王剣と王都と空の旅
仕事の合間になんとか書き上げました。
27話です。
27話 - 王剣と王都と空の旅
王剣とやらが教会に到着したのはそれから1時間程たったときであった。
飛竜隊という10人ほどで教会前の広場に舞い降りたらしい。
教会でミサに参加していた人達はそれはもう大騒ぎ。
『王剣』と言われる国直属の護衛騎士。その中の上位10人。
王剣とは王都の護衛騎士全員を指す言葉らしく、王自体を護衛する直属の兵ではないんだそうだ。
「王の剣」じゃなくて「王国の剣」なんですって。
それぞれの街にいる騎士達の頂点に立つ騎士達。
それが飛竜を使って、いままでミサをしていた教会に乗り込んできたんだからなにごとかと思うだろう。
市民からは英雄視され、騎士からは憧れの対象であり、畏怖の対象となる。
「ティーカイズ、貴様を連行する。教会の助けはないものと思え。」
部屋に入ってくる際、戦闘に立っていた王剣の一人がそう告げると観念した様子で床から立ち上がり、後ろにいた王剣に連れて行かれる。
部屋の中に一緒に捕縛していた騎士団の連中も同じように紐で手首を繋がれ、部屋の外に連行されていく。
そして部屋の中には俺と王剣の一人だけが残った。
「君がカムイという少年かな?今回の件、対応に礼を言う」
「いえいえ、お気になさらずに。」
軽く騎士礼をしてくれたのでこちらも気にしなくていいと告げる。
「そうもいかんだろう。それでどこでこの情報を知ったのかな?」
うん、めちゃめちゃ怪しまれています。
「普通に経験ですよ。あとは情報の裏取りとはったりと勢い。」
「それは大した観察眼と度胸だな。」
俺を見定めるような目で目線を合わせてくる。
目を逸らさないように、そして睨みつけることのない様に同じく王剣の目線に合わせ、しばらくの時間がたつ。
照れるじゃないか。
そして次の瞬間。
キインッ
お互いが鞘に納めていた武器を抜き、首を狙うが同じように躱し、剣と刀がが激しい音を立ててぶつかる。
あぶねぇ。。。
「ほう、やるねぇ」
「そちらこそ」
その一撃だけでそれぞれは再度武器を納め、鞘へしまう。
こういうのはやめて欲しいものだ。
「名乗りが遅れたな。タタールト王国王剣が一人。団長を務めさせてもらっているラミール・リズという。呼ぶときはラミールでいい。どうかな、この後時間があるなら王都に一緒にこないか?」
ラミールと名乗った王剣は、
団長さんでした。お偉いさんです。
いきなり王都へのお誘いとか何を考えているの。
「この後ダンゴールの街へ行く予定なのです。さすがに王都まで往復してる時間はないので今回はお断りさせていただきたく思います。」
事実やろ?
最悪、ダンゴールでタイムアップという風にするにしても、片道で5日かかる日程。向こうで師匠の奥さんとすぐに会えるかもわからないし、少し余裕が欲しい。
帰るまでもう2週間くらいしかない。
寄り道をしてると時間がいくらあっても足りなくなるからな。
瞬なんかは王都とか行きたがるだろうけど今回はパスだ。
。。。俺も王都の屋台制覇とか惹かれはするが。
「なら王都の後にダンゴールまで送ろう。なに、王都はこの街からダンゴールに向かう途中にある。一緒に飛竜に乗っていけば時間的なロスもあるまい」
なんですと。。。
うわ、めっさ瞬が喜びそうだな。
しかし、飛竜か。
日程短縮にはちょうどいいかな?
疲れなくて済むし!
「相方がいるのでそっちにも聞いて見なければ即答はできませんが。しばらく返事を待ってもらうことはできますか?」
「わかった。私達は騎士団の詰め所で今後の手配などをしていると思う。夕刻までに決めてもらえるか?」
夕方か。
出発するとしても準備が必要だからそんなもんかな。
「了解いたしました。」
ラミールさんはその返事を聞くと、部屋から出て行ってしまったため、俺一人に。
瞬のところ行ってどうするか話し合うかね。
王都とかあぁいうにぎやかなところ行けばさっきみたいな黒い顔しなくてすむだろう。たぶん。
ダンゴール行くまでに気分転換、してもらえるといいなぁ。
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「ということがあったとさ。」
教会での件が片付いて孤児院に来た神威があったことの説明をしてくれ、これからどうするかを聞いてきた。
「。。。などと申しており責任能力につい「なんで犯人扱い!?」て今後も」
冗談ですがな。
うーん、行くのはやぶさかではない。
というかむしろ行って城とか見てみたい。
王都とかのにぎやかな街を見て異世界情緒を味わいたい。
ただ、だな。
まだ孤児院の依頼についての件が片付いてないんだよ。
「とりあえずギルド行こう。今回の件、失敗だって言ってこないと。」
神威はそやな。と席を立って動き出した。
その後を着いていく様に席を立ち、出口へ向かう。
出口に向かうまでにすれ違った子は、暗い顔をしてはいたが、僕の顔を見ると軽く会釈はしてくれた。
いたたまれないなぁ。
ギルドに到着してリオナさんに声をかけ、ギルドマスターの部屋に向かう。
「おう、来たか」
窓から外を見ていたダンはゆっくりと振り返り、こっちを見てくる。
「お前ら二人とも、Cランク認定だ。おめでとう。それにしても一週間とはな。」
へ?
孤児院の件失敗じゃないの?
「え、孤児院の件、襲撃の撃退に失敗して一人守りきれなかったんですが。。。」
「ん?お前の受けた依頼は『襲撃の撃退』だったのか?子守だろう?リリックとかいう司祭がさっき来て依頼完了と言ってったぞ。」
え?あぁ、たしかにそうだった。
「リリックが言うには、確かに一人犠牲は出たが、その他の子に対しての気遣いと心配りをしてくれたおかげで深い傷にならなくてすみそうなので子守としては依頼成功として扱えと。」
「そうなんですか。。。」
僕なんかなんにもできてないのに。
リリックにお礼言わなきゃね。
「これで二人ともCランクとして認定する。以後精進すること。」
「はい」
「りょーかい」
ダンはにやりとした顔で、後で下のカウンターで正式な手続きしてこい、と投げやりに言う。
なんでそこで投げやりになるのさ。
ツンデレか。
「それと、カムイ。お前に国王から褒賞が出てる。王家からの指名依頼扱いだ。褒賞は金貨10枚だ。」
じゃらっとした貨幣が入った小袋を投げて投げて渡すのを神威は危なげなく受け取る。
「まいど。あー、ギルドマスター。あのお守り、助かりました。」
袋の中身を確認することもなく、鞄にしまい部屋を出ようとすると、ダンに引き止められる。
「まぁまてまて。カムイ、お前さんらこれから王都に呼ばれてるんだろう?たぶん謁見することになるだろうから身奇麗にしておけよ?」
え、謁見?
そこまで話でかくなるの?
とかうろたえてたら神威はあーやっぱりか、といった顔で、「へいへい。了解」と絶賛反抗期の子供のような態度で返事をしていた。
まさか僕まで行くとか言わないよね。
やだよ?そんな偉い人のところなんて。
飛竜に乗って王都行ってショッピングするだけでいいんだよ、僕は。
偉い人の相手は神威に任せる。
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「王都、一緒に行きますよ。」
騎士団の詰め所で、いままでの騎士団が行っていた悪事やら汚職やらの証拠を集めていたらしいラミールにそう告げる。
瞬もいつのまにか乗り気だしな。
「わかった。だがもう少し待っていて欲しい。ここの書類をまとめたら終わりだからな。夕飯は王都で出るだろうから食べずに待っていてくれ。詰め所の中にでもいてくれると助かる。」
「了解しました。終わりましたらお声かけください。」
告げることだけを告げるとまた書類に目を落とし、作業に没頭するラミールの邪魔にならないように部屋を出て、王剣たちが比較的来ないリビングのような部屋で座って待つ。
「ねー、神威。謁見とか言ってたけどどーするの?僕はいかないよ?」
「あー、おまいはそういうの苦手そうだもんな。適当に街ぶらついてりゃいいんじゃね?迷子にさえならなきゃ何しててもいいだろうよ。」
おこさまが迷子になるとか拉致されるとかそういうのだけ心配だわ。
子ども扱いされたのがわかった瞬はむーっとしているが全然怖くない。
むしろ可愛がられる対象にしか見えん。
待っている間の時間が勿体無いから刀の手入れでもしよう。
鞄から濡羽黒烏を出し、テーブルの上に置く。
瞬は刀の手入れを見ている。というより、俺の刀に魅入っている。
「ねぇ、神威の刀ってお師匠さまから貰った奴だよね。なんでそんな刀身黒いの?」
うん、当然の質問だな。
「ガンドルフさんいたろ?あの人に鍛えてもらうときに他の素材を混ぜてもらったんだよ。黒鉄だったかな?黒くて硬くて太いやろ?」
「その言い方やめい。」
刀を刀油で湿らせた布で軽く拭き、汚れを取る。
その後刃先が欠けていないことを確認し、乾いた布で丁寧に拭いて油を取っていく。
本来なら柄を外して締めなおすとかまでやりたいんだけどそこまでやってるとすぐに出発できないだろうから後はまた夜に寝るときにでもやろう。
「いつ見てもすっごい冷気だねぇ、それ。でもなんか神威になついている感じがするよ」
「せやろ?」
まるで遊んでくれて、手入れをしてもらっている大型犬のような感じのする刀。
銘は烏だけど、どこか雰囲気は犬っぽい。
「そういやそっちの子はどんななんだ?嵐属性ってのは聞いたけど。」
瞬が雷を纏って襲撃者を撃退していたのは見たけど嵐属性ってのがずっと気になっていた。
そんな瞬も同じく刀を鞄から出し、俺が使っていた道具で手入れをしている。
「うちの子?この子は強化のとき素材を混ぜないで、属性付与だけしたよ。それが嵐属性。元々水は持ってたからそれに風と雷足したのが嵐属性なんだってさ。」
おおう。上位属性ってやつか。
そしてそれに気に入られている瞬スゲー。
「雷はうちの子にも付けられたんだけどな。どうせおまいが雷選ぶだろうと思って俺のは氷にした。相性もよかったみたいだから結果はこっちでよかったんだけどなー」
そういいながら刃先を軽くなでると頬ずりされているような感覚になる。
可愛いやつめ。
瞬の手入れが終わったところでちょうどお呼びがかかり、出発となった。
もう日は沈み始め、遠くの空がかすかに明るいだけで街自体は店から漏れ出る明かりのみで照らされている時間になっていた。
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広場で繋がれてていた飛竜の背にのり、日が沈んだ空へと飛び立つ。
飛竜の背には鎧を外したラミールさんを先頭に、僕、神威とで並び、ラミールさんと神威に挟まれた状態で固定されている。
前が見えない!
横を向けない!!
せっかく飛竜に乗ってるのに景色が見えない!!!
どういうことなの。。。
「瞬、楽しんでるかー?」
後ろからそんなのんきな声が聞こえるがふてくされた声で返事をするのは当然でしょう。
神威が少しだけ後ろにずれ、隙間を作ってくれる。
飛竜が飛んでいる間は風の結界とやらで風を受けず、体勢にさえ気をつければ正直飛竜の背に掴まっていなくてもいいそうだ。
夜の空だけど、上には雲ひとつない綺麗な星空、下にはぽつぽつとある街明かりといったかなり幻想的な風景。
ラミールさんが手招きをして、前においでとしてくれたので、回りこんで手綱を持つラミールさんの腕の中に抱っこされる感じで座る。
ラミールさんの飛竜は比較的大きい種類らしく、背中だけで4畳半くらいの広さがあるのかな。
転んだりしないようにだけ気をつければ意外と自由に動いても大丈夫ということだ。
飛竜の頭ごしに見える星空や街明かり。他に見えるのは明かりがない部分の漆黒の闇。
それがどんどん近づいては通り過ぎていく。
なんにもないところに向かっていくのは少し怖いもんなんだね。
そんな景色の流れに身を任せながら約1時間。
開けた場所にものすごい量の明かりが集まっているところが見えた。
「あそこが王都だ。もう5分程で着くぞ」
高度を下ろし、街というよりは確かに多い明かりの量で照らされている王都へ降りて空の旅を終える。
次は昼間にぜひ!
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騎士団の詰め所と思われる場所の開けた場所に煌々と照らされている着地マークに沿ってゆっくりと飛竜を着地させていく。
飛竜の羽ばたきで砂埃が舞い上がるが、揺らめいている明かりは全然揺るがない。魔法の明かりなのかね。
「ラミール様、お帰りなさいませ。」
着陸場で誘導をしてくれていた騎士がラミールさんに対して帰還の挨拶をしている。
伏せの体勢を取ってくれている飛竜の背から、ゆっくりと飛び降り地面に降りる。
着地の時にちょっと足がしびれたことは内緒だ。いいな?絶対に内緒だ。
そのまま瞬に手を貸し、瞬も飛び降りさせる。
やっぱり瞬は身軽よのう。
二人で服装の乱れを整え、ラミールさんのところに向かうとさっき挨拶していた騎士がこちらに気づき、挨拶をしてくれた。
「お二人とも。タタールト王国へようこそいらっしゃいました。王への謁見は明日の予定です。それまで当騎士団の宿泊所で疲れをおとり下さい。」
んー、やっぱり謁見は確定なのね。
ラミールに聞いてないぞと睨みを利かせると肩をすくめ、まぁあきらめてくれとだけ告げて騎士宿舎へ入っていってしまった。
「あの、謁見は僕も行かなきゃいけないですか?」
おーおー、さっそく瞬が逃げようとしている。
まぁ今回必須ではないから自由にさせてやりたいところだがどうでることやら。
「いえ、謁見自体はカムイ殿のみと伺っております。シュン。。。殿ですかな?明日の昼間から夕方までは自由に過ごしていただいてかまわないと言付けされています。」
だいぶ悩んだみたいだが、それで正解だ。騎士くん。
ちなみに瞬は最初に着ていた剣舞姫の舞踊着を着ている。
ただ、最初に着ていた時と違い薄い青のちゃんとしたドレスになっていて、上に羽織っていたジャケットもちょっと分厚いショールのような素材になっている。
その状態でよく男と見れた。褒めてやろう。
騎士に案内され、宿舎の中でもかなり上等な部屋に通される。
それぞれ個室だ。
広さは8畳くらいかな?
べっどもふかふかだし、出てきた夕食もうまかった。
そしてなにより、風呂がある!
こっちに来てから入れなかった風呂にかなりの時間入っていたせいで、のぼせてしまった。
いかんいかん。
部屋の中は裸でいるにはちょっと肌寒いので、下着の上に軽く羽織る。
ベッドに腰掛けると途端に眠気に襲われた。
ま、今日はいろいろあったしな。
明日のことは明日考えよう。
今日は寝る!!!
そしてベッドに倒れこむとそのまま意識を失うように寝てしまった。
当初目標としていた10pt達成!
pvも1000を越え、ユニークも500を越え。
読んでくれているみなさまに感謝!
来週は少し更新頻度落ちるかも(;´Д`)




