bright greenNo.2侵入者
――雑務室から出て既に30分という時間が経っていた。
それなのに、
一向に侵入者の情報が送られて来ていないことに疑問を持った俺は、
小型の通信端末を胸ポケットから取り出して、
テュールに連絡を取った。
「こちらガルムーチョ。
そちらの様子はどうどすかー!」
テュールからの応答は無い。
ふざけすぎたか。
まあいいや、
そう思って……
ジャケットのポケットから紙パックの、
トマトジュースを取り出して、
飲もうかなーとストローを差した時。
焦っているテュールの声が通信端末を通して耳に聞こえてきた。
「ネコだ!この第二支部に侵入して来たのは人間じゃなくてネコだ。それも、」
ブツン。
ざわざわとしたノイズ音も切れている。
意図的に切られたのか分からない通信から考えるに、
……テュールとネコが交戦中のような感じなんだろうか。
――なんにせよ。
ネコだなんてちょっと心配して損したかもしれない。
腕が青白く光を灯す。
とりあえず……テュールと合流して、
中断した作業を再開しないといけないなあ。
そう考えながら、
元来た通路を戻ろうと、俺は後ろを向いて歩き出した。
瞬間、
俺のうなじにピンク色の大きな爪が襲い掛かって来るのが見えた。
――。
俺は襲い掛かってきた、
小さなネコの【大きな手の爪】を、掴んでスキルを発動する。
俺の掌から打ち出された光の球は、
球体になることなく、
小さなネコを吹き飛ばした。
爆音も聴こえる事は無い。
通路の端のほうまで吹き飛ばされたネコは、
ゆっくりと起き上がり、
「にゃあああああああ!」
と大きな鳴き声をあげた後、
スッと姿を消した。
その消え方はまるで、
移動系のスキル所持者が手引きをしているように思えた。
念のため、
テュールと支部に居る人間に通信を送り、
ネコに襲われかけたが、追い払った事を伝えた。
これで侵入者の問題は終わったのかと思っていると、
テュールの端末から通信が入ってきた。
早く部屋に戻ってこいって連絡かねえと思ってきたら――
「応答願う、
そちらはガルム事務員の通信端末機で間違いないか。
この端末機は本部所属の幹部テュール様の端末機である。
ガルム事務員で有るなら至急応答してくれ。」
汗が静かに首を伝う。
アイツの身に何かあったのかと動揺してしまっている俺は、
「テュールに何かあったんですか?」
と聞く事しかできなかった。
№2 end




