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律己館小学校戦 2

 未希が一ポイント獲得したことにより、スコアは二対一となり、わが成淵学院初等部の小山・工藤ペアが一ポイントリードする展開になった。律己館の鷲山君と小笠原さんは、特に動揺した様子も無く、落ち着きを保っていた。

「問題!日本三大奇書を、作者名とともに挙げなさい」

 うわ、ここでベタな問題きたか!これは大会に向けて、皆で部室で勉強をしたときに「一応、全員暗記しといた方がいいよね」と俺が言って覚えたから、未希も双葉も覚えているはずだ。早押しの勝負になるだろう。

 バシッ!

 最も早く押したのは律己館の小笠原さんだった。

「夢野久作『ドグラ・マグラ』、小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、中井英夫『虚無への供物』」

 ピンポーン!正解だ。これで二対二の同点となった。小笠原さんは早稲山の及川さんのようなクールな感じではなく、無邪気に喜んで笑顔で鷲山君とハイタッチしていた。未希の方に視線を移すと、未希も俺の方を見て、目が合った。俺は『大丈夫。今の調子で落ち着いていけば、大丈夫!』という気持ちを込めて、黙って頷いた。すると未希も真剣な表情で小さく頷いた。伝わっている。気持ちはちゃんと、伝わっている。

「問題!田中冬二の詩『青い夜道』で、『とほい村』が浴びているのは、何でしょう?」

 バシッ!

 この問題も四人が一斉に手をボタンに伸ばしたが、最も早く押したのはまたしても小笠原さんだった。彼女は早押しがかなり得意なようだ。

「青いあられ酒!」

 ピンポーン!正解だった。逆転されてしまったが、大丈夫!落ち着いていけ!必ず勝てる。俺は心の中でそう呟いた。冬真は横で「ボク、『青い夜道』めちゃくちゃ好きだから、この問題答えたかったなぁ」と言っていた。分かる。俺も大好きな詩だ。

「問題!『古今和歌集』の撰者四人を、全て答えなさい」

 うわっ!これも完全に早押し勝負になる問題だ。まずい!

 果たして、小笠原さんが驚異的な早さで反応し、手を動かした。ダメだ、またやられる!

 バシッ!

 紫電一閃、双葉が押した。ボタンが光った。小笠原さんを超える速さでボタンに手を伸ばし、早押しで勝ったのだ。凄いぞ、双葉!

「紀貫之、紀友則、凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)壬生忠岑(みぶのただみね)

 ピンポーン!正解だ!やった!

 これでスコアは三対三の同点となった。

「すごい激戦になってきたな」

 おれは興奮しながら冬真に言った。

「ボク達だって、手が痛くなるくらい早押しの練習をやったんだ。小山さんも工藤さんも、そう簡単には負けないよ。勝てる、絶対勝てるよ」

 冬真は力強くそう言った。俺も同じ気持ちだった。仲間を、信じていた。

「問題!タイトルが漢字四文字の、散文の小説作品を四つ、作者名とともに挙げなさい」

 バシッ!

 また四人とも反応したが、最も早く押したのは未希だった。よしっ!

「志賀直哉『暗夜行路』、夏目漱石『彼岸過迄』、江戸川乱歩『人間椅子』、オルコット『若草物語』!」

 ピンポーン!正解の音が響いた。

「アハハハ!工藤さん、『人間椅子』の後に『若草物語』を並べるなんて、やるなぁ!」

 俺がそう言うと、冬真も「奇怪さと爽やかさのコラボレーションだね」と言って笑った。

 これで、あと一点だ。あと一点で準決勝進出だ!

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