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岩瀬との対話2

「マサキ…真面目に聞いてくれよ。俺は真剣なんだからさ!」

 岩瀬はそう言うと、自分の席の方に歩いていき、机の中から何か取り出して俺の前に戻ってきた。俺はすぐに、それが手紙であることに気づいた。

「これなんだ。五回書き直して、最終的に俺が書き上げた手紙。お前、国語めちゃくちゃ得意だろ?読んで、おかしなところが無いかチェックしてくれないか?」

 田辺加奈に聴かれないように声を潜めて、俺に頼み込んできた。

「ええ?嫌だよ、そんな。人が書いたラブレターを読むなんて…良くないだろ」

「何言ってるんだよ!書いた俺が『読んでくれ』ってお願いしてるんだから、いいに決まってるだろ!な、頼む!」

 岩瀬は合掌して、手よりも低く頭を下げてそう言った。俺は『参ったな…』と思ったが、正直、この男が一体どんなラブレターを書いたのか、読んでみたい気もした。俺は「分かったよ。仕方ないから、読んでやるよ」と言った。岩瀬は、宝くじで一等を当てたような笑顔で「ありがとう!恩に着ます!!神様、仏様、マサキ様っ!」と礼を言った。

 読んでみると、まず初めに『田辺加奈さんへ』と書いてあった。あまり上手とは言えない字だが、『これ以上、丁寧には書けない』という、岩瀬が出来る限界の丁寧さで書いたことは伝わってくる字だった。字が上手いかどうかより、それが一番大切なことだと俺は思っていたので、その点は合格だなと思った。

 最初の一文は、『突然のお手紙で、驚かせてしまったらごめんなさい。』だった。おお、これも良いじゃん、と俺は思った。とても礼儀正しい印象を受けるし、相手に対する気遣いが感じられる。次の文は、『五年生の頃から田辺さんのこと、好きでした。』だった。おいおい!二文目でもう告白かよ!と、俺は思わず叫びそうになった。そう言えば岩瀬は五年のときから田辺と同じクラスだったんだよな…。『五年生のとき、僕が教科書を忘れてしまって、そのとき隣の席だった田辺さんが、机を寄せて教科書を見せてくれたこと、覚えていますか?あのときにとても優しい人だなと思い、好きになったんです。』おいおい!それって多分、先生が「田辺、岩瀬に教科書見せてあげてくれ」とか言って、田辺の感情とはほぼ無関係の行動として、先生の指示に従っただけじゃないのか!?俺はそう思って、岩瀬の単純さに吹き出しそうになった。何考えてるんだ、こいつは!でも、正直めちゃくちゃ面白い。

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