新たなる挑戦 3
「鶴川と阿川、小山と工藤のペアか。これは本当に楽しみになってきたな!お前達は、わが校の名を汚さぬようにとか、看板を背負ってとか、名誉をかけてとか、そんなこと考えなくていいからな。国語という科目を目一杯楽しむことと、正々堂々戦うことだけ考えればいいよ!じゃあ、俺はそろそろ職員室に戻るぞ。何か分からないことがあったら、いつでも遠慮なく訊いてくれ。大会が開催されるのは約一ヶ月後だ。あまり時間の余裕は無いが、それはどの参加者にとっても同じなので、不安になる必要は無い。そもそも、国語を楽しむための大会だからな。楽しむ気持ちを、決して忘れないでくれ」
そう言って青木先生は職員室に帰っていった。
「あ、このプリントの下の方に、どんな類の問題が出されるのか書いてあるね」
冬真がそう言ったので、俺達は再びプリントを見た。
『文法問題、文学史、漢字、ことわざ、四字熟語、慣用句など。和語・漢語・外来語に関する問題や、論説文などでよく用いられる重要単語に関する問題も出題される可能性があります。古文、漢文も範囲に含まれます。』
「うわ〜!なにこれ!ようするに、『国語』なら何でもアリってことじゃん!範囲は『全部』ってことだよ、これ!」
俺が困惑してそう言うと、冬真はニヤニヤしながらこう言った。
「先生達も問題を大量に作らないといけないわけだから、範囲を広くしないと無理ってことなんじゃないの?アハハハ!」
「この大会のために必死に勉強したら、いろんな知識が身に付きそうですね。なんか私、ワクワクしてきちゃった」
未希がニコニコしてそう言った。可愛過ぎて、発言内容がしっかり俺の頭に入ってくるまでに十秒くらいのタイムラグが生じる。
「オーッホッホッホッ!さすが工藤さん、前向きでございますわねッ!素晴らしいですわッ!…部長、ここは、様々な知識を身に付けるための勉強をさっそく始めてしまうのが吉ですわよッ!」
双葉の提案に俺は「うん。そうだな!楽しそうだし、さっそく始めようぜ!」と返答し、部室の本棚にある様々な本を机の上に並べた。国語の総覧、漢文の入門書、古文の単語集、現代文重要単語集、四字熟語をあつめた本など、ひと通り揃っていた。
「じゃあ、ボクは四字熟語から始めようかな。臥薪嘗胆、刻苦勉励、艱難辛苦!…じゃなくて、楽しみながらやろうと思いますよ…フフフ!」
冬真はおどけて言って、四字熟語の本をめくり始めた。
「じゃあ冬真、俺達三人に似合う四字熟語を、それぞれ挙げてみてくれ」
俺がそう言うと、冬真は少し考えてからこう言った。
「小山さんは『奇想天外』、工藤さんは『天衣無縫』、部長は『言語道断』だね。アハハハハ!」
「おいっ!俺が『言語道断』って、どういうことだよっ!どう考えてもそこは『質実剛健』あるいは『勇猛果敢』だろっ!」
俺がそう抗議すると、双葉が「それこそまさに、『言語道断』ですわよ!オーッホッホッホッ!」と言って笑った。冬真と未希も大笑いしている。まったくこいつら…腹は立つけど、最高な奴らだ!




