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襲撃される側の準備

23話です。

短いですがきりのいいところで。


23話 - 襲撃される側の準備


日が昇り始める頃、瞬は孤児院のリリックの所に依頼のためにすでに宿を出た。

昨日瞬には言わなかったが、襲撃者の撃退組に入れてもらおうかと思っている。

単発依頼だし、別に嘘はついてないよな。うん。


宿で出される朝ごはんも食べずに小走りでギルドへ向かう。

ギルドホールではすでにダン(ギルドマスター)が選抜みたいなことをしていた。

一足遅かったか。


撃退組に選ばれたのは盗賊や山賊専門で討伐依頼を受けているチーム、盗賊狩り(ロヴァーズキラー)だった。


チームの名前がそのままなのは気にしないことにする。

某胸の薄い女魔術師を思い浮かべるのも気にしないことにする。


盗賊狩り(ロヴァーズキラー)は男5人のチームで、斥侯2、盾1、遊撃1、後方1のチームで、いままでアルファミラ近辺の盗賊、山賊を現れるたびに討伐しているベテランらしい。

チームランクはB、個人ランクはCという、連携を行うことで実力を発揮するチームということだ。


今回の襲撃者の人数によっては適任なのかもしれない。


盗賊狩り(ロヴァーズキラー)の面々は依頼受注処理を素早く行い、さっそく孤児院近辺の見通しのいいところなどに潜伏するとのことで、ギルドから出て行った。

選考会に参加していた冒険者達は、ギルドに残り依頼掲示板を見始める人や、テーブルに着き食事を開始する人、ギルドから出て行く人、と行動を開始していた。


カウンターの後ろで受付嬢たちに指示を出していたダン(ギルドマスター)が俺を見つけると顎をくいっと動かし、部屋に来いと告げてきたのでカウンターを抜け、ギルドマスター室へ同行する。


「いらっしゃいましたよ」


扉をくぐり、机の向こうに座っているダンに対して挨拶をする。


「おう。坊主の方はもう孤児院行ったのか?」

「はい。日が昇ると同時に孤児院に行ってるはずです」

「わかった。襲撃者に対する人選はお前も見てただろう。あいつらなら大丈夫だ。」

盗賊狩り(ロヴァーズキラー)でしたっけ。対人なら問題なさそうですけどね。」


少し考え込むような顔で、さっきの5人に対しての評価を頭の中で考える。

ダンはその様子を不思議に思ったのか、その言葉に対して問いかけてきた。


「対人なら。っていうのはどういうことだ。魔獣でも連れてくるってのか?」

「あー、いや。俺がいたところで口伝として伝わっている物語のなかに、こういう話もあるんですよ。よくあるパターンが魔獣を連れた魔物使い(テイマー)だったり、召喚師(サモナー)だったりが混ざってるとかで、最悪なのだと、悪魔付きがいたりとかってのもありますね。」

「ふむ。おまえのいたところはどういうところなんだか。それが起こると?」

「あくまで可能性ですよ。ただ、教会、司祭、奴隷、冒険者ってキーワードが出てくる話としては、だいたい追い詰められた司祭が悪堕ちして、魔人化するとかが定番ですね。」

「そう聞くとそうなってもおかしくないと思えてしまうのは不思議だが。」


よくある設定だよな。

瞬ほどこういうの(ファンタジー)読んでるわけじゃないからあんまり数は知らないけど、だいたいは間違ってないだろう。

使い古されたパターンだしな。

フラグ立てておいて回収作業、お疲れさまです。


「複数のあわせ技という事例もありますよ。魔物使い(テイマー)だったり、召喚師(サモナー)が街で騒ぎを起こしている間に実行犯の行動、その後追い詰めた実行犯が発狂、覚醒。とか」

「ひどい話だな。で、おまえはどうしたい?」


ダンはニヤニヤしながら俺にどうするかを聞いてくる。

わかってるくせに。


「ん?俺に何かをしろと?人選はもう終わってるんじゃ?」


同じくニヤニヤしながら返事をしてやると、ダンはくっくっくと含み笑いをしながらやはりお前は面白い。とかわけのわからないことを言い出し、こっちに何かを投げつけてきた。

何が面白いんだか。


「これは?」


投げつけられたものを見てみると、なにかのペンダントのようだ。

ただ、チェーンはなく、ペンダントヘッドだけで、かなり大きめの緑色の石がはまっている。

エメラルドとかあぁいう透明な宝石的なものではなく、どっちかっていうと磨かれる前の翡翠のような石っぽい質感のものだった。


「魔よけだ。もっとけ。」


魔よけですか。

あとで鑑定してみよう。


「お前の行動については制限せん。好きに動け。ただ迷惑をかけるなよ。」

「かしこまりー。だが、やってしまっても構わないんだろう?」


お決まりの台詞を言えた!と内心喜んでいたが、そんなことは気にせず、ダンに「自重しろ」とか言われてしまった。解せぬ。


----


日が昇る頃に孤児院についてリリックと最後の打ち合わせを行う。

ミサ自体はお昼前くらいから始まるらしいので、施設内の説明を受けたり、子供らの朝ごはんの準備を手伝ったりしていた。


「シュンさん、料理が上手なんですね」


一緒に調理場で料理をしているカーミラさんという女性に料理の腕を褒められるが、そんなことはないですよ。と言っておく。

たぶん料理スキルのせいだしね。


朝ごはんは子供達みんなで食堂で食べるらしい。

大体、上は15歳、下は3歳くらいかな。それより小さい子もいるらしいがそれは別室で面倒を見ているらしい。


「今日の料理をしてくれたシュン、カーミラと、食材になった命へ感謝します」

「「「「感謝します」」」」


リリックが食前の祈りを捧げ食べましょう、と声をかけると同時に戦争が始まった。

子供達は大皿からおかずを取り合い、口に投げ込み、味に感動している。

ものすごい勢いでテーブルの上に出した料理が消費されていく中、僕たちの分だけは別皿で確保されていたのでゆっくりもそもそと食べる。


作ったのは市場で仕入れてきていた鶏肉のトマト煮込み。

こっちではマトマとかいうまがい物っぽい名前で売ってたんだけど、味見させてもらったらまるっきりトマトだったのでこの料理にしてみた。

残ったスープを黒パンに浸して食べるのも美味しいからね。


ご飯を食べ終わった子から食器を片付け、各々食堂から出て行く。

最後に残ったのは僕とリリック。

リリックはそろそろ教会へ向かうとのことなのでまかせといて。とだけ伝えてリリックを送り出した。


さてどうしたもんか。


この話を知ってる人は誰もいないらしいからなぁ。


いつ襲撃があるのかはわからないけど用心はしておきますか。


----


朝飯がてら孤児院へ向かう途中の屋台で肉串やパンを買い、かじりながら街中を歩く。

教会の方向へは結構な人の流れがある。

あれだ、初詣の時の神社の様相が一番近いかも。


人の流れを見ていると南西門や北東門から続々人が入ってきているから、どうやら他の街からも人が来ているようだ。


まぁこれだけ街の外から人が来てたらならず者が入り込んでてもわからないだろうな。


人ごみをかいくぐって教会のそばまで移動するだけで疲れる。

裏道使えばよかった。


歩いている人が話している内容を盗み聞きしてると、ミサ自体は昼前くらいから始まるそうだ。

今がだいたい9時くらいかな。あと2時間近くあるんだな。


この状態で襲撃に適した場所ってどこだ?

もうすでに孤児院近辺に潜伏してたりしないだろうな?


孤児院の方に行こうとすると盗賊狩り(ロヴァーズキラー)の斥侯役だかをしている人がこっそり近づいてきて「あまりキョロキョロするな」と注意をされた。

失敗失敗。


孤児院の傍の隠れやすい場所、見通しのいい場所、といろいろな条件を考え、自分ならどうするかを考え、場所を確認していく。


ミサが始まるまであと1時間ほど。


開始と同時に、ってことはないだろうけど。


いっちょ気合いれますか。


着々とpv数とユニークが伸びてきています!

読んでくれている皆様に感謝!

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