迷宮(4)
「フン!」
ズガァン!
「もう! 危ないわね!」
「ブモオオオー! マリア様は生きた状態で確保を命令されているブモ。でも五体満足でとは言われていないブモ。片足ぐらいは覚悟するブモ」
「ブモブモうるさいわね! それにあなた程度が私のことマリアって呼ぶんじゃないわよ! ドライシス!」
もう! 早くエルたちのもとに戻りたいのにこんなところまで来ちゃった。
「ブモォォォオー!」
そんな大振りの攻撃が当たるわけないじゃない。私は振られる斧を避ける。
「アイシクルスピア!」
そして氷魔法を発動。ちっ! 見た目の割には速いわね。
「当たりなさいよ!」
「ブモブモ! そんな遅い攻撃当たらないブモよ! フンッ!」
もう! 面倒臭いわね! あれを使うか……
「仕方ないわね。私も本気を出すわ」
「ブモブモブモ! 負け惜しみを言っても仕方ないブモ!」
「負け惜しみかどうかはこれを食らってから言いなさい! ドライシス! フルパワー!」
私がドライシスを発動した瞬間。暑いはずの火山の空間に白い息が出るほど寒くなった。
「な、何ブモ?」
「この技は私を中心とした半径30メートル気温を下げる事をできるのよ。それも生き物の体内の水分が凍るくらいまでね」
「な! まさか!」
「そのまさかよ。これで終わりよ! 絶対零度!」
私が技を発動すると
「グギャアアア! あ、あああ、あ……」
そして牛男は凍った。私は即座に技を解除する。この技は味方がいると使えないし、魔力消費も半端ないからあまり使いたくないわね。
「みんなのもとに戻るか」
◇◇◇
「ほらほらほら! シュルル!」
こいつキモい。シュルルシュルルと舌出して。
「はっ!」
「シュルシュル! なかなか速いですねぇ。しかし私には当たりませんぞ。シュルル!」
「うるさい。燃え上がれフレングス」
私はフレングスに炎を纏わせ斬りかかる。でもトカゲに剣で弾かれる。めんどくさい。この暑い場所じゃディーネは使えないし
「シュルル! 短剣一本でよろしいのですか? それじゃあ私は倒せませんよ! シュルルン!」
ああ、もう腹が立つ。早くエルに会いたいのに。
「もう怒った」
私はフレングスとディーネを仕舞う。
「おや? 降参ですかな。それも良い判断でしょう。シュルル!」
「そんな訳にない。私たちはエルの苦しみをわかっているつもり。そのエルが頑張っているのに私が諦める訳にはいかない。獣化発動」
私は四つん這いになる。すると
「な、なんだと。獣人族が獣に戻っていくだと?」
そう私は4足歩行の狼に変わった。
「グルルゥ。行く!」
私は0速から一気に加速する。
「ガルウウ!」
「えっ?」
そしてトカゲの横を通り過ぎる。
ポタポタ
「え? えっ?」
トカゲはない事にまだ気付いていない。うっ。不味い。これならオークの方が美味しい。
「ぺっ!」
「あ、あ、ああああああ! 私の腕があああああ!」
そう、私はトカゲの右腕を喰いちぎった。気付くのが遅過ぎる。魔王様や黒竜様だと掠る事すら出来なかったのに。
「次で終わり」
「ま、待ってください。は、話し合いましょう。話せばわかるはずです」
「問答無用。狼牙!」
「ちょっと、ま、っ、てあれ?」
私は一瞬で首を喰いちぎる。これで終わり。
私は元の姿に戻る。この姿じゃないとエルを抱き締められないし。でもさっきの姿でも撫でられるのは好き。
早くエルに褒めてもらおう。
◇◇◇
僕はクラリスさんのところへ戻った。
「エルさん! ご無事だったんですね!」
「もちろんさ。こんなところで負けていられないからね」
「「ワォン!」」
2匹とも僕に擦り寄ってくる。昨日オーク肉をあげたら僕にも懐いたみたいだ。
「よしよし」
2匹を撫でていると
「えーたん、みーたん、ずるい。私も撫でて」
ミルさんがやってきた。うん、どこも怪我が無いみたいで良かった。
「お疲れ様ミルさん。怪我が無いみたいで良かったよ」
そして撫でてあげる。
「うん。あの程度では負けない」
ミルさんも気持ち良さそうだ。
「エル! ミル! 大丈夫だった?」
ちょうどそこにマリアさんも戻ってきた。
「マリアさんも無事みたいだね……あれ使った?」
そう聞くとそっぽを向くマリアさん。そんな顔も可愛い。
「別に怒っているわけじゃ無いんだけど。無理はしないでね」
そう言い頭を撫でる。
「……うん」
うん。返事をしてくれるだけで十分だ。
「それじゃあ階段を見つけてそこで休憩しよう」
そして僕たちは1時間ほどで階段を見つけることができた。
流石にこのまま休むことはできないので僕は魔法を使う。
「光の聖域」
よし、これで4時間ぐらいは魔物に気づかれないし熱気も入ってこない。
「エル。魔力は大丈夫?」
「うん。魔族になってから魔力が以前の数倍にもなったから全然平気だよ」
そう、魔族に変化してから魔力の量が物凄く多くなった。このおかげで魔法が途切れる事なく撃てるようになっている。
「そう。でも無理だけはしないでね」
「うん。ありがとう」
「エル、私の膝枕をしてあげる」
「あ! さっきは見ているだけだったので私がしてあげます、エルさん!」
取り合う2人を見ながら僕たちは休んでいった。
よろしくお願いします!




