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Mist(停止中  作者: RYUITI
19/35

cream yellowNo.3りんごと解放

――石の坂を登って教会の前に立った時、

ウチは愕然とした。


内装、外装共に綺麗だと評判の教会がボロボロになっていて、

扉の無くなった入り口を進むと、

内部は瓦礫に塗れ、中心には大きな穴が出来ていた。

――確か、地下には大きな礼拝堂があったはず。


とりあえず、

大きな穴を調べる前に近くにりっくんが居ないかを探す。



……人の気配はしない。

もしかしたら岩の下敷きになっているのかもしれない。



けど、中々に大きな岩があって持ち上げられないので、

持ってきていた小さな肩掛けのバックから、

【掌に収まるほどのりんごを取り出した】


――そして。


【真上に投げた】


――。

――――【パシンッ】と強い音が響く。


真上に投げられたりんごは投げた本人の掌に戻っている。


――「スキル開放」

ウチがそう呟くと、ウチを中心にして大きな岩や瓦礫が振動を開始した。


髪が熱を帯びて、ゆっくりとクリーム色に染まった。


身体に重みとジワジワとした痛みが広がりを見せる中、


振動していた瓦礫や大きな岩は軽やかに上へと上昇しそのまま停止する。


ウチの【スキル】は複数の条件付きの重力変化。


一つ発動する条件を言うとしたら、スキルを発動するまでに、

最低一回はりんごに触っておかないと発動しないっていう条件があったりする。


――――。


瓦礫や岩に触れて教会の内部を一周して元の場所へ戻ってみたけど、

瓦礫の下にもりっくんの姿は無かった。


それなら!と思って、

中心にある大きな穴の中に飛び降りてみた。


――スキルのお陰でゆっくりとした状態で足を地に着けることが出来たんだけど、

ウチの眼に飛び込んで来たのは、

【黒とヘドロのような緑色の気持ち悪いモノ10匹以上】

その気持ち悪いものは、

人間のような形をしていながら大きさやバランス、全てが人間といえるものじゃなかった。



その化け物の姿をウチがしっかりと視界に認識したときすでに、

意識の無いりっくんを食べようとしているのか。

化け物は、気持ちの悪い大きな口を開けている所だった。


……っまずい。

このままじゃりっくんが




――身体が熱い。

――焼けるように熱い。


腕が熱い、足が熱い、背中が熱い、耳が熱い、皮膚が熱い。

お腹が熱い、頭が熱い、指が熱い、胸が熱い、眼が熱い。


「ラキュラス――か。」


――――グシャリと赤い実が潰れた音がした。


「解放」


そう呟いた後、

リクはゆっくりと海に浮かぶように壁の端へと運ばれる。


其れと対象に、彼を捕食しようとしていた化け物は、

上から来る唐突で強大な力に耐え切れず、

跡形も無く消滅した。


彼女は気付く、

さらに数匹の化け物の気配を。


彼女は見る、

クリーム色を灯した鋭い眼で敵の姿を。


その姿はまるで別人のようだった。


No.3end

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