゃねェよなああ――


オレの叫び声(オレの身体じゃない)が地下内に浅く反響し消えていく。


そして最後に反響した声が小さくなりながら静かに聴こえなくなった時、

叫び声の反響が全て終わるのを待っていたかのように、

地下と教会の一階を繋ぐ穴の開いた天井から、

細い影が地下へと降りてきた。


【トン】と軽い音がほんの少し地下の空間に響く。


またやっかいな奴が来たのかと思って、

構えたまま影の降りた場所へ視を向ける。


影は埋まった人型の方へと移動しているようで、

視線すらこっちに送ってこねェ……


しばらくすると埋まった人型の前にたどり着いた影は、床下に埋まった黒い奴を見て

「あーあ……せっかくの大事な大事な検体がマンホールの蓋みたいにしっかりはまっちゃってるよ」


――なんて言いやがった。


言い終わった後にこっちに気付いたのか、

影はオレの(身体じゃないけど)方を指さして呟く。

「T-010、カノジョに攻撃するのはもうヤメなね? というかキミはもう帰還しなさい。」


影が呟いた言葉に反応したらしく、黒い奴は力任せに床から飛び出した。


結構深く埋めた筈なんだけどな。


黒い奴は床に足を着けた後、

右手を自身の身体の前に出して、

瞬間移動のように消えてしまった。


黒い奴が消えたのを見届けたらしい影は、

指した指をこっちに向けたまま話しかけてきた。

「さてと……あーっとー

ソコにいる可愛いお嬢さん。

うちのペット達がご迷惑をお掛けしたみたいで申し訳ないねえ。

まだまだ躾が出来てないみたいで急に檻から抜け出しちゃってねえ。

ん?私かい?

今日はココに探し物を取りに来たんだ。

まさか……人が居るなんて思っても見なかったんだよねえ。

そんなわけでお嬢さんには申し訳ないけど……

ペットを見られたら私も手ぶらで帰るわけには行かなくなってしまってねえ。」


そう早口で言って、

人影は自らの姿をこっちに見せるようにゆっくりとナニカを光らせてその姿を現した。


「やあやあ」

その男の姿は、

「可愛らしいお嬢さん」

痩せている身体に、

「すこしだけでいいのでねえ」

新調したかの様に真っ白な、

「ついでにあそんでくれないかなあ」

白衣を身に纏っていて。

科学者なのか医者なのか、

それともただの趣味なのかわからないその白衣の男は、

脱力した顔をして左手に3つの試験管を持っていた。


その試験管の中の液体を見て感じたのは、

明確なる悪意と好奇心。

続いて頭に響くのはその試験管が危険だという警鐘。


オレは警鐘が響いて直ぐ、

白衣の男が動く前にと、

回りに重力を発生させて刃を生成し、白衣の男がするだろう次の行動に構えた。


沈黙が流れた後、


「ふわああああああ……眠いねえ……」


腑抜けた欠伸が地下内に響いた。


――――てっきり攻撃してくるもんだと思っていたら、

白衣の男は何度も何度も欠伸をしている。


呆然としていると、

白衣の男は腑抜けた声でこう言って来た。

「身構えているところで申し訳ないけど、

私が言う遊びというのは私自身と一対一で遊ぶという事じゃないんだよねえ」

間髪を居れずに続けて話を続ける白衣の男。

「これから私の作った試作のペットと戦って欲しいんだよねえ

さっきのT-010みたいな子じゃなくて、

君が潰した黒い子達の改良版が相手だとだと思ってくれていいんだよねえ」

そう言葉にする白衣の男は、

左手に持っていた試験管を三本とも交差させて天井へと投げた。

投げられた試験管は交差を崩して、天井に当たる前に落下する。


すぐさま硝子が割れる音が地下に響いて、

三本の試験管に入っていた液体のような物は床へとこぼれて混ざり広がりを見せる。


ナニやってんだコイツ。

交わらせて投げた意味ねェじゃねえかよ。

なんて思いながら、

俺はさっさとこの場から離れる事に決めて、端に退けておいた男を抱えるために、

男の元に歩き始めようとして足を踏み込んだ刹那。


広がりを見せていた液体がオレの近くまで移動して来て、

アメーバのようにプルプルとした形から人型へと変形し、

見る見る内に固まっていった。


遠めに突っ立っている白衣の野郎は声を上げて俺に言った。

「それじゃあ私はドロンしちゃおうかねえ

また遇えたら次はもっと楽しい遊びをしようじゃないかねえ」




白衣の野郎に向かって駆け出した時、

既に奴の姿は見えなくなっていた。


「クソッッタレ!!!!」


そう強く叫んだ言葉は、何処に届く訳も無く静かに消える。


その背後には黒い人型が迫っていた。


No.6 end


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