sky blueNo.2鬼ごっこ
――バイクで幼稚園を飛び出してから、
結構時間が経った気がする。
どれ位の時間が過ぎたのか。
時計なんぞ今の世の中じゃ使い物にならないから、
持ってはいないしな。
だから今使えるのは電子端末だけだ。
まあ時間の把握が出来たとして、
今はそんな余裕も無い。
何故なら、猛スピードで園の坂を下っているときに、
チラっと数人に見つかってしまったからだ。
今のところ接近してくる様子はないが、
万が一の事もあるので近づかれないように、
出来る限りのスピードを出して走っている。
周りをチラッと見回すと、
さっきよりも霧が薄い。
――後ろから人の気配がする。
そして、
急に発砲音が聞こえて来た。
近くにゴロツキが集まっているみたいだな。
そう思った俺は、
バイクの速度を上げて、
後ろから迫る弾丸をかわして行く。
バイクのメーターディスプレイには
赤色の文字で【前方危険】の文字が映し出されていた。
オレは、また捕まる訳には行かない。
アイツらに逢わないと行けないんだから。
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事の発端は、えなじー幼稚園を卒園してからずっと後のことだ。
当時、高校を卒業して暇が出来た俺は、
近々、えなじー幼稚園が閉園して建物が廃棄されるっていう話を聞いて、
幼稚園を卒園した仲間と後輩を連れて先生たちに逢いに行く事にしたんだ。
その日は見たことがないくらいの霧が出ていた。
幼稚園には卒園してからあんまり来た覚えは無くてな、
霧のこともあったから仲間と喋りながら道を確かめるように歩いてたんだ。
しばらくすると、
もっと霧が濃くなってきた気がした。
急な坂を上って上って上って歩いて。
汗だくになりながらやっと、【ようこそえなじいー幼稚園へ】
って書かれてあるのが見えて気持ちが熱くなった時――
大勢の人影と共にものすごい煙が俺たちを襲った。
気が付いたときには、
どっかの部屋の中に居て――手と足を鎖で縛られていた、
鎖は重かったけど、部屋の中を歩き回れるほどには長さがあった。
それから少しずつ部屋の中を見て回ったら、
室内は熱いガラスと金属で作られている感じがしたけど、
部屋の中にも霧が充満しているみたいだった。
端の方に窓があるのが見えた。
その窓の向こうにあったのは確か。
――
――――っ!
――――――。
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おっと。
いつの間にかぼんやりとしてたみたいだ。
そう思って、
意識を前に戻すと、
目の前に大きな、黒いライオンのような奴が口を開けて睨んでいた。
牙が恐ろしくデカイ。
【グルグルと喉を鳴らす音が聞こえる】
前にいる獣の目は恐ろしく真っ黒だ。
このまま突っ込むと恐らく、
食われちまう未来が見えるわけだが。
仕方ない…。
ちょっとめんどくさいけどやるか。
眼に力を集中させる。
肺から上へ上へと熱が上がってくる。
徐々に血流の流れが速くなり、
眼が静かに熱を増していく。
そしてその眼は琥珀色を灯す。
すると、
遠く広い景色が眼の中に映り始めた。
川が見える。
この道をまっすぐ走ると、
大きな川に着くようだ。
けど、このままじゃライオンもどきに襲われて、
バイクも大破。
俺も大破だ。
そう思った俺はさらにアクセルを掛けて川へと進む。
足場が無くなりかけた時、
バイクが静かに光った気がした。
足場の無くなったライオンは重力に逆らえず川へと落ちていく。
一方バイクは重力に左右されずに真っ直ぐに移動している。
このバイクも、魔霧の影響を受けていると考えて当たりだったな。
しばらく対した反動も無いまま、
バイクの車輪が地に着いた。
後ろを振り返ると……
黒いライオンはこっちを睨みながらも、
勢いの強い流れに逆らえず流されていった。
前を向くと眼前に森が見える。
本当、最近ついてねえな。
最近じゃなくて、ここ数年か。
なんてつっこみを心の中でつぶやきながら、
バイクのスピードを速度をもっと上げて、
あの日以来、めちゃくちゃになった町へと急ぐ、
数年ぶりに。
情報屋にいる――
小さくて可愛いあの子の笑顔を見るために。
№2end




