aqua blueNo.5見知らぬ部屋での接触
――何が起きたのか解らないまま気が付くと
私はどこかの部屋に居た。
何の説明も受けて無いしどう動いたらいいのか。
手始めに、辺りを見回して、
部屋の内部を把握しようと寝ていた体勢から立ち上がる。
部屋は蛍の様な光に似ている、
青い霧のようななんとも解らない物が辺りに漂っている。
精神的には落ち着く感じがする。
壁は金属で出来ているように硬くて、
全体的に薄い灰色。
壁しかないのかと思っていたら、
ベッドの様な寝具が右端に四つ左端に四つあるのが見えた。
どうやら私が横たわっていたのは、何も無いど真ん中の床だったみたいだ。
このまま真ん中に居ると誰か来た時に言い訳できないなーと思っていたけど、
私が来たくて此処に来たわけじゃないし、
部屋の中に扉の様なものは無かったので、
まあゆっくりしてればいいか。
という事で一番右端の寝具へと飛び込んだ。
以外にも布はとてもいい肌触りだった。
いつの間にか少しウトウトしてたらしい。
――なんか振動してるみたいで、
はっとして起きた。
後、何か変な音がする。
【ウィン】という音が小さく辺りに反響した後、
太っていてメガネをかけた男が部屋の中にぽつんと入ってきていた。
その手には何の雑誌らしきものを持っていて……
男の腰には武器に使うんだろう刃物が携帯されている。
男は右端から二番目の寝具の前に付くと、
すごい勢いで服を脱ぎ始めた。
鼻息も荒いように思う。
ふと……目が有ってしまった。
私を見た太ってる男は、
息を荒くして、私に早口で言葉をかけてきた。
「君は何処から来たのかね。
はあはあ。
こ、ここは上級幹部しか入れない休憩室だぞ?
はあはあはあ。
君の様な若い女の子がこんな場所にいるということは……!
はあはあはあはあ!
僕の相手をしてくれるということなんだろ??」
その言葉に私は物凄い勢いで首を横に振り、
「あんた何考えてるか知らないけど凄く気持ち悪い」と言ってみた。
その太っちょは落ち込むのかと思っていたら、
急にニヤニヤし出したので、
今度は何を言う気なのかと思っていたら、
気付いたときには、
太っちょは――私の目の前に居た。
何が起きたのか解らない。
ふと、冷たい感触が首に当たる。
太っちょはギラリと光る刃物を私の首に当ていた。
頭の中が真っ白になっていく。
急に何かに強く縛られたように身体が動かない。
そんな私を見て、
太っちょは、
「今の状況が分かっているのかな?
そうそう僕が良い気持ちになるまでじっとしていればいいんだよ。」
もうすぐ、私は。
怖くて眼をつぶってしまいそうになる。
はあはあ。ウヒヒ君はいったい何処から――
笑いながら衣服を剥ぎ取ろうとする太っちょが私に何か言おうとしたその時。
太っちょが勢いよく吹き飛んだ。
「ぐっ……!誰だ!!僕は上級幹部ポンポコタロウ様だぞッ!!」
立ち上がろうとする太っちょはよろよろとしながらも、
大声で叫ぶ。
どうでもいいけどなんてヘンテコな名前なんだろう。
対してそんな太っちょの怒声を気にすることも無く、
機械のようなものが混じった声が静かに部屋の中に響いた。
「貴様が上級幹部なら、数週間前にココに入った俺は、
既に組織のリーダーくらいになっていてもおかしくないな。」
その声の主らしきものの姿は、
黒い機械のお面のようなものと、
黒いスーツの様なものに包まれていた。
「貴様!誰だ名前を名乗れエエエ!!」
すっかり頭に血が上っている太っちょは、
全身が黒い男に怒声を放つ。
それを聞いた黒スーツは呆れたように言い放った。
「迷い込んだ女性に卑劣な行為をする下種には名乗る必要は無い。
というか貴様は此処でおさらばだ。」
【キュイイイインン】と黒スーツの腕から音が鳴る。
音を聴いたとたん、
ふとっちょの顔が青くなっていくのがわかった。
現に太っちょはかなり動揺していて、
「お前……!!それは……まさか、いや!そんな筈は……!
いつの間に完成し……ッングウウウウウ。」
黒スーツが黒い拳で殴る動作に入っていたことも、
太っちょが喋っている間に、
黒スーツの拳が当たっていた事も視界に入っていなかったようだ。
黒スーツは倒れている太っちょの方を向いてポツリと言葉を零す、
「スキルを完全発動される訳には行かないからな。
先手を打たせてもらった。」
言い終わった後、太っちょの方を向いていた顔が、
私の方をくるりと向いて、少し早口で言葉を放つ。
「本来なら組織の内部に入り込んだものは即座に処理しないといけないのだが、
その前に、一つ知っておいて欲しい事がある。
それは、君が何者かに此処に飛ばされてから、
既に数週間が過ぎているということだ。」
何を言うのかと思えば、
黒スーツは変な事を言ってきた。
私が飛ばされて来たのはついさっきなのに。
口を開こうとした私に黒スーツは言う。
「とりあえず、また起きた時に近くに居る奴に話を訊いてくれ。」と
黒スーツが話終わって直ぐに、
私の視界を暖かな光が包む。
展開が速過ぎるなあ。
さっき起きたばっかなのにもう眠い。
部屋を眩しい光が埋め尽くす。
――先程まで少女と怪しげな男が居た部屋には、
その二人の姿は無く……
倒れている男だけが部屋に取り残されていた。
No.5 end




