carrot orangeNo.1教会と来訪者
――――ねえ、りっくんは大きくなったら何になりたいの?
……そっか。せんせいになりたいのねえ。
――なれるよ!りっくんなら。先生おうえんしてるからね!
――――
ふふっねむいの?じゃあお昼寝でもしよっか。
「おやすみなさいりっくん。」
------------------------------
静かな建物に心臓の鼓動だけが響く。
――くそっ。壁にめり込んで取れない。
汗で服が濡れ、血で肌が汚れている状態で、
誰もいない教会の壁の中に俺は居た。
なんなんだあの化け物は。
――発端は、昼頃、教会の中で、
子ども達の世話をしていた時の事だ。
勉強を終えた子ども達に、
おやつを配ろうとしていたんだけど、
その時、部屋の扉がものすごい音を出して吹き飛んでいったんだ。
何事かと思った俺は、子ども達に非常脱出口の扉に集まるように。
と指示を出して、俺はポッカリと穴の開いた入り口の前へ進んだ。
確かに進んだはずなのに、
俺はいつのまにか大きな衝撃と共に壁の中にめり込んでいた。
ただ事じゃないと思った俺は、
【スキル】を発動して。
子ども達の前に壁を作ってこう叫んだ、
「急いで脱出口の中に入るんだ!先生のことは心配しなくていい!
先生も後からちゃんと行くけど、先生新しいアイスが食べたいから、
酒場の人たちにアイスを持ってくるように伝えてくれたら嬉しいな。」
言葉を聞いた子ども達は、
皆、文句を言いながらも駆け足で脱出口の中入っていった。
全員が見えなくなった所で、一つ息を吐く。
もちろん、冷や汗をかいてるこんな状況でアイスが食べたいわけが無い。
大人なら何言ってんだコイツと言う位嘘なのがわかるだろうけど、
こうでも言わないと子ども達は素直に逃げてくれないだろうからなあ。
ふーん……さて、どうしたもんかなあ。
――そして最初に戻るわけだが、
未だに壁の中にめり込んでるわけだしなあ。
半分ヤケになった俺は力いっぱい壁を蹴り上げ、めり込んでいた壁から抜け出して、
目の前に見える入り口だった穴を凝視する。
身体が痛い。
ふと、穴の先から――
【ガチャリ、ガチャリ】と
金属質のような物が動く音がする。
俺の目に映ったのは――
細い下半身には、合うはずも無いような、
巨大でどす黒い上半身を持つ人間のような化け物だった。
目が合った。
「オマえ コロス」
ヤバイと思った俺は即座に――
【スキル】発動して、剣を出す。
が。
剣は砕け、
身体の骨が折れる音がした。
――――
――
俺の意識は静かに落ちる。
【To Be Continued】




