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双葉との対話

 俺が、読み終えた原稿を双葉に返そうとすると、未希が「双葉さん、私もこれ、読んでいいですか?」と訊いた。

「あらっ!工藤さんも読んでくださるのっ?ええ、もちろん!もちろんでございますわッ!あなたのような可愛らしいお方に読んで頂けるなんて、恐悦至極でございますわッ!」

「キョウエツ…?あ、ありがとうございますっ!じゃあ、読ませてもらいますね!」

 未希は嬉しそうにそう言って、双葉の奇天烈小説を読み始めた。「…キャハハ!」と、途中で何度も笑いながら読んでいた。俺は未希の笑い方、笑い声がとても好きだ。聴いているだけで幸せな気持ちになる。

「双葉さん!これ、めちゃくちゃ面白いですよ!」

 未希はそう言って双葉の小説を絶賛した。

「でも、部員を登場させちゃってるし、内輪で盛り上がるような作品になっちゃってないか?」

 俺がそう言うと未希は、

「そんなこと無いよ!阿川冬真っていう登場人物が、他の登場人物と同じように出てきたんだな、って思って読めば、冬真君のこと知らない人でも楽しめると思うよ?」

 と言った。なるほど、言われてみれば、そうかも知れない。

「オーッホッホッ!!!わたくしは、正直に申し上げて、そのようなことはあまり気にしておりませんわ!!もし『国語クラブ』の部員しか楽しめないような作品になっていたとしても、それで別に構いませんのよッ!!わたくしは大勢に届けて有名になりたい、自己顕示欲を満たしたいなどと思って書いているわけではございません。わたくしの愛する、この『国語クラブ』の皆さんを笑顔にすることが出来れば、それでパーフェクト!わたくしにとってはパーフェクトなのですわッ!」

 双葉は迷いの無い澄んだ目で、気高くそう言った。こいつには、こういう高潔さがあるんだよな…と俺は思った。俺は双葉のそういうところを密かに尊敬していた。

「わー!双葉さん、かっこいい!キャハハ!」

 未希は無邪気に手を叩いて楽しそうに笑った。ああ、可愛い…可愛過ぎるだろ…!と、俺は思った。ただはしゃいで笑っているだけでメロメロにされるのだから、勝てるわけない!

「あの…阿川冬真って…もしかしてボクが登場しているのですか?それは気になりますね…もちろん、紳士的で知性あふれる素敵な男性の役だとは思いますが…。工藤さん、それ…ボクにも見せてもらえますか?」

 冬真がそう言って、未希に向かって手を伸ばした。未希は『渡しちゃっていいのかな…』と少しアタフタしながら双葉の方を見た。双葉が笑顔で頷いたので、未希は冬真に原稿を渡した。あちゃ〜、紳士的どころか、空き巣みたいに他人の家に入って、最後は高笑いしながら気球で空の彼方に消えていく変人の役だってことが、バレてしまうじゃないか。

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