魔剣と刀術士と大泥棒
32話が書き上がりました。
ぜんぜん話が進まない(;´Д`)
32話 - 魔剣と刀術士と大泥棒
クルさんに連れられて来ましたのはダンゴールの倉庫街。
横浜の赤レンガ倉庫みたいな雰囲気のいい倉庫がいくつも並んでいる。
街頭は町の中と比べてだいぶ少なく、朝方だから道も薄暗い。
逆にこれくらいの薄暗さの方が赤レンガが映えるけどね。
倉庫街の一番奥にクルさんが借りている倉庫があるそうだ。
軽く体育館くらいあるけど、これでも一番小さいランクらしい。
一番でかいのってどんなのなの。。。
倉庫の中に入り、クルさんと一緒に鞄の中に入れていたものを取り出す。
一通り山を出し終わった後、クルさんは倉庫の奥に行き、持って帰ってきた鉱石から抽出を開始する。
同じ種類の鉱石を纏めて簡易炉に入れ魔力を注ぎ込むと、炉の中は轟々と音を立てて熱が上がり、雨どいみたいになっている細い管の上で赤く熱されたものが流れ出てくる。
流れ出たものは管の先で、一度大きな器に流し込まれ、その後はインゴットの型に流し込まれる。
最初にやっていたのはどうやら魔法銀だったらしい。
冷えて固まったインゴットは綺麗な銀色になって積みあがる。
その後も神鉄や|木目鉄《ダマスカス、桃魔鉄と続き、どんどんとインゴットの山が出来ていく。
インゴットの大きさは一個で平均的な剣が一本打てる程度の大きさらしく、大体5kgで統一されているらしい。
素材屋ってのはここまでやるのね。
たいしたもんだ。
水晶やエメラルドやルビーのような宝石関係の原石は別の所でちゃんとした加工をするらしいのでここでは手を加えない。
記念に小さな水晶とルビーの原石をもらった。
らっきー。
でもビー玉くらいの大きさのものでも「小さな」部類なんだなぁ。
異世界恐るべし。
その後は俺の鞄に入っていた鉄の山を同じように炉に入れ、インゴットに変える。
こっちはかなりの量になり、インゴットで約500本になった。
品質は低品質と普通。だったけど。
しっかしこの山だけで2.5tですか。
さっきまではこれの他に岩とかもついていたわけだから。7~8tの物が鞄に入っていたのね。
鞄すげぇ。重さ完全に無視なんだな。
明日の夜にギルドで打ち上げをするとの約束を交わし、クルさんと別れ倉庫から出る。
もう日は真上まで上がっている。
あぁ、もうお昼なのか。
きらーん。
当然屋台攻めだよな。
そうと決まれば倉庫街から抜けて市場へだーしゅ!
としようとした所で目の前に空から誰かが飛び降りてきた。
あっぶねぇ。
黒装束。
第一印象はそれ。
顔全体どころか、髪までもが黒い包帯みたいなものでぐるぐると覆われ、目以外はなにも見えない。
服装も黒一色のコートみたいなものを身体に巻きつけ、体型などがわかりづらくしてある。
背中にはなにやら鞘に仕舞われた短めの剣が背負われている。
一瞬目があったが、なにやら呟いてすぐに別の倉庫の方向へ走っていき、まばたきをした瞬間に消えてしまった。
なんだったんだろう?いまの。
忍か!忍のものなのか!?
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市場で屋台制覇を試みていると、半分くらい食べたところで騎士団らしき団体に囲まれた。
「少し聞きたいことがあるんだが一緒に詰め所に来てもらえないだろうか?」
ん?
なんかやったっけかな
「任意ですか?強制ですか?」
「任意という名の強制だ。後ろめたい事がないなら素直に来てくれると助かる。」
うーむ。
何人かは腰の剣に手を当てて抜剣寸前だなぁ。
おとなしくしておくか。
今回はなんにもしてないしね!
まだ!
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宿で一眠りしたけどまだ神威が帰ってこない件。
お昼時だから市場で屋台制覇!とか言ってそう。
宿で普通にご飯を貰って食べていると、他のお客さんがさっき市場で神威が騎士団に連れて行かれたことを教えてもらえた。
なにやってるんだか。。。
詰め所の場所を教えてもらい、ご飯もそこそこに迎えに行く。
ご飯の恨みは高くつくぞ、神威よ。
聞いたところでは詰め所は領主の館のふもとにあるらしい。
昨日行った門番さんのところにでも行けばわかるかな?
詰め所に向かって街を歩きながら途中の屋台で野菜と肉を一緒に刺して焼いた串を食べる。
おいし。
ちょうど食べ終わったところで詰め所の前に立ってる門番さんが見えた。
「すみません、昼頃に連れて来られた人の関係者なんですがー」
「ほう。ちょっと待っててくれ。中に確認にしてくる。」
といって門番の一人が中へ走っていってしまった。
もう一人の門番さんにやれやれ的なジェスチャーをすると、残された門番さんも苦笑していた。
「うちの連れはなんで連れて行かれたんですかね?」
「詳しくは知らないが、とある事件の参考人といっていたぞ。情報を貰うだけだろうからひどい扱いはされていないはずだ」
参考人ねぇ。
っと、さっきの門番さんも戻ってきたね。
「中に入っていいぞ。入り口のところに案内してくれる騎士がいるから着いていってくれ」
「わかりましたー」
騎士に連れられて行ったのは応接室のような取調室。
そこで神威は大量に詰まれた肉串を食べながら取調べをしている騎士さんと笑い合っていた。
「おーう、瞬じゃないか。」
「なにやってんのさ。迎えに来たよ」
「まぁまぁ。ちょいと座れ。面白い話があるぞ」
といい、僕に椅子を勧めてくる。
しょうがないなぁ、といいつつ椅子に座ると、対面に座っている騎士さん。
ダンゴールの街の騎士団長らしいが、神威を連れて行った理由を話してくれた。
なんでも、倉庫街で泥棒が出て、貴族の家から魔剣が盗まれた。
そしてその通報があったとほぼ同時に倉庫街を歩いていたという神威を見たとのことで、連行されたとのこと。
ここに連れて来られてから、神威はその時間には、クルさんと鉱石を加工したりしてたアリバイがあるのでよくよく話を聞いたら無罪放免。
だけど、帰り際に神威がたぶんその泥棒であろう人物を見ていたのでそれを報告。
騎士団としては協力に感謝!で終わるところなのだが、神威の悪い癖が出てどうやら首をつっこみたい模様。
そこにちょうど僕が来て今現在説得をしようとしている。
3行で纏めると、
魔剣が盗まれた。
泥棒がいるらしい。
面白そうだから俺らも追おうぜ
こんな感じ。
まぁ別に協力するのはやぶさかではないんだけど。
領主さんと会う約束忘れてないかい?
たぶん今晩当たりに連絡来るよ?
「大丈夫だって。こっちから先に門番に言いに行っちゃえばいいんだよ」
「さいですか。つかなんで首突っ込みたいのさ」
「え?魔剣見てみたいじゃん」
おい、それだけか。
「え、それだけ?取り返した後に見せてもらえばいいじゃん」
「ばかだなぁ。使ってるところを見たいんじゃないか。ロマンだろう。ロマン」
もう好きにしてくれ。
「追いかけっことかは僕は疲れるから宿にいるよ?」
「おう、かまわんかまわん。領主さんからの使いはそっちで対応しておいてくれ」
「はいはい」
騎士さんに肉串を勧められたので一本だけ貰い、詰め所を出て宿に戻る。
。。。なんか僕より異世界堪能してるよね、神威って。
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宿に帰っていった瞬を見送った後、楽しみのために街で情報収集。
定番は酒場だよね。
酒場のマスターに飲み物を注文して、今騒ぎになっている泥棒についての噂話を聞きだす。
当然未成年だからアルコールじゃないよ!
なんでも泥棒騒ぎはここ3ヶ月ほどで目立つようになった。
狙うのは大商店や貴族などの金持ちからの所。
一回の盗みで一個の物しか盗まない。
盗む対象はなにかしらであくどい事をした人。その人の持っているその時点で一番市場価値の高いもの。
時間帯も場所もまちまち。規則性はない。
などなど。
さすが酒場の親父さん。
情報通だねぇ。
とか話を聞いていたら銀貨1枚を請求された。
おおう、本職の情報屋さんでしたか。
んー。
規則性ないのかぁ。
どうにかして捕まえたいねぇ。
あー、あれ試してみるか。
他のゴミまで来ることになるかもしれんからあんまりやりたくないが、これ以外ないだろう。
酒場の親父さんにとある噂を流してもらうようにお願いをし、銀貨を1枚渡す。
噂が広まるまで時間がかかるだろうから今日は無理だろうけど明日以降なにか動きがあるといいなぁ。
そして俺に魔剣を見せてくれ!
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宿に戻ってきて夕ご飯を食べていると、カウンターでなにやら貴族っぽい人が宿の主人と話しているのが見えた。
こういう宿だとオーナーとかって言ったほうが似合うかもしれない。
貴族はなにやら怒っているようだが、オーナーの「さようですか」や、「お断りいたします」など、丁寧な言葉だけどとげのある言葉での反論に負けている。
そのうち貴族は怒ったまま、宿の扉を蹴飛ばすように開け、外に出て行ってしまった。
これだから貴族ってやつは。
夕ご飯を食べ終わって部屋に帰るのに、オーナーに鍵を貰いに行くと、さっきの貴族のことについて説明してくれた。
なんでも、僕らが近々領主のところに行くことをかぎつけて、僕らを馬車で送るから顔通しさせろとか言っていたらしい。
なんで顔も知らない奴のために馬車を出すとか高待遇をしようとしたのかと思えば、何のことはない、普通の下心満載の理由。
その貴族はこの街を治めている領主の補佐役の様な人の息子らしいのだが、領主の一人娘に惚れているらしい。
だけど補佐をしている貴族及び、さっきの貴族には悪い噂しかついてまわらず、領主側がだいぶ警戒して館には一歩たりとも踏み入れさせていないという。
そこで今回、僕らの噂を聞いて連れて行くのと同時に自分の息子を案内役にして館に入れようとした。
その息子ってのも普通の奴隷への虐待や店での横暴な振る舞い、街を歩いている娘を強引に連れて行ってはセクハラをしたり、娼館の代金を踏み倒したりとか、小さいんだか大きいんだかわからない悪事で有名らいい。
まぁさっきの貴族が街の人にものすごく嫌われているのはわかった。
で、僕らがいつ館に行くのか、とか行く人間は誰なのか。ってのを知りたかったんだろうね。
オーナーにメタクソに言い負かされて何も情報は入手できなかったみたいだけども。
まぁ僕もあぁいう貴族は嫌いだから関わり合いになりたくないのでちょうどいい。
ちなみに領主からの使いは今日の昼間に来ていたらしく、明後日のお昼頃に。とのことでした。
明日丸々空いちゃったな。
街にでも出てウインドウショッピングでもしてようかな?
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ふむ。
夕飯を食いそびれた。
宿に帰ってきたのはすでに日も落ちてダイブたった夜中。
宿の一回にある酒場にすら客もいない時間。
主人さんだけは起きていて出迎えてくれたけど、もう普通なら寝てる時間だわな。
すみません。
鍵を受け取り、部屋へ向かう。
ふむ?
鞄から刀を出し、抜刀状態で自分の部屋の扉を開ける。
部屋の中はまだ明かりもついておらず、真っ暗で、窓から入ってくる月明かりだけが照らされている。
その陰になっている部分。明かりの届いていないところ。
そこに『なにか』がいた。
扉をくぐって一瞬でその『なにか』が間合いに入るところまで移動し、一瞬で氷を纏った濡羽黒烏を振るう。
刃と刃が激しくぶつかり合う音が聞こえ、再度一瞬で間合いから離れる。
仕留められなかったか。
暗闇からチャリンという音が聞こえた瞬間、目の前の『なにか』からも濡羽黒烏を同じような冷気を感じた。
その瞬間イヤな予感がし、刀を宙に振るう。
するとその刀は再度なにかとぶつかり、激しい音を立てる。
あっぶねぇ。。。今のは気づかなかった。
でも月明かりで一瞬見えた。
こいつはあのときの泥棒だ。
黒装束に肌を見せないように巻いている黒い包帯。
そして短い剣。
あれが魔剣か?
再度暗闇に溶け込んだ泥棒から注意しないと聞き取れないような声で俺に話しかけてきた。
「忠告。私を追うな」
男とも女ともわからない機械的な声で言ってくる。
「俺はおまえを捕まえたいわけじゃない。手合わせをしたいだけだ。というか目的は魔剣だ。」
返事をした瞬間に、目の前から来ている冷気が激しくなり、部屋の壁自体が凍りだす。
すでにカーテンやベッドなどの布製品は凍り付いている。
「提案。本日、昼。ルイーゼの丘」
「そこに来いってか?わかった」
その瞬間、冷気は消え、部屋からの気配も消えた。
部屋の明かりを付けてもすでに部屋には誰もいなく、もぬけの殻だった。
カーテンもめくらずどうやって外に出たんだろう。。。?
さっすが忍だな!
。。。というかルイーゼの丘ってどこだ。
まずはこの凍った部屋をどうにかせねば。
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朝から起きてご飯前に日課の素振りと型を行う。
先日と同じように主人さんがタオルを持って待っていてくれたので受け取って部屋で汗を流す。
いつものように瞬を起こし、朝食を食べる。
「で、そのルイーゼの丘って所に行くん?」
「あぁ。ご指名みたいだしな」
ルイーゼの丘というのは、ダンゴールから歩いて2時間ほどの場所にある、丘に隠れた遺跡跡の事らしい。
「領主さんの方は明日のお昼だからそれまでに戻ってきてなー」
「おうおう、了解。」
さすがに今日は屋台によって腹いっぱいにするわけにはいかないだろう。
屋台のおっちゃんおばちゃん達に今日はいいのかい?とか通り過ぎるたびに言われるけど。
ものすごい惹かれるけども。
あぁもう!
帰りに寄るからまっとけ!!
門番には依頼だと言って通り抜け、ルイーゼの丘へ。
疲れを残さないようにゆっくり歩いていたが日が昇りきる前に遺跡跡に到着した。
遺跡跡で崩れた石に腰掛け、しばらく待っているとふと視界のはじに気配を感じた。
「おう、いらっしゃい」
泥棒さんはいつもと変わらない黒装束でこちらにゆっくり近づいてくる。
「質問。お前の目的」
目的?そんなの決まってるじゃんか。
「魔剣の性能と君の腕を知りたい。なので手合わせを希望だ」
「疑問。なぜ、この剣?」
首をかしげて質問をしてくる泥棒さん。
「純粋な興味だよ。魔剣なんてそうそう見ないしな」
「質問。貴方の武器、魔剣?」
「魔剣じゃないよ。魔法武器だけど。」
「落胆。そう。。。」
「ちなみにそれが盗み出した魔剣?」
「否定。昨日の、売った」
売っちまったんかい。
「そうか。んじゃそろそろやろうか」
「肯定。瞬殺。」
ブックマーク数が増えていました。わぁい。
やっと第一章で想定してた流れの8割くらいまで進んだ感じです。
主人公たち勝手に動きすぎ(笑)
また数日後に続きをアップしますのでお楽しみにー。




