魔剣の正体と領主からの招待。そして始まるSHOWTIME
33話修正版です(;´Д`)
失礼いたしました。。。(´・ω・`)
33話 - 魔剣の正体と領主からの招待。そして始まるSHOWTIME
キンッ ギインッ ガインッ キンッ
金属同士が激しくぶつかり合う音が幾度となく響き渡ると同時に瞬間的に立ち位置が入れ替わっていく。
おたがい余計な事をしゃべる間もなく。またそれを楽しむように命のやりとりを続けていく。
おかしい。
頭の中でなにかわからない違和感を感じつつ、追いかけ、追いかけられ、刃を合わせ、吹き飛び、吹き飛ばす。
間合いがあいて一呼吸ついて、同じように構えた状態で息を整えている泥棒さんを観察する。
なにかがおかしい。
泥棒さんが使っている剣は小剣くらいの大きさの片刃で少し反りのある幅広の剣。
鈍い鉄色の刃は鉈を想像させる。
あぁ。昨日の氷の刃を使ってないんだ。
「その魔剣の特殊効果は使わないのかい?」
お互いに隙を狙っていて動きのないときに話しかけてみる。
「肯定。消費が激しい」
消費?回数制限があったりするのか?
「じゃあ使わせるまでだ。」
小鳥遊流刀術。居合:十字
間合いすれすれで、鞘から抜いた刀を横なぎにし、そのままの勢いで上からの高速の一撃。
とった!と思ったら2撃とも泥棒さんをすり抜け、空ぶる。
「笑止。それは残像」
うわ、むかつく。
烏。いくぞ。
濡羽黒烏に自分の中の魔力を流し込むイメージ。
刀身がどんどん冷たくなり、次第に周りの空気を凍らせ、刃を鋭くする。
周囲の空気自体もどんどん気温が下がり、地面や崩れた壁までもがうっすら凍り付いていく。
「驚愕。魔剣並み」
盗賊さんも剣をかまえ。。。ないで、腰のポーチから金貨を取り出す。
その金貨を剣の刀身に開いた穴へ通す。
あれだ。貯金箱にお金を入れる感じで。
ちゃりん
「起床。魔剣オーズ」
盗賊さんがそう言った瞬間、持っていた剣に火を纏い、刀身を青く染める。
おいおい、青い炎ってだいぶ熱いんじゃなかったか?
剣の周辺の空気が熱されていて、ゆらゆらと揺らめいている。
かなりの高温となった魔剣が凍りついた周囲を溶かし周囲には霧が立ち込める。
だいぶ濃い霧になってしまっているため、自分の手の先すら見えない。
向こうも同じとは思うが、これはまずいな。
ちゃりん
霧の向こうでは再度また硬貨を入れた音が聞こえた。
その瞬間なにかを感じたので飛びのくと、いままでいた場所に雷が落ちたような音がした。
あっぶねー。。。
なんだろ、お金を入れると属性が変わる武器?
しかもそれを使いこなす腕と財力。
あぁ、だから泥棒してるのか。
まぁ大体わかった。
「おーい、引き分けにしねーかー?」
霧の向こうにいるであろう泥棒さんに大きな声で問いかけたら俺の後ろから声が聞こえた。
「了承。満足?」
おおう、すでにそんなところに。
これ引き分け持ちかけてなかったら斬られてたな。
あぶねーあぶねー。。。
「満足満足。もうおなかいっぱい。」
「歓喜。了解」
その後またちゃりんと硬貨を剣に入れ、吹き出た風で周りの霧を上空へ吹き飛ばす。
ものすごくずるいな、その武器。
「いやたいしたもんだ。その武器に喰わせるために泥棒を?」
「肯定。大喰らい。」
「腕もあるんだから違う武器にすればいいのに」
「否定。呪い」
呪い?
あー、つけると外れなくなるあれか。
「教会とかで解呪とか出来るんじゃないのか?」
「否定。実践済み」
さいですか。
「しっかしだいぶ金使わせちゃったな。すまんな」
「落胆。金貨4枚」
「おおう、そりゃすまん。って金貨4枚ってどれくらいの価値なんだ?いまいちよくわからんのだが」
「薫陶。家族4人2ヶ月」
薫陶ってなんだっけ。教えるとかって意味だっけか。
家族4人で2ヶ月ってことは、5~60万ってところか。
ってことは1枚12~15万くらいか。
いくら性能いい武器とはいえ、毎回そのお金が飛んでいくのは痛いわなぁ。
「その魔剣の性能は複数属性をお金で切り替えられる。であってる?」
「否定。属性を買う」
「買う?」
「肯定。刃を合わせた相手の属性」
うん?
剣を交えた相手の武器の属性を覚えて、それをお金で買える。ということか。
なんという対人戦専用武器。
あーーーー
俺の武器と合わせた時に氷属性買ったのか。
で、今回は炎と雷と風。
すげぇな。
そしてその魔剣にはいくつの属性がストックされているのか。
「そうか。いろいろ教えてくれてありがとう。君はまだあの町を拠点にするつもりかな?」
「否定。他の街」
他の街か。
アルファミラじゃなきゃいいなぁ
「まぁ、あんまり派手にやらんようにな。」
「肯定。感謝。」
その瞬間、泥棒さんは空気に溶けるように消えていってしまった。
ぽつんと遺跡に残された俺はよし、と気合を入れなおして街へ戻るために歩き出した。
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はい。
神威に起こしてもらえないと満足に起きられない瞬です。
気がついたら日も昇りきり、すでにお昼でした。
もうなんか出るのもめんどちくなっちゃったな。
まぁ下でお昼食べてその後考えようか。
ベッドから起き上がり、服を着替える。
この部屋には備え付けのパジャマっぽいのがあるからそれを着て寝てるんだけど、脱ぐのがもったいないくらい着心地がいいんだよね。
とはいえ着替えないと外にも出られないだろうから着替えよう。
階段を降りると食堂ではまたあの貴族が騒いでいる。
それぞれのテーブルに押しかけ、おまえか!おまえか!とかやってる。
うわぁ。めんどくさいなぁ、こいつ。
オーナーさんも額に青筋立ててるね。これは爆発寸前だわ。
係わり合いにならないようにオーナーさんに鍵を預けてもう外に出よう。
「おい、そこの小僧!少し待て!」
とかいう声が聞こえたが無視無視ー。
宿の外では立派な馬車と護衛らしき人が数人いたけど無視。
避けるように通りに出て、そのまま市場の方に移動しちゃおう。
お腹もすいてるしね。
途中にあった洋服屋で安い『男物』の服の変えを一着購入し、着替えさせてもらう。
髪の毛の色とかでばれそうだけど、まぁ気分的にね。
あー、そういや明日領主と会うのに正装じゃなくていいんだろうか。
神威はあの服あるからいいとして、僕の分は用意しなきゃダメだろうなぁ。
着替えが終わったら服屋さんの店員さんに、既製品の仕立て直しで正装をお願いすると、ちょっと割増料金で今晩には仕上げてくれるとのこと。
明日の朝に宿に持ってきてもらうようにお願いをし、店を出て市場へ向かった。
市場の屋台で白パンに鳥の肉と野菜を挟んだチキンバーガーみたいな物を食べ、魔法具なんかの露天を見て時間をつぶす。
露天には魔法の発動体の変わりになるような指輪だったり、鑑定を回数制限で出来る虫眼鏡だったり、回数の残り少ない中古の魔法の鞄なんかが売っていた。
個人的には障害物を透けて見ることの出来るモノクル(強)だったり、一瞬の突風を起こすことが出来る団扇だったりの方が気になる。
ただ、店主の話だと、モノクルは服どころか、肉体まで透けて見える。団扇はほんとに一瞬しか突風は起きないため、見えるほどスカートは捲れない。浪漫は諦めろと。
残念すぎる。
本当に残念すぎる。。。
僕にも女っ気をぷりーず。
適度に時間もつぶせて、市場が夕飯の買出しでにぎわい始めた頃に宿へ戻る。
帰る途中で腕相撲の賭けをしていたので参加してさくっと勝利。あぶく銭の収入がありました。あざーっす。
まだ宿にあの豚くんいるのかなぁ。とか気落ちしながら帰ると、もうとっくに帰ったっぽい。
オーナーさんも来ても僕の事を教えないし、居座るようなことをさせる気もないそうだ。
さすが高い宿なだけあるね。
あ、ちなみにさっきのお金で神威の分と含めてあと3泊出来るように延長してあります。
夕飯は部屋でも食べられるそうなのであとで持ってきてもらう。
神威ももう帰ってきているそうなので部屋で一緒に食べようかな。
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部屋で濡羽黒烏の面倒を見ていたらどうやら瞬が帰ってきたようだ。
ひと段落したところで瞬の部屋に行き、声をかけると夕飯は部屋で食べることにしたらしい。
まぁ今日は下も混んでたしな。
「そっちは満足したの?」
「おう。楽しかったぞ」
泥棒さんとの熱い語らいはもうないだろう。
他の街に行くって言ってたし、俺らももうすぐこの世界からは帰っちゃうしな。
あぁいう流派の違う使い手と打ち合うのは勉強になるよな。
予想もしないところから剣が振られてきたりとか。
あと、あの魔剣。
呪われているとか言ってたけど、だいぶ面白い剣だった。
「そんな楽しかったんなら僕も行けばよかった」
「だが断る。」
しょぼーんとした顔の瞬を適度にからかってると、ご飯の到着。
瞬の分は普通の量。
俺の分は最初から超大盛り。
比較で言うと、1:5くらいか。
わかってるね。主人さん。
その後今後の事を話し合いながら夕食を食べる。
ふむ。このエビっぽいのの姿焼きはうまいな。
お、こっちはフォーかな?こういう麺みたいな文化もあるんだな。
うどんとかそういうのあったら食べたかったなぁ。
夕飯も食べ終わってまったりタイム。
「そういや明日領主さんに会うけど何話すもんかね」
「どうしようねぇ。困ったときにはお師匠さんの話でも出せばいいかなぁ」
まー、じーさんの話は聞きたいだろうしな。
残り少ない時間でどこまで伝えられるかわからないが、前向きに善処しよう。
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翌朝。
朝一でオーナーさんに起こされ、服屋さんが仕立て直した服を持ってきてくれた事を伝えられた。
受け取って一度着替えてみて欲しいと言われ、着替える。
選んだのは黒の学ランのような服。
脇がちょっときついのと、上着の裾が短い。かなり短い。
これはあれだ。短ランとかいう奴だ。
腰紐が隠れるくらいの長さがあったのに今はズボンの上が見えてしまうくらい短い。
なんでこうなった。。。
脇がきついのはオーナーさんの方で手直しをしてくれるそうなので一度預けて再度ベッドへダイブ。
神威が迎えに来るまで二度寝しましょう。
その後神威が起こしに来たのはだいたい午前10時ごろ。
ちょうどこれから汗を流して着替えて向かえばちょうどお昼に向こうにつく時間。
さすが神威さん。
オカン力はんぱない。
神威も一度部屋に戻って汗を流してくるとのことなので、こちらもシャワーを浴びてさっぱりした後、オーナーさんが直してくれた短ランを着込む。
ううん。お腹が涼しい。
仕立てお願いしたときはこんなに短くなかったのに。。。
戻ってきた神威は王都で着ていた白の長ラン服。
なにこれ。どこのヤンキー軍団ですか。
木刀もって殴りこみですか。
「じゃあ出発しますか」
「おう。旗持ちはまかせとけ」
「旗はもたんでいい!!」
部屋を出て階段を降り、受付でオーナーさんに鍵を渡す。
表から出ようかと思ったらオーナーさんに裏口から出るように指示された。
「表にはあの馬鹿貴族がいるので裏口からどうぞ。馬車を用意してあります」
なんと。
オーナーさん素敵すぎます。
神威以上の気配り。
裏口には窓などは布っぽいので中が見えないようにしてある黒い馬車が止まっていた。
「シュン様とカムイ様ですか?」
御者さんが僕らを見つけるなりそう声をかけてきたのではい、と伝えると御者席から降りて踏み台を用意してくれ、馬車の中へ案内される。
「ではこのまま領主様の館まで移動させていただきます。」
お願いします。と席に座った御者さんに伝えるとゆっくりと馬車は動き出した。
王都とは違い、完全に道が舗装されているわけではないので少しゆれるときもあったが、まぁ大体は静かだったので助かった。
会う前から馬車酔いとか最悪だもんね。
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30分くらい走った馬車が急に止まり馬車の扉が開いた。
「到着いたしました。」
馬車から降り、館の玄関に通され、執事さんとメイドさんたちが出迎えてくれる。
メイドさんなんてアキバ以外で見ないよね。。。
2階にある応接室に通されるようで、執事さんが案内してくれた。
「こちらでお待ちください。準備が整い次第お呼び致します。」
執事さんは綺麗に礼を行い、扉を閉める。
「さて、もうすぐご対面なんだけど感想はいかが?」
「んー。じーさんの奥さんって言っても実際面識ないからなぁ。普通の領主さんとしてしか相手できなさそうだ」
「ですよねぇ」
瞬とソファーに座って執事が迎えに来るのを待っていると、迎えに来たのはメイドさんだった。
頭に猫耳がついた。
もう一度言おう。
頭に猫耳がついた。
ケモミミキタコレ
そのケモミミさんが言うには、ちょうどお昼時なので領主さんと一緒に会食をするらしい。
そして連れて行かれたのは学校の教室くらいある部屋。
中にはかなりの大きさの食卓があり、さまざまな料理が大量に並んでいる。
うおぅ。これは滾る。
領主さんはすでに上座に座っており、俺らを見ると立ち上がり挨拶をしてきた。
「ようこそ。ダンゴール領へ。私が領主のリリー・ダンゴールです。でもあなた方には『桜』と呼んでもらった方が嬉しいわね」
!?
たしかに桜の様な綺麗なピンク色の髪。だけどほんの少し紅が混ざっている。
なんだっけ。ソメイヨシノはたしか白っぽいピンクだったよな。
寒緋桜とか八重桜とかそういう種類だっけか。よく紅桜とか言われる種類の。
ちなみにリリーと名乗った女性は、160cm程度のじーさんと同じくらいの身長、比較的ふくよか。
髪の毛はさっき言ったとおりの色で、腰くらいまでの長いロング。だけど質量があり、さらさらしてそう。
見た目は40代くらいだな。
じーさんの嫁さんってことは実際は50~60代のはずだがそうは全然見えない。
驚愕している俺らを見ながらクスクスと笑いながら「とりあえずお座りになってください。昼食を頂きながら話をしましょう」と言ってきた。
座ろうとした際、メイドさんが椅子を引いて座りやすくしてくれる。
こんな待遇でいいのかねぇ。
「挨拶が遅れてすみません。小鳥遊神威といいます。幽玄の孫です」
「浅井瞬です。お師匠さんの弟子です。」
挨拶をする際、苗字と名前を逆さにしないで自己紹介をする。
じーさんの関係者ならこっちの方がわかりやすいと思うし。
「桜というのは結婚するときに幽玄さんが付けてくれた名前なんです。」
思い出し、頬をうっすら染め両手を頬に当てていやんいやんしている。
なんだこの可愛い生き物。
「じーさんの奥さんってことは苦労したでしょう。なんかすみません」
「いえいえ、いいのよ。私を置いてどこかへ行ってしまうとかその後10年もほったらかしにされてるとか全然気にしてませんから。」
うん、無表情の笑顔が怖い。
「おかげで旦那に逃げられた領主だとかいろいろ言われたのなんて貴族同士の社交場で肩身の狭い思いをしたなんてこともありませんし。」
もう。。。もういい。。。やすめ。。。。
その後は桜さんの愚痴を聞きつつ用意された料理を平らげ、食後のデザートまで完食してしまった。
話の中ではじーさんの今のこととかも聞いてきたが、いまだ独り身でいることを伝えると嬉しそうな顔をしていた。
じーさんや俺らが違う世界から来ていること、じーさんにはもっと若い頃にも嫁さんがいたこと、息子がいて、孫もいること。
その辺の事情は一通りじーさんから聞いているらしく、こっちから説明する必要がなかった。
「そういえば幽玄さんはなんで今回来なかったのかしら?」
「今回来れたのは俺とこの瞬だけなんです。申し訳ない。」
「私がそっちにいければいいんですけどねぇ。どうにかいけないものかしら」
領主の仕事ェ。。。
そんな話をしていると執事さんが、そろそろ次の面会が。というので席を立とうとすると、桜さんが
「幽玄さんの孫なら私の孫と同じ。だから貴方達がこの街にいるときはこの館を使いなさいな」
と言い出した。
そりゃ助かるけどさ。
いいのかね。
とか考えてる間にテキパキと執事やメイドに指示を出し部屋の用意をさせようとしている桜さんに、執事は「すでにご用意は出来ております」と告げている。
できる執事や。。。
「あぁ、そうそう。私はこの後仕事があるのだけれど、娘をお願いしてもいいかしら。あの子友達とかいないから仲良くしてあげて」
娘とな?
じーさんとの子??
がんばりすぎだろう。じーさん。
「わかりました。お会いしたときにでも。」
よろしくねー、といいながら部屋を出て行ってしまった桜さんの後姿をみつつ、メイドさんに再度連れられ用意してもらえた部屋まで移動する。
「なんというか、展開が読めない」
「同感。でもパワフルな人だったね」
廊下を歩きながら瞬と話をしていると、前を歩いているメイドさんが笑いをこらえている。
「リリー様は普段はもっと気難しい方なのですよ。幽玄様がいなくなってからあんなに砕けた話し方をしているのは久しぶりです」
「そうなんですか?」
「普段の顔は『領主様』ですから。楽しそうにしているリリー様が見れて安心しました。館に逗留している間だけでもリリー様のことよろしくお願いします。」
「承りました。とはいっても話し相手になるくらいしかできませんけどね」
その間瞬はメイドさんのスカートから出ている尻尾に視線が釘付け。
もうもふもふさせてもらえばいいじゃないか。
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向こうに帰るまであと3日となりました。
館に二日ほど逗留をしている間は、桜さんの話し相手や愚痴ききをしたり、人見知りだった娘さんと仲良く話せるようになったりとしたくらいで、特筆事項はなしなので飛ばす。
で。
館は今日は朝からなんか忙しそうにしています。
どうしたんだろうね?
神威なんかは「きたかっ」とかフラグになりそうなことやってるけど放置して、館内を走り回っている騎士さんを捕まえて、何が起こっているのかを聞く。
「今、ダンゴールの街に多種多様な魔物が進行中なんだ。数は大体で1万。森狼みたいな動物型から小鬼だったり豚鬼だったりトロールだったり、果てはワイバーンやドラゴン種まで確認できている」
おうふ。
神威のフラグが当たっちゃったよ。。。
神威を連れて桜さんのところへ。
何かやれることはないかと聞いては見るが、1冒険者に出来ることなんて限られているからなにもしなくていいと言われた。
でもこの街抜かれると次は王都なんだよなぁ。
神威と顔を見合わせ、お互いにうなずく。
神威も同じ気持ちのようだ。
「桜さん。大群が到着するまであとどれくらいですか?」
「このままならあと6時間といったところね。街の北部に広い平野があるからそこでは進行速度も上がるでしょうし」
6時間もあるのか。
ふむ
「神威。壁、貼れる?」
「まかしとき。どういう風にやる?」
「ドーム状に、街を囲うようにしようか。北側だけでいいから。壁の真下は堀で。高さは飛竜対策でかなり高く。」
「おーけい」
そのままもうそこには用はないと桜さんの前から移動しようとする。
「ちょっと待ちなさい、貴方達。まさかとは思いますが戦場に行くんじゃないでしょうね」
「え?行きますよ?」
「まぁ安心しててくださいな。ばーさん」
振り返らずに後ろ向きで桜さんに手を振る。
後ろからは桜さんの怒鳴り声が聞こえるから怖くて振り返れない。
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街の北のほうには迎え撃とうとしている騎士達が500人単位で準備をしている。
その合間をぬって、北門から出る。
そこにはかなり広い平原があり、見晴らしがいいため、はるか先で上がっている砂煙なんかも確認できる。
街から100mほど離れたところで、瞬と並び、濡羽黒烏を抜く。
隣では瞬も嵐雷鵺を抜き、これからやる作業に対しての準備を終える。
「さて、神威くん。やりますか」
「せやな。瞬くん。やりますか」
二人は手に持った刀を杖のように構え、高らかにそれぞれの刀に対して檄を飛ばす。
「本気で行くぞ。濡羽黒烏!」
「気合で行くよ!嵐雷鵺!!!」
俺が持つ刀からは冷気が。瞬が持つ刀からは雷が。
いままで見たこともないくらいに放出され、二人の周りで荒ぶる。
「我が望むは全てを守り通す壁!」
「我が望むは全てを退ける壁!!」
「何者にも破壊されない氷の壁を!」
「何者にも犯されない雷の加護を!」
「「我らが魔力を糧に。顕現せよ!!!」」
「「合体魔法!!永遠の氷雷壁」」
この合体魔法というのは瞬が精霊さんに教えてもらった上級技らしい。
その後俺にも教えてくれていたのだがいままで使う機会がなかった。
それが今回初お披露目。
厨二全開だけどこういう方が気分が出るよね。
身体の中の魔力をほぼ全部使って氷の壁を作る。
あれだ。ドーム型球場とかで半分屋根が閉まっている時のような感じのイメージ。
厚さも5mほどにして幅も10km。街全体を北半分だけ囲うくらいの大きさで作られた氷壁は、作り上げられた瞬間に瞬の雷で少し溶かし、それをまた冷気で凍らせることによって、中に気泡のない堅い氷を作り出す。
重さも相当なんだが、それを支えるように氷を組んでいるため、3日くらいは持つだろう。
終わったときに崩すことを考えると気が重いがそれはまぁまた後で考えよう。
氷壁の向こうでは騎士達が驚愕していたり騒いでいたりするがまあ君達はそこにいたまえ。
むしろ街と民を守るのが君達の仕事だ。
出てこようとしているが、無駄だ。門は塞いだ。
二人して魔力を使い果たしているため、魔法薬を飲む。
これでしばらく休んでいればだいぶ回復するだろう。
全快は無理だろうけど。
「相棒よ。数は1万。やれるかね。」
「相棒よ。一人頭5000だね。やれるでしょ」
「ふむ。全部やってしまってもかまわないんだろう?」
「出来るものならどうぞ。とりあえず街を通過させないように端の方で通り抜けようとする奴からやろうか」
「だな。範囲いっちゃう?」
「いっちゃおうか」
戦闘時の方針をさらっと決めて地面に座り込む。
目に見える範囲での進行速度ならあと3時間は大丈夫なはず。
その間に少しでも魔力を回復させて次に繋げなきゃな。
俺は座禅、瞬は正座。
それぞれで精神統一しやすい方法で身体の中の魔力を練り上げる。
もっと。もっとだ。
量は少なくてもいい。
もっと濃く。もっと深く。
身体の中のだけじゃ足りないならそこらじゅうにある魔力を取り込め。
目を閉じていても、瞬からも俺からも練り上げた魔力が渦を巻くほど。そして目で見えるほどの濃さになっていることがわかる。
俺の周りの地面はすでに凍りつき、瞬の周りは帯電し、焦げている。
もう魔物の群れも先頭集団が目視できるほどの距離にいる。
2km程度か。
そろそろだな。
「じゃあいきますぞ」
「了解。派手にやろうか」
「「It's a ShowTime !!」」
さぁ盛り上がってきました。




