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たこ消失事件 2

「これでもう、安心ですね。犯人は超能力者の配達員ですよ」

 小森少年が安堵の表情を見せたが、名探偵・暗智大五郎は顎に人差し指と親指を当て、眉間に皺を寄せてしばらく黙考してから、「いや…ちょっと待て。おかしいぞ」と言った。

「えっ。どういうことですか?」

「君は、犯人は配達員に変装した怪人一億面相だと推理していたはずだ。しかし配達員が超能力者ということになると、怪人一億面相ではないということになる。怪人一億面相が使うのはトリックであって、超能力ではないんだよ。奴は超能力者ではない」

「…確かにそうですね。ということは、怪人一億面相はこの事件に関係しておらず、超能力者の配達員が犯人ということでしょうか?」

「いや、それもあり得ない。なにしろ、この小説のタイトルは『怪人一億面相 たこ焼きの中のたこ消失事件』なんだから。犯人は怪人一億面相じゃないとまずいんだよ」

「えっ。じゃあ、僕達の推理とか、意味無いじゃないですか。タイトル見れば分かるんだったら」

「実はそうなんだ。でも俺達は、分からないフリをして推理しないと、小説が成立しなくなる」

「分からないフリですか…なんか、虚しくなる役割ですね、僕達…」

「まあ、そう言うなよ小森君。俺も虚しさは感じているが、それが人生というものだ。これから待ち合わせて、寿司でも食べに行こう」

 二人は西日暮里駅の前で待ち合わせ、寿司屋に向かって歩き始めた。まさにそのときである!二人の前に、小山双葉が現れた。

「オーッホッホッホッ!あなた達、このわたくしを甘く見て頂いては困りますわよッ!」

「君、誰?」

 小森少年が困惑した表情で訊いた。

「わたくしは小山双葉。この作品の作者でございますわッ!」

「作者がしゃしゃり出てきちゃまずいでしょ。今の場面は無かったことにしておくから、家に帰っておとなしくしてなよ」

「お黙りなさいッ!このわたくしは国語クラブで『小説の破壊神』『突っ込みどころの大量生産』『突っ込みどころを排出し過ぎて地球温暖化を進めた女』と呼ばれているのでございますわッ!タイトルに『怪人一億面相』と入っているのに犯人を別の人間にすることくらい、何の躊躇も無くやってのけるのが、このわたくしなのでございますわッ!」

「…作者がこんなこと得意気に言っちゃってますけど、どうしますか?暗智さん」

「…ということは、犯人は超能力者の配達員ということで、よろしいのですか?小山さん」

「そのようなことは断じてございませんッ!だって、それじゃ全然面白くないですもの!オーッホッホッホッ!『この作品の作者は、タイトルのことなど全く気にせず、自由に犯人を設定する人だ』ということを前提に、あなた達はちゃんと推理しなければならないのですわッ!ひとつだけヒントを与えて差し上げますわ!犯人は超能力など使ってはおりません!」

 そう言って小山双葉は腕を空に向かって真っすぐ伸ばし、怪人一億面相のように指をパチンと鳴らした。すると白煙が発生し、小山双葉を包み込んだ。白煙が風に流され消えると、小山双葉の姿も消えていた。

「…推理し直す必要がありそうですね、暗智さん」

「うむ。寿司を食べながら、あらためて推理してみよう」

 二人は寿司屋の暖簾(のれん)をくぐり中に入っていった。


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