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スマホの画面には、見覚えのない画像が拡がっていた。鋭い爪をもつ黒い影が、血で汚れたダイヤ型の枠の中でうごめいているかのようなデザインだった。
というかこれよく見たら、僕のスマホじゃない!
僕はポケットを他に漁ったけれど、持ち物はこのスマホ以外無かった。一体誰のものだろ
うか。
スマホの画面に『奥に進んでください』という文字だけが赤く浮かび上がった。
僕と彩音は、恐る恐る画面に表示されたダイヤをタッチする。けれど、何も反応が無い。
色々試したが、結局それ以降スマホは固まったままだった。
僕は呆然としていた。
何がなんだかわからない。頭がどうにかなりそうだった。
「… ん」
ふと顔を上げると、彩音がこちらをじーっと見つめていた。
なんだ… ?
何かを観察するような… 。
「とにかく、あそこの扉から、言われた通り外に出てみませんか… ?」
彩音は、優しそうな声色で僕にそう言った。
「でも、これがもし罠だったら… 」
「… もし私たちに何かしようとするなら、寝ている間にいくらでも手段はあったはずなん
です。でもそれをしなかったってことは、ここで何かをさせようとしているってこと… だ
と… 思い… ます」
そういうと、彩音は僕から目線を外し、スタスタと扉の方へと歩いて行った。
「ちょっと待って!」
今どんな状況か一切何もわかっていない。頭痛も酷くてどうにかなりそうだ。それなのに、
次々と僕の前に選択肢が現れる。
一体何が起こっているんだ… 。
僕はこの状況で一人きりにされるのが怖くて、彩音の後を慌てて着いて行く。
彩音は扉の前に着くと、僕に話しかけることもなく、一切躊躇せずその重い扉をゆっくり
と押した。
ギィ、と古びた扉を開けた音がする。
扉の向こうから光が漏れ出る。その眩しさに、僕は咄嗟に目を瞑る。
その光にもやがて慣れ、僕がそーっと目を開けると、扉の向こうは、どうやら会議室のよ
うだった。




