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双葉の小説 2

 俺は動揺する心をなんとか落ち着けて、双葉の小説を読み進めた。『西園寺夫人は、「あなたは、名探偵の暗智さんではありませんか。存じておりますのよ。あなたのご活躍は、ネットの記事などで目にする機会が多うございますからね。しかし今回の事件、あなたのお知恵をお借りするまでもなく、わたくし真犯人を既に特定しておりますのよっ!」と言い、リビングルームの真ん中でバレリーナのようにくるくる回ってから、ビシッと謎のポーズを決めた。』…突っ込みどころしかないので、どこから突っ込めばいいのか分からないが…まず、「今回の事件」って何だよ!チリソースだったわけだし、何も事件起きてないだろ!

 俺はまず、最も重要であると判断した突っ込みから入れた。そして、謎のポーズって何やねん!と細かい突っ込みも忘れずに行ってから、次の文に進んだ。『「真犯人は誰だとお考えなのですか?あなたの推理をお聞かせ願いたい」暗智は冷静に尋ねた。西園寺は「真犯人は…チリソースがかけられていたエビですわっ!」と返答した。』エビが犯人って…。もうこの小説、イカが刑事でタコが弁護士でも驚かないレベルだな。ていうか、エビチリ食ってたら服にチリソースがついちゃっただけだろ、これ。

 『「さすがは西園寺夫人。お見事な推理です。しかし!あなたは重大な事実を見逃しておられる」名探偵暗智大五郎は、威厳に満ちた表情で静かに言った。「犯人は、この私なのです!この、暗智大五郎こそが真犯人なのです!」』…え?どういうこと?『暗智はそう言った直後、首のあたりを指でひっかくような仕草を見せた。皮膚の上に貼り付けられていた柔らかい樹脂のマスクが少しずつ剥がされていく。全てが剥がされた後、現れたのは阿川冬真であった。』うわ、ついに部員を登場させやがった!これじゃ身内しか楽しめない小説になっちゃうじゃん。『「ボクの天才的な変装に騙されてしまったようだね、諸君!!ボクが、嫌味ったらしく知識をひけらかすだけの地味な国語クラブ部員だと思ったら大間違いだ!天才なのだよボクは…フハハハハ!」』どさくさに紛れて冬真の悪口書いてるし…もうめちゃくちゃだよ、これ。

 『「ボクは冬真であり、怪人一億面相でもある!フハハハハ…」冬真はそう叫んで靴も履かずに庭へ出ると、ポケットから何か取り出した。小さなゴム風船かと思われたそれは、冬真が右手で高く掲げ、左手の指を手品師のようにパチンと鳴らすと、見る見るうちに大きく膨らんでいった。気づくそれは、西園寺夫人の豪邸よりも大きな気球になり、浮上し始めた。冬真もとい怪人一億面相の両足が地面を離れる。「さらばだ!諸君!フハハハハハ…!」そう言い残し、一億面相は空の彼方に消えていった。』

 俺は双葉に、「切りが良い感じで終わってるけど、これってもう完成してたんだ?今書いているのは、別の作品なの?」と訊いた。双葉は「オーッホッホ!!違いましてよ。一億面相の活躍はそれだけでは終わりませんわ!次の事件『たこ焼きの中のたこ消失事件』が起きるのですわ!とっても恐ろしい事件なのですわ!」と返答した。それを聞いた冬真は「アハハ、面白そうだね、それは」と、まさか自分が犯人にされているとは露ほども思っていない様子でのんきに言った。

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