aqua blueNo.4見知らぬ二人と一つの飴玉
――ふと目が覚めると、
太陽の光を浴びながら、
私は大きなみかんの木の上で昼寝をしていた。
寝てばかり居るように見えるかもしれないが、
これが私の日課の一つなのだ。
あくびをしながらゆったりと心地の良さを感じる。
お腹はまだすかない。
でも……なんだか頭が暑い気がするなあ。
この間の疲れが溜まっているんだろう。
そう、思っていると――
――。
――――!
体内をビリビリと駆け巡る雷、
それは記憶を呼び起こす信号。
瞬きをする間もなく、
真っ白だった空間に色が灯る。
----------------------------
霧が出てきた。
私は確か坂を上っていたはずだ、
同じ園の同級生や先輩と共に。
何のために?
んーまあ。
どうでもいいねみかん食べたい。
坂を上り始めて中盤、途端に霧が濃くなった。
「――っ!――――か?」
――先に進んでいた男の子が私を呼んでいる。
でも、何を言っているのか聞き取れない。
男の子の表情を見ようとしている間にも、
男の子と彼らは先へと進んでしまう。
あーあー。ダルいなあ。
頭がクラクラしてきた……
私は途端に吐き気を感じて地面に倒れこむ。
気持ち悪い感覚が続く。
どうやら、吐く物が無いらしい。
ああ、地面が冷たいなー。
ふと、私の頭が少し持ち上がって、
その直ぐ後に柔らかい感触が頭を包み込んだ。
何が起こったのか――。
確認しようとしても……瞼は開かない。
いつの間にか眠っていたみたい。
ドレくらい地面に寝ていたのかわからないけど、
急に話し声が聞こえてきた。
「ねえ、――――。この子もしかして……」
「嗚呼、霧による変異が始まっているようだ。」
――一人は、優しそうで耳心地の良い柔らかい女性の声。
もう一人は、穏やかそうな青年男性の低い声が聞こえた。
二人の話をぼーっと聞いてみる。
「とりあえず、この子の霧に侵食されている状態を回避しないと……!」
「今、私がこの子に出来ることは処置後、
この子を今居る場所から他の場所に場所に移動する事だ、
私が手を出すと、色々と耐え切れないだろうからね。
この子に霧の耐性を付けるのはルナがやるといい。
君ならば拒絶や異常な副作用も出る事はないだろう」
そう、ふたりの話を聞いていた直後、
身体の中が水の様なひんやりとしたもので満たされていく感覚が身体に浸透していく。
瞼が開いた。
私の視界の中に、
綺麗な白色の長髪の女性が――?
「おはようございます、気分はどうですか?」
白い長髪の女性はそう言って静かに微笑んだ。
――大丈夫です。と声を出して身体を起こすと、
銀色の髪を持つ青年が辺りを警戒しながら私にこう言った。
「こんにちはお嬢さん、私の名はベックという。
そして、君に膝枕をしていたのはルナと言って、
私と一緒に長い間、旅をしている家族だ。」
そう話す銀髪の青年、ベックの声には優しさが感じられた。
私が介抱してもらったのは分かったけど、
今がどういう状況かわからない。
周囲に出ている霧もさっきとは桁違いに出ているし。
少し不安になったので、
説明を貰おうと口を開いたとき、
ルナと呼ばれた女性が、
ベックに話を始めた。
「ねえ、ベック……。
私たちの周囲と坂の上から大きな力を感じるんだけど、
どうしたらいいのかな……?」
彼女の顔はものすごく不安そうな表情をしている。
すると……その顔を見たベックは、
「仕方がない、
ここは一旦去るしか無い様だ。
恐らく、この町に霧が到達する以前に、
異質な霧と結びついた集団が、
既に多数存在しているのかも知れないね。」
と、眼を細めて早口で答えた。
その後、ベックは私のほうをじっと見て――
「さて、君を別の場所へ送ろう。
それから。今から君に渡すものは、いずれ必要になってくる。
君が危なくなったらこの宝石を使うといい、必ず役に立つ物になる。
それでは、また君と逢える日を楽しみにしているよ。」
そういって淡い青と紫が交わった一つの宝石を私の手に乗せた後、
【パチンッ】と指を鳴らした。
急に――視界が廻る。
――気が付けば、見知らぬ部屋の中に私は居た。
No.4 end




