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ラクラミキオアラと物語の宝石箱 40 勇者たちとの対話

「ラクラミキオアラ!見て見て!すっごく綺麗だよ!」

 モモ、カシオペイアといっしょにゆっくり歩いて近づいてくるラクラミキオアラに向かって、ドイナが大きな声で言いました。

「わぁ〜!ほんとだ!これ、どうなってるの?石が光ってるのかな?」

 ドイナたちのいるところまで来たラクラミキオアラが目にしたのは、見たことも無いような、うつくしい泉でした。楕円形に近い形をしていて、横幅が二十メートルくらい、奥行きが十メートルくらいに見えました。真ん中のあたりから、こんこんと水が湧き出ていて、その水はおどろくほど透きとおっていました。そのため底にある無数の石がはっきり見えるのですが、どの石も青白く光っていました。下から照らすその光が、上から照らす月光とともに、静かに揺れる水面(みなも)に幻想的な輝きをあたえていました。さっき、遠くから見えた光はこれだったのかとラクラミキオアラは思いました。

 夜の闇のなかで青白く浮かび上がる泉のうつくしさに、子供たちは言葉を失い、しばらくのあいだ、ただ黙って見とれていました。やがてペイズリー3世が、

「ここがオグリンダの泉であることは間違いなさそうだけど、カルキノスらしき蟹が見当たらないね。どこにいるんだろう?」

 と言いました。みんなは散らばってカルキノスを探しましたが、どこにも蟹はいませんでした。疲れてしまったラクラミキオアラたちは泉の近くにある岩場の岩に腰かけて、休憩しました。休みながらみんなでおしゃべりしていたとき、自分たちが歩いてきた方角とは逆の方角から歩いてくる三つの人影にドロシーが気づきました。そのうちのひとつは人ではなくライオンだと気づいたときドロシーは、残りの二人も人ではなく、かかしとブリキのきこりだと気づきました。

「え〜〜〜っ!!!!!」

 ドロシーは叫んで、駆け出しました。そして、かかし、ブリキのきこり、ライオンのいるところまで来ると、三人…ライオンもいるのに"三人"と言っていいのかは分かりませんが、とにかく三人に、抱きつきました。

「会いたかったよ〜〜!!!!!」

 ドロシーは再会できたことがあまりにも嬉しくて、涙ぐんでいました。

「あっ!!!かかしさん!!それ、もしかしてカルキノスっ!?」

 ドロシーは、かかしの肩にちょこんと蟹が乗っているのを見て、大きな声で言いました。

「うん、そうだよ!ぼくたちも森の女王に呼ばれて宝石箱から出てきて、ラクラミキオアラを驚かせたいから、カルキノスといっしょにお城で待っていてくれと言われたんだ。でも、なかなか来なくて退屈だったから、"散歩してきていいですか?"って言ったら、"近くにオグリンダの泉っていう綺麗な泉があるから、そこに行くといいわ"って言われてね。ぼくたちもしばらくオグリンダの泉を眺めていたんだけど、ライオンが"他にも綺麗な場所があるかも知れないから、あちこち歩いてみようよ"って言い出してね。それで散策していたんだ」

 かかしがそう説明したとき、ラクラミキオアラたちも走って来ました。ラクラミキオアラは大興奮して、

「きゃ〜〜!!!カルキノス〜〜!!!!!かかしさ〜〜ん!!!」

 と叫んで、かかしの肩に乗っているカルキノスを指でナデナデし、かかしに抱きつきました。かかしは、かかしなのに顔を赤くして照れていました。

「や、やあ!君がラクラミキオアラかいっ?会えて、嬉しいよっ!」

「わたしも、めっちゃくちゃ嬉しいですっ!!!」

 ラクラミキオアラはかかしにそう言って、再びカルキノスを見ました。カルキノスの甲羅に、ほのかに光る文字が浮かび上がりました。

「ボクモ アエテ ウレシイデス」

 ラクラミキオアラはそれを見て、

「わたし五歳のときから、あなたの真似してたんだからねっ!?いろんな星座の神話を読んだけど、あなたが一番好きなのっ!!」

 と言いました。

「ソウナンデスカ?トッテモ ウレシイデス ボク デテキテ スグ シンジャウノニ!」

「死んじゃうとか言っちゃダメっ!!危ないから、ヘラクレスには近づいちゃダメだよっ!?」

 星座の神話を変えてしまう可能性すらあるラクラミキオアラの大胆な忠告に、カルキノスは、

「ハイ ワカリマシタ キヲツケマス」

 と答えました。

 ラクラミキオアラはブリキのきこりとライオンにも抱きついて、

「夢みたい!!!ライオンさん、川の場面、最高にかっこよかったよっ!!!」

 と言いました。ライオンはとても嬉しそうに、

「おれが活躍する場面、読んでくれたんだね。ありがとう!背中に乗っていいよ!」

 と答え、ラクラミキオアラが乗りやすいように、腹ばいになって身を伏せました。

「えっ!?ほ、ほんとにいいの?大丈夫?」

 ラクラミキオアラが少しびびりながらきくと、ライオンは、

「あはは!全然、大丈夫だよ!さあ、どうぞ」

 とやさしく言いました。ラクラミキオアラはおそるおそるライオンの背中にまたがりました。ライオンが立ち上がると、ラクラミキオアラは、

「きゃ〜っ!!!」

 と叫びましたが、とても楽しそうな笑顔でした。ドイナは今は人間の姿になっていますが本当は鳥の妖精なので、本来はライオンをとても怖がるはずでした。しかし、宝石箱から出てきた『オズの魔法使い』のライオンは、やさしい人柄…厳密には"ライオン柄"ですが…やさしい人柄が内面から溢れ出ているようなライオンだったので、ドイナは全く怖がりませんでした。

「ライオンさん!ラクラミキオアラの次に、わたしも乗ってみていいですかっ!?」

 ドイナがそうきくと、ライオンは、

「えっ?二人同時に乗っても、全然平気だよ!」

 と言って、再び地面に伏せました。ドイナはお礼を言いながら背中にまたがって、ラクラミキオアラの腰に腕を回しました。

「遊園地のアトラクションみたい!!」

 ラクラミキオアラはそう言って後ろを向き、ドイナの顔を見ました。

「わたし、鳥の妖精なんだから、遊園地のことは分からないよっ!!」

「そうなの!?人間の街の本屋さんに通ってるくらいだから、遊園地くらい行ったことあるのかと思ってた!」

「あるわけないでしょっ!!」

 二人は大好きなライオンの背中で、大笑いしました。

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