光神教会
22話書き上がりました
時間ぎりぎり(;´Д`)
22話 - 光神教会
今後の方針が決まったけど、まだ僕の3つの依頼のうち、孤児院での奴が残っている。
これを終わらせて、ギルドマスターからCランク確定のお墨付きを貰わないといけない。
満腹亭のはツンさんが唐揚げのレシピだけでとりあえず依頼は完了としてくれている。
あの後唐揚げを求めて客が押し寄せ、阿鼻叫喚の世界になっているらしい。
神威は子供の相手が苦手とか言って、その日はギルドで単発依頼をしてくるそうだ。
依頼が終わったらすぐにダンゴールという街にいる、お師匠様の奥さんの所に行くらしいので今日一日はその辺の準備でつぶれちゃうかな?
ダンゴール行きの馬車はミサの次の日朝早くに出るらしいのでタイミングはよかったのかもしれない。
朝ごはんを食べて宿を出て、市場で旅に必要なものを揃えていく。
食事、水、毛布やクッションや雨具。テントとか鍋はこの前買ったのがあるので今回は特に見ない。
あ、でも包丁の代わりになるナイフは欲しいかも。今は肉も野菜も同じナイフで切ってるから微妙にやりづらい。
「神威、なんか必要なものってある?」
「んあ?特にないと思うが?」
「んじゃこれでいいかね。」
午前中で買い物が終わってしまったので、一緒にお昼を食べて午後は自由行動。
神威は街をうろついて屋台を制覇すると意気込んでいた。
さて、僕は教会に行って、明日の打ち合わせでもしてきますかね。
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教会の場所はギルドで教えてもらっていたので迷わずについた。
街の北の端っこ、外壁のすぐ傍にあるためか、日の当たりが少しだけ悪いせいか空気がじめっとしている。
教会自体は、日本でいう、都内の小学校と同じくらいの大きさの建物と敷地で、小さいながらも教会の前には広場みたいなところもある。
広場ではここで面倒を見てもらっているであろう子供達が掃き掃除をしたりゴミ拾いなどをして明日の準備をしている。
まぁ小さい子供はそんなのを気にせず走り回っているが。
掃除をしている比較的大人っぽい子供に声をかけ、明日のミサでの依頼について担当者と話がしたいことを告げると、教会の中に通された。
教会の中は『教会!』といったイメージのままで、参列席と中央に走る通路の先には祭壇らしい場所と、その後ろには石で作られた女神像が飾られている。
そのまま奥のほうに進み、ホールの奥にある応接室のようなところに通される。
「ここでお待ちください」と言われ、部屋に一人残される。
応接室は結構腰深く座れるソファーが対面に設置され、真ん中には大理石っぽい石のテーブル。
壁際には高そうな花瓶が飾ってあったりうっすら火が入っている暖炉もある。
壁は白で統一され、家具は黒壇的な黒い家具で統一され、シックな感じでまとまっている。
金かかってそうだなぁ。
ソファーに座るとお尻がめり込んで抜けなくなるくらいやわらかい。
あれ、立てない。。。
手をついても着いた場所までもが沈むから起き上がるのに苦労した。
これが孔明の罠か。。。くっ。。。
がんばってソファーから起き上がると、座っていた椅子の後ろにいつの間にか来ていた神父服を着た青年が生暖かい目で僕を見ていた。
「ようこそ。光神教会へ。なにやらご用事があるとのことですが?」
せっかくソファーから脱出した僕の対面のソファーに座り、にまにましながら着座を促してくる。
くっ、またはまり込むのを楽しみにしてやがるっ。。。
できるだけソファーの手前の硬い方に腰掛け、沈み込まないように体重を前の方にかける。
なんとか体勢は保ててるようなのでこのままの姿勢で勘弁してもらおう。
「はい、明日のミサの間、孤児院の子供の面倒を見て欲しいというギルドの依頼を受けました。瞬と申します。依頼内容について詳細を伺おうかと思いまして。」
「そうですか。私は当教会、筆頭司祭のティーカイズと申します。」
「筆頭司祭さんですか。。。たしか依頼を出した方はリリックさんという方では。。。?」
鞄から依頼書を出し、再度確認するが、やはり依頼者名はリリックとなっている。
「リリックですか。正直あの子にそこまでの権限はないんですよ。依頼が受理されたってことはすでに前払いでお金は払ってあるんでしょうけど、当教会としてその依頼を出したという事はありません。」
ティーカイズと名乗った筆頭司祭はにこやかな笑みを顔に貼り付けながら答えてくる。
「え?ではこの依頼はどうすれば?」
「処理については私共にはわかりかねます。ギルドに相談してみてはいかがかな?」
「はぁ。。。そうですね」
「依頼という形ではなく、ボランティアという形で孤児達の面倒を見てくれるのは歓迎いたしますよ?」
「ギルドに報告してから考えます。ちなみにリリックさんはどちらに?」
「今の時間なら孤児院の裏で洗濯物でもしてるかもしれません。」
「わかりました。一応リリックさんのところに顔を出してからギルドへ向かいます。お忙しいところ失礼致しました。」
「いえいえ、ご期待に添えませんで。」
あいかわらずにこやかな顔を貼り付けたままの司祭は用事が終わったならとっとと帰れというオーラを出しているので、ソファーから立ち上がり、司祭を置いて部屋を出た。
なーんか胡散臭い奴だったな。。。
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ホールで掃除をしていたシスターさんに孤児院の場所を聞き、向かう。
場所は教会のすぐ隣にあり、なんだろう、昭和初期の木造校舎の学校のような形をしている。
入り口で遊んでいた子に聞くと、上から見たら凹の字のようになっていて、裏庭に洗濯などが出来る井戸と、水浴びが出来る小屋があるらしい。
話を聞いてくれた子に案内をお願いし、裏庭に移動する。
裏庭に出ると、井戸の前に座り込んで、水の入ったタライで洗濯物をしている男性が見えた。
案内してくれた子にお礼を言って、洗濯をしている男性の傍に近づき、声をかける。
「すみません、リリックさんですか?」
下を向いて洗濯物をしていた男性は手を止め、顔を上げ、僕の顔を見て赤面した。
やめてください。
リリックの見た目は15歳くらいの少年でで紺髪、碧眼の西洋顔。
身長は僕より高い。くっ。
「は、はい。リリックは僕です。」
「瞬と申します。ギルドの依頼の件で来たんですけど時間ありますか?洗濯物しながらでいいんですけど」
「洗濯物はあと2~3枚で終わりなので少しだけ待ってもらえますか。依頼の件、ここでは話しづらいので後ででいいですか?」
「はい、大丈夫です。お忙しいところすみません」
待ってて欲しいとのことなので井戸から少し離れたところに座り、リリックが洗濯物を終えるのを待つ。
周りをよく見ると裏庭ではリリックが洗濯したものを物干し台に干している子や、お昼ご飯に使うであろう野菜を井戸水で洗っていたりする子がいたりと何人かがせわしなく動いていることに気づく。
うーん、この子たちに聞かれちゃまずい話。。。ってことはないよなぁ。
何で個室で?
司祭に対しての愚痴でも始まるんかな?
なんてことを考えてたらリリックが洗濯を終えてこちらに近寄ってくる。
小さな女の子達がリリックの腰にしがみついてわーわー騒いでいるのは実に微笑ましい。
「おまたせしました。シュンさんでしたっけ。お話をさせてもらう部屋へ移動しますがよろしいですか?」
「はい、大丈夫ですよ。」
木造校舎の中に入り、二階へ上がる。
職員室の様なところがあり、その部屋の奥に応接室のような部屋があった。
教会の応接室とは比べ物にならないほど質素だが、綺麗にしてある。
こちらの部屋はソファーではなく、木製のテーブルと椅子だったが、正直座るのはこっちのほうがいい。
さっきみたいに沈まなくていいだけ助かる。
「すみません、ちょっと子供達に聞かせたくない話もあったので」
「いえいえ、かまいませんよ。でも子供の面倒を見て欲しいという依頼で子供に聞かせたくないというのはどういうことでしょう?」
「子供の世話をお願いしたいというのは間違っていません。実際ミサの間は僕らは教会に詰めているので何も出来ないですし。」
「ふむ。ではなにか別のことがある。と?」
「Fランク依頼でこんなことをお願いするのは心苦しいのですが、はっきり言うと子供達の護衛です。」
護衛?
ミサに来る奴で子供に乱暴する奴でもいるのか?
「実は。。。とある事情がありまして。詳細を話すとシュンさんを巻き込む形になってしまうので言えないですが、子供達が誘拐されようとしている計画があることがわかっています」
「誘拐!?」
そりゃ子供達には聞かせられないわな。
「声は静かにお願いします。。。ミサの間、孤児院に大人がいなくなることを知っている奴らが子供達を攫って奴隷にしようと話をしている奴らがいるということを酒場の主人から聞きました。」
「このことは筆頭司祭には?」
「当然言いました。だがほっとけと伝えられ、何もしようとしていません。それどころか、その件を表に出すなと厳命されるほどで。。。」
「なんだそれ。司祭が黒幕って言ってるようなもんじゃ。」
「そうなんですよね。怪しすぎるんです。その話をした後、僕の神官位も一気に格下げされ、第6司祭補佐見習いなんていう立場に。。。くっ」
「それ見たとき思ったけど、ひどい役職名だよね」
「一時は第6司祭鞄持ち見習い補佐代理。とかもっと低く見られる位にされていました。長ったらしい割には新人神官どころか一般人より低い位置にされてたんですよ。。。」
「なにそのどこぞの政治家秘書にありがちな制度。」
ひどいでしょう!と意気込んで愚痴を言ってくるリリックに対し、詳細な話を求める。
「筆頭司祭が黒幕、というのはまだ憶測でしかないです。だから筆頭司祭を追い詰めるよりまずは実行犯をどうにかする方が先かな。と思った次第です。」
「騎士団とか警備隊とかそういうのには言わなかったの?」
「すでに筆頭司祭から話が行っていたらしく、相手にされませんでした。実害が起こってから再度言いに来いと。」
「どこのも腐ってるなぁ。事前対処って出来ないんだろうかね。」
「ですよね。。。まぁそういうことなので、事前対処は出来ない、といったのが現状です。」
そういって机に突っ伏して頭を抱えているリリックを前に考えをまとめる。
黒幕、もしくは上位関係者は筆頭司祭でまぁ間違いないだろうね。
黒幕は貴族ってこともあるけどまぁそこには手を入れられないだろうから今は放置。
実行犯については人数と質を知りたいもんだな。酒場に行けばわかるかな?
実行されるタイミングはミサの間だけ?
その後の夜討ちとかは問題ないんだろうか。
こういう場合、ギルドでの扱いってのはどうなるんだろうなぁ。。。
ちょっと相談してみるか。
しっかり。。。どこの話も教会上層部ってのは真っ黒だなぁ。
とりあえずギルドに依頼の件を相談してみるとリリックにつげ、席を立とうとすると、子供達のためにあまり大事にしないで欲しいと切望される。
気持ちはわからなくもないが、それは相談した上で、だよ。
すくなくとも『Fランクの依頼』じゃない。ということをリリックに告げると、涙目でしがみつかれた。
うーん、泣き落としとか好きじゃないんだけどなぁ。
「これが『Fランクの依頼』だから相談するって言ってるんだよ。ランクの再算定してもらって、妥当なランクの人に来てもらった方が確実じゃない?」
「そうなんですけど、僕が自由になる費用がないんです。今回の報酬だって僕の手持ちですし。」
「そういうのを含めて『相談する』って言ってるんだよ。冷たいと思うかもしれないけど、依頼の難易度にあわせた評価ってのは必要だと思うんだよ。」
「そんな。。。」
「あ、受けないって言ってるんじゃないよ。もしかしたら僕が受けられないほど高ランクの算定が出ちゃったら無理だけどそうじゃないなら検討はします。」
「ううう。。。」
だから泣き落としは好きじゃないんだって。
「とりあえず情報を集めてギルドで相談。これは確定とします。複数の人間には広めないことを誓います。相談が終わったら夕方にでもまた来ますよ。」
「わかりました。。。では夕方に。」
あきらめたのか腹を決めたのかはわからないが、こっちを見据え、お願いします。と言ってきたのではいよ。と返事だけして、孤児院を出る。
どうしたもんかな。
あとで神威にも相談しなきゃな。
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まだお昼時で夜の準備をしている酒場に入り、中で下準備をしていたマスターと思われる人に声をかけて、教会の件を聞いてみる。
話をしていた男達は5人。
あまりこの街で見かけない奴だったらしい。
ごつい奴が4人と痩せた奴が1人。痩せている奴はローブ姿だったらしいから魔術師かな?
さすがに計画している内容とかまではわからなかったらしいが、それは当たり前だろう。
その5人が話をしていたのは約一週間前。
それからは街でも店でも一回もそいつらを見ていないらしい。
うーん。
どこかに潜んでいるのか匿われているのかな。
情報に感謝し、店を出て、ギルドに向かう。
相変わらず空いているリオナさんの所に行こうとする途中に神威がテーブルに座って冒険者達と話をしているのを見つける。
「神威ー。暇なら手伝ってー」
「ん?なんだ?ギルドはおこさまがくるところじゃねーぞ?」
あのときのボナンさんの真似をしながらテーブルから声をかけられる。
「はいはい。似てる似てる。そういうのいいから。ちょっと厄介ごと。」
「うい、了解。じゃ、みんな、すまんな。彼女と夜の闇に消えてくるわ」
一緒のテーブルに座っている奴らにがんばれよ!とかやっぱりそういう関係なんだ、とか言われているが神威は後で〆る。
リオナさんのカウンターでダンへの面会を依頼すると、5分もしないで面会許可が出た。
階段を登り、ギルドマスター室へ向かい、部屋を入る。
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「ということで、受けた依頼が相応ランクじゃなかった場合はどうしたもんでしょう?」
「うーん、話を聞いた限りではB~Cランク依頼だな。実行犯の生け捕り、という形ならBランクは確定だな。」
「ですよねー」
話がわかっていなかった神威がやっと内容を理解したうえで、やるの?といった目でこちらを見てくる。
「依頼主からの要望で騒ぎにしないで欲しいということも言われています。もしBランク依頼だった場合、どのような対応になりますか?」
「子供の世話についてはそのままFでいいだろう。ただ襲撃に対する備えはB~Cランクの対人戦闘にこなれた人間を数人つける。」
分業か。
そしたら僕はこのまま子供の面倒を見るということで、万が一のときの為に子供達の傍に。
襲撃者への対応は外の人に任せる、ってことでいけるかな?
正直ゴブリンの一件から対人戦っぽいのはまだ勘弁して欲しいからちょうどいい。
後は報酬の話か。
「あと、依頼主は当初支払われている銅貨5枚しか出せないとのことですが、その辺はどうしましょうか?」
「警備隊や騎士団は丸め込まれてるんだろ?そこをつつくだけで金なんかいくらでもむしりとれるさ。」
「さいですか。。。じゃあ依頼主にはそのように伝えても?」
「大丈夫だ。問題ない」
有名な台詞をダンに言われ悔しそうに悶えている神威を連れ、ギルドを出る。
「なんか深そうなことになっちゃったなぁ」
「トラブルメーカー気質だもんな、瞬は。あきらめたまえ」
とかいいながら頭をくしゃくしゃしてくるのはやめてほしい。
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夕方になるまで神威と屋台めぐりをしたり、魔道具屋を冷やかしにいったり、して時間をつぶした後、再度孤児院へ向かう。
孤児院の入り口ではリリックが掃き掃除をしながら待っててくれたみたいですぐにさっきの部屋へ通される。
「お待たせしました。ギルドへ相談した結果をお伝えします。」
処刑宣告を受けるような顔をし、椅子に座りなおすリリックに向かって、説明を開始する。
神威は後ろに立っている。
なにこの威圧感。
「当依頼はBランク依頼となりました。」
愕然とし、またも涙目になるリリック。
「ただし。」
びっくりマークが頭の上につくくらいの勢いで顔をあげたリリックに内心苦笑しながら、子守と襲撃者対応を別案件として取り扱うことと、依頼はあくまで子守の分だけでいいとのこと、など、ギルドで決めた事を告げていく。
子守依頼は僕が受けるということを告げるとリリックはとうとう涙を流し、机に頭をぶつけながら感謝をしてくれた。
そこまで感謝するもんかねぇ。
ま、いっか。
襲撃者対応はダンさんがどうにかしてくれるだろうから僕は僕で子守をがんばろう。
あくまで子守だけだよ?
決定事項を告げた後もリリックはずーっと調子が変わらないので、放置して孤児院を出る。
宿に戻り、軽い夕食を食べた後、部屋に戻り明日に備える。
念のため嵐雷鵺の手入れをしておこう。
なんかこの子、張り切ってないか?
やらないよ?
話がまとまらなくてどうやって集約するか悩んだ結果こうなったよ(;´Д`)
もう疲れたよパトラッシュ。。。




