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再会

18話書き上がりました。

少し短めですがお楽しみください。

18話 - 再会


「神威!!!」


宿のベッドの上で夕食前に居眠りしようかとまどろんでいると部屋の扉が急に開いてなにかが飛び込んできた。

そのままベッドにいる俺のところまで突進してきて押し倒される。


飛びついてきたものをよく見ると瞬だった。

当の本人は半分涙目で俺を見上げている。


なにこのかわいい物体。


「なしたん?そんな涙目になって。依頼は終わったのか?」

「。。。まだゴブリン。。。のしかやってない」


何かを思い出したかのようにまた下を向いてしまう。

あぁ、もう泣くな泣くな。話なら聞いてやるから。


その後夕食までゴブリンの依頼の間にあったいろいろを聞いた。


「そういう葛藤って人を殺すとかって時に考えるのがパターンじゃないんだっけ?」

「じっさいに話が通じて友好的とまで行かなくても敵対していない魔物とかだったらどう思うのさ」

「ま、そりゃそうか。しばらくは街中依頼だろ?気分転換になるんじゃないか?」

「時間を置けば気にならなくなるってのはわかるけど、しばらく討伐は無理。。。」

「しっかしこのチケット、魔物の言葉もわかるんか。なんでもありだな」

「だね。だからこそこういったことになったんだけどね。」


苦笑いしながらベッドに座り足をぶらぶらさせている瞬を見て、どうしたもんかと考えるが答えは出ない。


「よし、とりあえずうまいもの食いにいこう。あとついでにあの食堂の依頼もやっちまおう。」

「。。。うーん、そだね」


----


乗り気じゃない瞬の手を引いて市場のほうに歩き出す。

市場ではこの後の依頼で使うであろう、油や鳥の卵や黒パン、醤油っぽいソースと野菜類を買った。

包丁に似たナイフや底の深い鍋なども見つけたので買っておく。

合間合間で見つかる屋台で買い食いをし、腹を満たしていく。


もうすぐ日が暮れるこの時間、光の位置がだいぶ低くなった上に、屋台や露天での明かりはまだついておらず、全体的に薄暗い。

だからなのだろうか。

人の集まるところでは時たま諍いが起こる。


「おい!てめぇ!オマエのところで買ったこの剣、とんだ不良品じゃねぇか!一回たたきつけたら折れたぞ!!!」


一つ隣の通りにいても聞こえるような大声で露天主をしている女の子に怒鳴りつけているフルプレートを着込んだ大柄の男がいる。


女の子は見た目12~3歳くらいだろうか、座っているから身長とかはわからないがだいぶ小柄な体つきをしている。


鍛冶仕事をするような全身エプロンをつけているがこの子が鍛冶を?あぁ、ガンドルフさん所の子じゃないか。

その露天の方に近づいて周りで見物している客にまぎれこむ。


「だから貴方には使えないって言ったじゃないですか。それでもいいって買っていったのは貴方ですよ」

「うるせぇ!使えねぇもの売りつけやがって!武器の分と謝罪の意味で金貨15枚を払え!」


金貨15枚とはずいぶんだな。

いらないとは思うけど一応加勢にいくか。


「瞬、ストレス発散に行くか?」

「ん?あの子知り合いなの?ほっといてもいいけど」

「あの子にコネ作っておくといいことあるぞ?」

「ふーん、んじゃ行きますか」


見物客を押し寄せ二人で露天の前まで移動をする。


「はいはい、ごめんよー」

「おっさん、一歩下がってー。おくちくさーい」


露天の子に向かって軽く挨拶をすると向こうも気づいたのか口を出すのをやめてくれる。


「んで、おっさん、折れた剣ってどれ?」

「はぁ?オマエ達には関係ないだろう!それともオマエが替わりに金貨20枚払ってくれるのか?」

「値段上げてんじゃねぇよ。ったく。何をどーして買った剣が折れたのか説明しやがれ」

「よく切れる剣だっていうから買ったのに岩蜥蜴(ストーンリザード)を一発叩いただけで折れたんだよ。不良品以外のなにものでもないだろうが。」

「おまえ馬鹿だろう。なんで岩蜥蜴(ストーンリザード)狩るのに鈍器じゃなくて剣で叩いてるんだよ。あぁ、馬鹿だからそういうのもわからないのか」

「なっ。。。。舐めてんのか!このやろう!!!」

「えー、おっさん汚そうだから舐めたくない~」

「同意」


折れた剣を持った手をプルプルとさせていたおっさんは持っていた剣をこちらに投げつけてくる。

露天の前に立っているから避けちゃうと後ろの子に当たるなぁ。


鞄から居合いのように濡羽黒烏(ぬれはのくろがらす)を抜き、飛ばされてきた途中で折れている剣を地面に叩きつける。

その早業に観客は歓声をあげ、隣で見てる瞬も目を見開いている。

飛ばされてきた剣は地面に突き刺さり、完全に凍り付いている。


あぁ、銘入れてもらったから自慢するんだった。


「いいだろ、この刀。」

「うん、うん。なにそれすっげー」

「その辺の話はあとでな。」


ほんとはもっと自慢したいが、まずはこのおっさんの排除だな。

濡羽黒烏(ぬれはのくろがらす)はこんなおっさんに使うのはもったいないので再度鞄に仕舞いこみ、体術で応戦する。


露天に置いてあった縄を借り、つい先ほどまで忘れていた『捕縛スキル』を使用する。

身体からふっとなにかが抜けた感じと共に、縄が勝手に動き出し、おっさんを縛る。


うん、なんでそこで亀甲縛りなのかは聞かない。

ほら、観客のお姉さんとか数人が顔赤くしてるじゃないか。


瞬が縛られたおっさんの前に投げつけられた剣を地面から抜きもって行く。


「ねぇ、おっさん。こんなの投げつけられて怪我したらどーすんのよ」

「知るか。不良品売りつける方が悪いんだろうが」

「ねぇ、神威、これほんとに不良品だとおもう?」

「ん?見てみるか?」


そういって鑑定スキルを使用する。


----

武器:折れた銘なしの幅広剣(ブロードソード)(高品質)

長さ:150cm

重さ:5kg

攻撃:+35

敏捷:+1

器用:+1

特殊:剣術スキル保持者は使用不可


鍛冶師ガンドルフによる量産品。

刃は鋭く、刃を引くことで切れるように調整された剣。


岩蜥蜴(ストーンリザード)と戦闘中に逸れて大岩を攻撃した為破損。使用不可。

----


「。。。なぁおっさん。この剣の説明、買う前に聞いたか?」

「あぁ??そんなん聞かなくても剣なんてみんな使い方は同じだろう!!!」

「じゃあ、聞こう。お嬢さん。この剣の説明してもらっていい?」

「はいよ。『剣術スキル保持者は使用不可』。これでいい?」

「うん、十分。ありがとう」


おっさんは意味がわからず不思議な顔をしている。


「おっさん、剣使うってことは剣術スキルもちだよな。でもこの剣は剣術スキルの使い方じゃ使えないんだよ。そもそもなんだよ。岩蜥蜴(ストーンリザード)を叩いたんじゃなくて外して大岩叩いたから壊れたんじゃんか」

「なっ。。。。なんでそれを。。。」

「鑑定スキルって便利だよね。うん」


縛られたままのおっさんはそのままがっくりとうなだれ、見物客の後ろから、誰かが呼んだのであろう警備隊がやってきて連れて行かれてしまった。


「なんか不完全燃焼」

「ですよね」


軽口を叩いて露天の前を去ろうとすると、露天主をやっていた女の子がお礼を言ってきた。


「あの。ありがとう。」

「いえいえ。どういたしまして。」

「明日、親方の所に、顔出してくださいね。お礼、します」

「はいよー」


瞬がいいの?といった顔で見てくるが気にしないで市場を戻り満腹亭に向かう。


「さ、ここからは瞬の腕の見せ所だぞ。この依頼終わったら刀の事、教えちゃる」

「まじで!じゃあとっとと終わらせる!!」

「豚肉はいっぱい用意してあるからな。」

「了解!」


うん、だいぶ元気が戻ってきたみたい?


ファンタジーで傷心したならそれ以上ファンタジーで楽しめばいい。


難しいことはいーんだよ。


だんだん神威くんの主人公度合いが増えていますね…


ひさびさの女の子キャラ登場。

さぁどうなりますかね?

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