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振り出しに戻る

仕事が早い時間で終わったので書いてみました。

16話ですよー


祝☆ユニーク200人突破!

16話 - 振り出しに戻る。


朝日が眩しくなってくる頃、テントの入り口から入ってくる明かりで眩しくて起きてしまった。

おはようございます。


もそもそと這いずるようにテントから出ると、ダンさんは焚き火のそばで朝ごはんを作ってくれていた。


「ダンさん、おはようございます」

「おう、おはよう」

「ご飯作ってくれてたんですね、ありがとうございます。」

「昨日の夕飯で美味しいもの作ってくれたからな。俺は食材なんてそんなに持ってないからたいしたことないけどな。」

「いえいえ、助かりますよ」


ダンが用意してくれたのはミルクベースのシチューっぽいスープだった。

昨日の夕飯で残っていた白パンを出し、それを千切ってスープにつけて食べる。

パンにスープがしみ込んでおいしい。

残った具をフォークに刺して食べる。

程よく煮込んであって味も十分しみ込んでいるからニンジンっぽい野菜もジャガイモっぽい野菜もほくほくで美味しい。


「この後ダンさんはどうするんですか?」

「ん?このまま街へ行くぞ。ギルドへ報告しにいかなきゃならん」

「そうですか。じゃあこれ食べ終わったら別行動ですね。」

「そうだな。あんまり森の奥にいくんじゃないぞ?」

「わかりましたよー。」


その後、調理道具を片付けて街へ向かうダンを見送り森の方へと移動を開始する。


「さ、いっちょやりますか」


----


森のそばまで近寄って奥に入っていけそうな小道を探す。

途中ゴブリンが通り道にしていると思われる獣道を見つけた。


これを辿れば巣までたどり着きそうだな。


腰に刀がちゃんとあることを確認し、ゆっくりと、できるだけ音を立てないように森の中へ進んでいく。


森の中は木々が生い茂り、木と木の間は広いところでも人が二人並んで通れるくらいの隙間しかない。


なんていうんだろう、密林?そんな感じ。

緑が多いからかものすごく空気が濃い。

少しクラクラくる。


30分ほど獣道沿いに進んだが風景に変化はなく、相変わらず『森!』といった場所にいる。


ただ、さっきからなにやら視線を感じるんだよね。

それも複数。

偵察かな。襲撃かな。


念のため刀を抜いて戦闘の準備をし、獣道をさらに奥へと進んでいく。

その際、木に目印をつけ、後からでも来れるようにしている。


さらに10分ほど進むと、さらに視線の数が増える。

細かくはわからないけど20~30はいそう。


ゴブリンって獲物を見つけたら速攻で襲い掛かってくるイメージしかなかったけどこいつらはなんか違う。

これはあれかな。よくある奴でゴブリンキングがいたりとかするパターンかな。


少し数を減らしておこうかな。


刀が振り回せる程度の広さのところを見つけて、中心に位置どる。


刀を構え、自身の気配を一度薄くし、その反動で一気に殺気と一緒にあたりにばら撒く。

近くにいたゴブリン達は殺気を浴び、半パニックになった状態で次々と襲い掛かってくる。

それを慌てず、確実に止めを刺していく。

仕留めたゴブリンの数が20を越えてもまだ視線はなくならず、木の裏、上、至る所にまだ隠れている様子がわかる。


「とっとと出てきてくれないかな?」


ゴブリンに対してそう言うが言葉が通じないのはわかっている。


もう襲ってくるゴブリンがいなくなったところで刀をふるい、血を払った後、視線を放置し、獣道をさらに先へすすむ。


その後ゴブリンの視線は徐々に減っていった。


----


戦闘から1時間ほどさらに奥へ進んだところ、急に開けた場所に出た。

だいたい半径500mはある平野のような所が森の中に急に出現した。

今いるところは崖の上の様になっているが、そこから5mくらい下に下がっている。

そこには竪穴式住居のような家が所狭しと並んでおり、巣というより『集落』だった。


「なんだこれ、すっごい数。」


住居の周りでは子供のゴブリンが走り回り、井戸の周りで洗濯や食材を洗っていたり、広場になっているところでは十数匹のゴブリンが戦闘訓練らしいことをしている。

行動しているのがゴブリンでなければ普通の『村』であろう。


ゴブリンってこんな生き物なんだっけ?

さすがにこれ潰すのは心痛むなぁ。


と葛藤と戦っていると、一匹のゴブリンが武器を両手で上げ、降参の様相でゆっくり近づいてきた。

念のために刀に手をやりいつでも抜けるようにしておく。


「オマエ、コトバワカルカ?」


え、ゴブリンが喋ってる?


「うん、わかるけど、人の言葉で喋れるの?」

「ン?オレハゴブリンノコトバデシカハナシテナイゾ。ゴブリンノコトバガシャベレルニンゲンガキタトキイタ。ソレハオマエダナ?」


えーと。僕がゴブリンの言葉を喋ってる?


。。。あー、チケットの翻訳機能か。

人間以外でも適用されるのか、これ。


「たぶん僕のことだね。特殊な魔道具で話ができるようになっているみたいだね」

「ソウカ。オマエ、ココニナニシニキタ?」

「ギルドからの依頼で巣の場所を探せと言われてきた。」

「ソレハコマル。」

「うーん、荷馬車の被害があまりにも多いからギルドもやっきになってるんだよね。どうにかならないの?」

「バシャヲオソッテルノハワカイヤツラダ。ムレノオキテヲムシシテヒトヲオソッテイル。」

「あー、どこにもいるんだね、そういうの」

「ワカッテクレルカ。ワシラハヒトトテキタイスルコトハノゾンデイナイ」

「んー、敵対派と穏健派とで数ってどれくらいいるのかな?」

「ヒトトテキタイシテイルヤツラハダイタイ200ヒキクライダ。ムレハゼンブデ500ヒキクライイル。」

「敵対200、穏健300かぁ。ねぇ、もし穏健派300がこの場所から移動するとしたらどれくらいでできる?」

「スワケシヨウトシテイタバショガアル。ソコニイドウスルダケナライチニチモラエレバイドウハデキル。」

「巣分け?あぁ、蟻とか蜂と同じようなものか。そしたら穏健派と敵対派とで別れられないかな?」

「カノウダ。ムシロヤツラヲオイダソウトシテイタガコチラガデテイクブンニハゼンゼンカマワナイ」

「なら一日待つからこの集落から移動して。残った奴らを殲滅してギルドに報告することにする。」

「タスカル。ワシラハヒトヲオソワナクテモイキテイケル。テキタイスルイシモナイ。ツナギビトヨ。カンシャスル。」

「どういたしまして。じゃあ期限は明日のお昼まで。僕は一回離れて野営してる。」

「ソレナラココヲアッチニイットキホドススンダトコロニヒトがツクッタイエガアル。ソコヲツカウトイイ」

「家?そんなのがあるの?」

「アァ。ワシラハチカヨレナイガイエガアル。イッテミルトイイ」

「わかった。見に行ってみる。それじゃ移動がんばって。」

「スマナイ。デハサッソクミナニセツメイシテクル」


そういってゴブリンは崖を下り、集落へ戻っていった。

ずいぶんと頭がいいゴブリンなんだな。。。

とりあえずは明日のお昼か。


----


集落から小一時間ほど進んだところに例のログハウスがあった。


「振り出しに戻る。かな?」


ログハウスに近づくと確かになにか押し返される感じもあるが、強引にすすむとすぐに違和感もなくなり、扉の前まで来れた。


扉を開け、中に入る。

つい2~3日前に来たのと同じ部屋が現れる。


先日と同じように机のところに座りしばらくぼーっとする。

頭の中に思い浮かぶのはさっきのゴブリンとのこと。


言葉が通じた。

これはチケットのおかげ。

それはまぁいい。

それよりかはゴブリンがあぁもしっかりとした考えを持って動いていることを知った。

それは明日戦う対立派とて同じだろう。


僕はやれるのかな。

きっと僕はどこかで小説やゲームの世界なんかと同一視していたのかもしれない。

たしかにこういった設定のゲームもあるかもしれない。

こういった設定の小説もあるかもしれない。


でも僕がここにいるのは現実だ。

切れば傷つくし、死ぬ。

同じように切られれば傷つくし死ぬかもしれない。


たしかに依頼はあった。

巣を見つけ報告。出来れば殲滅。


文字で見るのは簡単だし、言葉にするのも簡単だ。


ただ、知ってしまうとそれを実行に移すのがとても怖い。

ゴブリン達だって生きている。

いくら魔物といわれるカテゴリーの生物だとしても知恵を持って、生活をしている。


途中で襲ってきたゴブリン達を迎え撃つときでも何も考えずに殺してた。

たしかに襲われたのだから命を守る権利というものはあるだろう。

でも。。。


いったいどうしたらいいんだろう。。。


----


机につっぷして考え込んでいたら少し寝てしまっていたようだ。

外はもう日が落ち、暗くなっているが、この部屋の中は自動で明かりがつくらしく、適度な明るさで周囲を照らしている。


暖炉のそばにある台所で簡単な調理をし、テーブルに持ってきて夕食を食べる。


一眠りした頭でもさっきまで悩んでいたことに対する答えは出てこない。

頭の中で考えがループし始めたのでもう考えることはやめた。


ふと、棚の横に不自然なスペースがあることに気づく。


調べてみると地下へ続くはしごが見つかった。

棚にあったランタンに火をつけ地下を照らしてみると部屋のようになっているのがわかる。


ランタンの取っ手を口にくわえ、はしごを使って下に下りてみる。


そこは倉庫というか、なんだろう。ガラクタ置き場のように見えた。


武器も防具もアクセサリーも貨幣も服も乱雑に積み重ねてあり、ランタンの明かりを鈍く反射している。

ぱっと見で思ったのがドラゴンが守っている秘宝、的なもの。

金貨銀貨などの貨幣だけでひとやま出来上がっているし、武器や防具も適当に放り投げてある。


服を何着か手にとってみると、縫製のしっかりした冒険者向けの服装だったり、村人風の質素な服だったりとさまざまなものがあることがわかった。

そのうち、一着。普通の冒険者が着る様な服を上下探し出し、今着ている服から着替える。


普通の服があるなら最初からこれ着ていたかったよ。。。


選んだのは少し大きめの上下、コート。共に真っ黒な服。

縫製がかなりしっかりしているし、ところどころ赤のステッチが入っていてシックにまとまっている。


さっきまで着ていた服と交換しようとしたら手放したところでいつのまにかまた鞄に入り込んでいるのに気づきあきらめる。

まるで「それをすてるなんてとんでもない」とでも言わんばかりに。


武器は自分の刀があるのでじっくりとは見ていないが、Sランク冒険者の集めている武器だ。普通のものじゃないだろうね。


散らばっているものの反対側には簡易ベッドがあり、布団も一式すでに引かれている。


今日はここで寝て、明日。。。


----


いかがでしたかねー


リアル知り合いから「なんでそう王道からはずれようとするんですか」と言われたがそんなものは知らんw

主人公たちが勝手に動くもんでな。。。(・ω・)


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