新たなる挑戦 2
青木先生が初めて俺達に『小学生国語王決定戦』の話をした五日後、再び青木先生が部室に来て、決定戦の概要が書いてあるプリントを俺達に配った。そして、どのような大会なのか口頭でも説明してくれた。
「最終的に十二の小学校が参加してくれることになった。それぞれの小学校は、二人ひと組のペアを二組、つまり四人を代表として『国語王決定戦』に送り込むことになる。試合は、決勝以外はペアとペア、つまり二組のペアが戦うことになる。決勝だけは三組のペアが同時に戦う。決勝も決勝以外も、先に五ポイント獲得したペアが勝者となる。早押しクイズ形式で、一問正解すると一ポイント獲得できるが、不正解だと、一ポイント引かれる。つまりマイナス一ポイントだ。それだけでなく、不正解だと次の問題の解答権が失われる。つまり『一回休み』だ」
「徐々にペアを絞り込んでいくトーナメント形式ということですか?」
俺は青木先生の顔を見ながら訊いた。
「その通り。この大会はトーナメント形式で行われるが、参加校が少ない大会なので、二回勝つと準決勝進出だ。一回戦は十二試合行われ、二十四のペアが十二ペアに絞られる。二回戦で六ペアに絞られる。準決勝である三回戦は三試合行われ、六ペアが三ペアに絞られる。そして決勝は、その三ペアが戦うわけだ。対戦相手は、くじ引きで決める。これだけの試合を行うとなると、かなりの数の問題が必要になるが、十二校も参加してくれることになったので、十二校全ての国語の先生が協力して作れば、なんとかなるというわけだ」
俺達は少し緊張しながら青木先生の説明を聞いていた。酒の席で考案された大会だし、遊びみたいなものだろうと思っていたら、意外と本格的じゃないか。ヤバい、工藤さんの前で恥をかくようなことだけは、避けないと…!俺はそんなことを考えていた。
「先生!ひとつ質問していいですか?」
冬真が挙手して言った。
「同じ小学校のペア二組が決勝に残って、同じ小学校の生徒同士で戦うことになる可能性もあるわけですか?」
「そういうことだ。決勝まではAブロックの十二ペアとBブロックの十二ペアで分けて進めていくので、同じ学校の生徒同士が戦うことは無いが、決勝だけはあり得る。そうなった場合、決勝は同じ学校のペア二組と、別の学校のペアひと組、合計三組のペアで行われることになる」
「なるほど、そういうことなんですね。分かりました。ありがとうございます!」
「オーッホッホッホッ!なかなか恐ろしい大会でございますわねッ!わたくしワクワクして参りましたわッ!…で、鶴川部長!わが校のペアは、どのような形になさるおつもりですかッ?誰と誰をペアにするのですッ?」
双葉が俺にそう訊いてきた。
「う〜ん…どうしようか。くじ引きで決めてもいいし、戦略的に話し合いで決めてもいいし…どうする?」
俺はそう言って、みんなの顔を見回した。すると冬真が、こう言った。
「くじ引きにしようよ。四人の名前を書いたくじを作って、二枚引いて決めよう。その二枚がペアになる。引かれずに残った二枚も、ペアになる。これでどう?誰が引くかは、あみだくじで決めよう」
「なるほど。じゃあ、そうするか。双葉、工藤さん、それでいいかな?」俺が訊くと、二人とも笑顔で頷いた。俺と冬真はさっそくくじを作り、箱が無かったので、代わりに部室にあった紙袋にそれを入れた。そして、下にマルをひとつと、バツを三つ書いたあみだくじを作った。マルに当たった人が、くじを引く係になる。
あみだくじの結果、双葉がくじを引くことに決まった。
「それでは!さっそく引かせて頂きますわッ!」
双葉はそう高らかに言って、くじを引いた。『阿川冬真』と書かれたくじだった。双葉はそれを机の上に置いた。
「次の一枚を引かせて頂きますわッ!」
皆が注目する中、双葉は、引いたくじを開いて見せた。そこには『鶴川マサキ』と書かれていた。
「オーッホッホッホッホッ!わたくし、最高に!最高に嬉しいですわッ!!わたくしの可愛い可愛い妹的存在である工藤さんとペアを組んで、大会に出られるなんて…夢のようですわッ!一生の思い出になることが、既に決まったようなものですわッ!」
双葉はそう言って、未希に抱きついた。未希は「私も嬉しいですっ!頑張りましょうね、双葉さんっ!」と言ったが、双葉があまりにも強く抱きしめるので、少し苦しそうだった。俺と冬真はその様子を見て、大笑いしていた。




