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ラクラミキオアラと物語の宝石箱 45 瞳のなかの泉

「ペイズリーのやつ、なかなかやるじゃん!こんなサプライズを思いつくなんてさ。ねぇ?ラクラミキオアラ」

 ラクラミキオアラの横顔に視線を向けながら、ドイナが言いました。無数の石が放つ青い光に照らされて、ラクラミキオアラの潤んだ瞳も、きらきらと泉の水面(みなも)のように輝いていました。

「嬉しかったのは認めるけどさ。でもドイナ、勘違いしないでよ!?わたしとペイズリーがここから恋に落ちる展開とか、ほんと無いからね!?」

 ラクラミキオアラの言葉をきいて、ドイナは大笑いしました。

「アハハハ!!やっぱり無いの?それは」

「無いに決まってるでしょ!!やめてよ、もう!わたし、ああいうナルシストっぽいタイプ、苦手なんだから!!」

「ペイズリー、ナルシストかな?」

「ぜったいナルシストだよ!こういうサプライズとかする人って、大体ナルシストだよ?」

 飛行中でも会話ができるように魔法をかけていたため、二人の会話はペイズリー3世の耳に"はっきりと"きこえていました。3世が"じと〜〜"っとした目で自分たちを見ていることに気づいたラクラミキオアラとドイナは、

「ヤバッ!きかれてた!」

「ちょっと!せっかくあんなことしてくれたのに、怒らせちゃダメじゃん!ラクラミキオアラ!」

 と言って、アタフタしました。ペイズリー3世は二人に背中を向けて、再び両腕を真っ直ぐ伸ばし、ぐるんぐるん回して、光る石を動かし始めました。夜空に、新たな光るメッセージが浮かび上がりました。


「おれはナルシストじゃないっ!!」


 ラクラミキオアラとドイナは、大爆笑しました。

「ねえ、ラクラミキオアラ。あの人、ギャグセンスはあるよ?やっぱり付き合ってみれば?」

「ちょっと!やめてよドイナ!!生まれて初めて付き合う相手が魔法使いとか…いくら物語が好きって言っても、人生そこまで攻める気は無いよ!?」

「アハハハ!!魔法の腕前とギャグセンスだけで相手を選んだら、後悔しちゃいそうだよね!!」

 二人の発言をきいたペイズリー3世は、

「ライオンさん!!1.56秒で時速180kmの加速でウシャ・マーレの泉まで降下しましょうか!!急角度で!!」

 とライオンに提案しました。ラクラミキオアラとドイナは青ざめた顔で、

「うそですっ!!冗談ですっ!!」

「ペイズリー様、かっこ良過ぎ!!神様、ほとけ様、ペイズリー様っ!!命だけはお助けをっ!」

 と命乞いしました。

 ペイズリー3世はとっても広い心で二人を許し、

「ライオンさん!仕方ないから、ゆっくり降下しましょう!おれの後ろから、ついて来て下さい!」

 と言って、降下を始めました。


 彼は石をウシャ・マーレの泉にきちんと戻そうと考えていたので、彼の後ろには青く光る石のながいながい列が、光る飛行機雲のように伸びていました。その幻想的な光景を眺めながら、ラクラミキオアラは心の中で、"ペイズリー、ありがとう"と、つぶやきました。


 そのことを知っているのは、この物語を読んでいるあなたと、夜空に浮かぶおおきな月だけでした。

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