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Mist(停止中  作者: RYUITI
31/35

cream yellowNo.5荒々しい叫びと嫌な予感

――スローモーションのように、

青白い刃が自身に向かって振り下ろされているのが眼に映っている。


それは澄んでいる風のように冷たくて。


その冷たさによって意識が、

感覚が戻ってくるような。

そんな気がした。


コノ眼はダレの眼だ――?

「ウチのだよ」

コノ身体はダレの身体だ――?

「ウチのだって」

コノ意識はダレなんだ――?

「ウチじゃないね」

自問自答なのかもわからない状態で自身の言葉を胸に放つ。

【間に入る声は熱くなった今の意識には聞えていない】


返って来るのは敵の刃が迫るという感覚に反応して速まる心臓の鼓動。

それでも刃の動きが止まる事はなく、

青白い刃が右瞼に小さな傷を付けた途端。


まだ死ねない。

また死ねない。

そうウチは、

そうオレは思った。


少しばっかり寝ててくれ。


そうナニかに言われて、

ウチの心は完全に、

ある花の名を持つモノに身体を委ね眠りに付く、


晴れやかな魅力を持つその香りに誘われるように。



一人の彼女が強く強く眠りについた刹那。

若い女性の身体で在ったソレは――


文字通り人が変わったように、

力の入った黒い手が、

刃を押し返し、

その動きのまま敵を地下の壁へと吹き飛ばす。


壁の端に勢い良くぶつかる音が【ドンッ】と聴こえた。


身体のダルさが少し軽くなっただろうか。

フーッと息を吐いて声を出す。

「このカラダはぜってエ殺させねェ。

借りてるらしい身分で言うのもアレだがな。

こっちは起きたばっかで意味解ってねェんだわ。

色々とやることもあるみたいだし、

それを探るためにも、

まずはてめェを退けないといけないみたいだしな。」


実のところ本当にナニもわかっちゃいない。

それでもオレとコノ身体の持ち主のために今ここで死ぬわけにはいかねえ。


【顔と腕に血管が浮き上がり体中の熱が腕に集まるような感覚を見せる】


「重さだけなんざ面白くねェんだよ」


壁に追いやった敵に向かって走り出す。

そして、

右手を振り抜いて少しの間に敵の身体を地面へと蹴る。

【シュッ】という音が響いた後に

壁がバキバキと崩れながら、敵は地下の床下に埋まる。


まるで丸いものを蹴ったような感触を残して。


蹴った本人の右手には、

光輝な一本の刃が握られていた。

刃に付いた液体を振り飛ばした後、

独りでに――

「コレで終わりじゃねェよなああ」

叫ぶ。


地下に響いたオレ(じゃないけど)の声に心地よい感覚を覚えながらも、

額には嫌な汗が滲んでいた。


No.5 end



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