八年後 24
鶴川はその日、作成したグループラインに『未希へ届け!』のURLを貼った。それにより、既に八十四話目まで読了していた阿川に加え、双葉と高山も『未希へ届け!』を読むことが可能になった。二人はそれぞれの自宅で一話目から、現時点での最新話である八十四話目まで、一気に読み終えた。読み終えたあと、高山はグループラインにメッセージを送信し、次のようなやり取りがなされた。
高山『今、読み終えました。大学でいつも会っている岩瀬君が、小学生として出てくるので不思議な感じがしました。しかも、かなり言動が個性的ですね。笑』
鶴川『「突っ込みが追いつかない男」ですからね、彼は。笑 普通はまともな言動がベースになっていて、たまにボケが入るわけですが、あいつの場合はボケがベースで、ごくたまにまともなことを言うんですよ』
高山『笑 それって凄くないですか?もはや才能ですね。笑 小説の中に出てきた田辺加奈さんという岩瀬さんの彼女、すごく魅力的な人ですね。岩瀬さんは確か「今は彼女いない」と言っていたので、別れてしまったんですかね?なんだか寂しいですね。田辺さんとずっと付き合い続けて欲しかったな…なんて思っちゃいました』
鶴川『それは僕もすごく思います。田辺さんって、何かと言うと蹴りを入れてくるところは難点ですけど、それを高速でかわす技術さえ身につければ、楽しくて良い子なんですよ』
高山『え?こっちが技術を身につけなきゃいけないんですか?笑 普通は蹴りを入れるのをやめさせることを考えると思うんですけど、相手を強引に変えようとしない姿勢が鶴川君らしいですね…』
鶴川『いや、普通に何度も「やめろよ暴力女!」とか言いましたけど、何回言っても変わらなかっただけです。笑』
高山『そうなんですね。笑 あと読んでいて思ったのが、小説を書くのって、心の中にある想いとか、頭で考えたこととか、自分をさらけ出す勇気が無いと書けないものなんだな、って思いました』
鶴川『それは、どんな小説にするかによって幅があると思いますよ。僕のは完全に私小説なのでそういう方向にかなり寄っていますけど、例えば高山君が好きなトム・クランシーのような作品を書くのであれば、僕の作品みたいに自分の心の内をそのまま延々と語るようなことは別にしなくても、書けると思いますよ。間接的に自分の想いを反映させていくことは、もちろん出来ると思いますが』
高山『いや、僕は自分で書くなら、トム・クランシーのような分野ではなく、もう少し日常的なことを題材にしたいと考えています。双葉さんが言っていたように、僕と妹のことを書いたりとか。ていうか、こういう会話って、グループラインじゃなくて一対一の方でやった方がいいですかね?』
鶴川『いや、むしろこういう会話こそ、グループラインですべきだと僕は思っています。創作に関するこういう会話を共有することには大きな意味や利点があると思います』
高山『確かにそうですね。鶴川君の作品を読んで、双葉さんがどんな感想を述べるのかも楽しみです。阿川君は何て言ってたんですか?』
鶴川『スネ夫は、「ボクはもっとキリッとしてるはずだ」とか、ふざけたことをぬかしていました。笑』
阿川『またスネ夫とか言ってるし!』
鶴川『えっ!見てたのかよお前!笑 なにロムってんだよ!』
高山『アハハハ!阿川君、最高っす!』




