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番外編 戦う兎と食後の真相



5、6話の間くらいのお話になります

 

「ウサギって使い所あります?アドルフさん」

「ねーな」

「ですよねー」


 晩御飯も食べ終わり食器も洗い終わった後、休憩がてらにアドルフとだべっていると、ふと変身の使い道があるのかが気になったので聞いてみたのだけど、やっぱり無いらしい。

 いや、何となくは予想してましたよ?

 見てて、アドルフにとっては元の姿よりは小さくて細いみたいだけど、それ以外はこれといった何かがあるようには見えなかった。


「正直、あいつと戦った時はしゃがむより速かったから変身しただけだしな」


 あからさまに眉をひそめ首を傾げて、あいつって誰だ?と考えているとそれが伝わったのか「自称勇者」と補足されてあぁ、と納得。

 あれは本当に何分くらいだっただろうか。

 剣と剣がぶつかり合ってキンキンと音をだすだけだったから、うるさーい!って 叫ぼうか帰ろうか迷ったものだ。

 けど飽きた頃にアドルフが兎になって野郎の背後にまわって全裸で決めたんだっけ?

 数日前の事だけど私の記憶力は残念なため、うろ覚えだ。


「あの時は負けかけたからなぁ」

「啖呵きっといてですか?」

「ハハッそうだな。魔術が無かったら負けてた」


 えっ魔術とはどういう事だ。

 アドルフさんは苦笑いして私に懺悔した。


「実はあの時、ラルゴの魔術で人の動きがスローに見えるようになってたんだ。まぁ、それだけじゃないんだが」


 ラルゴが最初にアドルフにかけた魔術は2つ。

 転移魔術と指定した人物の目線を共有する魔術。

 そして突然護身に持っていた剣を鞘から抜き出し野郎に向けたため急いで使えそうな魔術、相手の動きが遅く見える魔術をかけた。

 だけど相手は勇者に選ばれただけはあるかなりの剣の腕の持ち主。

 後から腕力などの強化魔術をかけても互角の強さを持っていた。

 なかなか決着はつかず野郎は疲れた様子を見せないしこのまま続ければ魔力の無駄遣いのため、アドルフは一か八かの賭けにでた。

 それが兎。

 突然戦う相手が縮み驚いた一瞬のすきに強化した力を足に集中させる。

 装備なしの一般人なら痛がる所ではない、骨が折れるレベルの強さで蹴ってやれば野郎は膝をつき、大きな隙を作ることに成功する。

 そして背後に周り剣を突き付けて、あのドヤ顔である。

 アドルフの話を聴いていて一瞬ゲスいなとか思っちゃったけど、相手は鎧などのフル装備に対してこっちは鎧といった防具無し、普通の布の普段着のみだ。

 魔術でいろいろと強化してもらっていたみたいだけど。


「……まぁ、チート臭いですけど、相手が条件付け無かったのが悪いんですよね!それに、結局諦めてないし」

「ハァ。そこなんだよな。今も家の前で座り込んでんだろ?」


 アドルフはまた大きな溜息をはいてぐったりとした。


「あれ?アドルフさんって魔術使えないですよね?」

「魔力がないらしいからな。ヤマダちゃんもでしょ」

「そうですね。……確か、アドルフさんが魔術とか使えると思って、欲しがっていた気がするんですが」

「そんな事言ってたな」

「じゃ、じゃあもしそれがバレたら?」

「どっか行くかラルゴや師匠を勧誘するか」

「騙したなー!って切る。斧で」

「え、俺斧で切られるの?」

「はい。その時は、とばっちりなんてごめんですからね!では」


 私は会話に飽きてきてたので丁度良いと、2階の自室に向かった。



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