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八年後 14

「あっ。おれ、いいアイデアを思いついた!」

 鶴川は唐突に言った。阿川と双葉は弾かれたように鶴川に視線を向けた。

「会員証を作るんだよ。プラスチックのしっかりしたやつじゃなくても別にいい。むしろ、パソコンで作ってプリンターで印刷したやつをラミネート加工しただけの、手作り感あるやつの方が温かみがあっていい。そして、会員番号を記しておくんだ。工藤さんを会員番号1番にして、俺達は2番以下にする。それで工藤さんが戻ってきたときに1番の会員証を渡すんだ。そうすれば、俺達がどれだけ待っていたか、片時も工藤さんのことを忘れたことなんて無い、っていうことが伝わるだろ?」

「ぶ…部長…素晴らしいですわッ!素晴らしいアイデアですわッ!あなた、ただの一直線お馬鹿さんだと思っていましたが…違ったのですねッ!ちゃんと脳味噌をお持ちだったのですねッ!意外にもッ!」

 双葉が感激しながら言った。

「…今まで俺には脳味噌無いと思ってたのかよ!」鶴川はしっかり突っ込みを入れた。

「てことは、部長が2番?ボクと小山さんはどっちが3番なの?まあ、別にどっちでもいいけどさ」阿川が訊いた。

「いや、俺は5番にする。俺は国語クラブ Version 2.0 PWFMをしっかり守る立場の人間として、『守護』の『護』にする…つまり『5』だ。冬真と双葉は五十音順にして、阿川と小山だから、冬真が2番で、双葉は3番にする。もし高山君が加入することになったら、4番だ」

 鶴川は、阿川と双葉が座っているベンチの前に立って、自分の考えを述べた。

「なるほど…」阿川は顎を人差し指と親指で挟んでしばらく黙考していたが、やがて口を開いた。

「ちょっと待って、部長。工藤さんが1番で部長が5番じゃ、工藤さんと部長が一番離れてることになっちゃうじゃん。部長は部長なんだから、2番がいいと思うよ。ボクが5番になるよ。言っとくけどボクだって、国語クラブ バージョン2.0…えーと…なんだっけ。WFPだっけ」

「それは世界食糧計画だろ」

「PTBTだっけ」

「それは部分的核実験禁止条約だな」

「えっと…ピー…P…ピーチ姫だっけ」

「それはマリオが助けに行く相手だな。っていうかお前、わざと間違えてるだろ。PWFMだよ!」

「そう!それそれ。ボクだって、国語クラブ Version 2.0 PWFMを守る気持ちは持ってるからね!ボクが5番になるよ!部長は2番でいいでしょ。工藤さんのすぐ下で、嬉しいでしょ?アハハハ」

 阿川の言葉を聞いた鶴川は、「冬真、ちょっと立ってくれ」と言った。困惑した表情で立ち上がった阿川冬真を、鶴川は力いっぱい抱きしめた。

「冬真…冬真…!わが心の友よ!!お前はやっぱり、俺の親友だ!!さっきは、『正論冷血融通利かない人間』などと、とんでもない暴言を吐いてしまって、本当にすまなかった!!お前には熱い血潮が流れているっ!仲間を想う、熱い血潮が!」

 阿川は「あー、はいはい。ありがとうね」と長年の親友らしく淡々と答え、「じゃあ部長、その高山君って人を、とりあえず誘っておいてよ。ラインは交換してるんだっけ?」

「うん、してる」

「じゃあ、どうせだから今、送ってみたら?」

 阿川の提案に、鶴川は目を丸くした。

「えっ…まじで?」

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