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番外編 アシュリーの後遺症



本編後のお話になります

 


 それは自称勇者と私が一緒に洗濯物を干していた時だった。

 自称勇者は私とコミュニケーションをとろうと必死のようで、よく話しかけてきた。


「アシュリーさん髪、伸びましたね」

「ん?ん?ん?何の事かな?」

「え、その、俺と森で初めて会った時は肩ぐらいまでだったのに、今はこの辺りだから」


 自称勇者は少し困惑顔で手を自分の胸辺りにあててこれくらいだと示す。

 確かに自称勇者と森で会った頃よりは伸びた。

 ラルゴの魔術で。

 闘技場での火傷の後遺症はそれはもう、かなり酷いものだった。

 全身火傷にハゲだ。

 ハゲ!

 ドラゴン状態で固い鱗が火から守ってくれたから、人間の姿で火あぶりされるより大分マシだったとラルゴに治療中言われた事あるけど、顔でこぼこだし、髪がなかなか生えないのだ!

 しかもそれに気付いたのも結構遅かったという。

 あの頃は毎晩枕を涙で濡らしてた。

 ガチで!!

 火あぶりにした奴らを顔面崩壊させたくてさせたくて仕方なかった。

 今じゃ顔の傷は大分薄くなってきたし、髪も十分伸ばしてもらったので次は胴体の方を集中的に治療予定だ。

 師匠は無駄だと言って痛みをひく魔術しかしてくれないから、ラルゴくんしか頼りにならない。

 だけど1日使える魔力が限られているらしく時間がかかる。

 治るだけマシか!と最近は前向きに考えることにした。

 のだけど、


「髪の色、変?」


 洗濯物を干す手を止めて自称勇者を見ると、どうしようといったふうに視線をあちこちとやっている。

 そりゃそうかもしれない。

 数秒待って帰ってきたのは自分の言葉への返答ではなく、聞いてもいない事をいきなり聞いてきたのだ。


「あの、綺麗だと思いますよ。はい」

「黒より?」

「黒?」


 日本にいた頃は私も周りの人もだいたいは黒色。

 染めていたとしても茶色とか金とか赤とかで、でもこの世界の人達は染めてるかは分からないが皆色とりどりなのだ。

 師匠は薄い黄緑色、ラルゴは明るい茶色、アドルフは私と同じ世界の人だけど金色、自称勇者は紫にオレンジのメッシュっぽいもの、そして私は真っ白。

 真っ白なのだ。

 もしかしてストレスの溜まりすぎでこうなっちゃったのかな?


「あの!アシュリーさんの黒い髪の姿、見たことないので絶対とは決められませんが、白い髪とっても綺麗で、アシュリーさんによく似合ってます!」


 そう言われるとなんだか嬉しい。

 髪を染めるなら金とか茶といったよく見かける色よりなかなか見かけることの無い色、もちろん若い人の中での話、にやってみたかったのでそれで似合ってると言われて、真っ白も悪い気はしない。

 言ってもらってばかりもなんなので、素直に自称勇者に言ってやろう。


「……あんたのも良いと思うよ。紫になんか良い感じにオレンジ入ってて、さ」

「……」


 ぁぁあああなんだか気恥ずかしい!!

 何か言ってよ!

 何これ、言わなきゃ良かった!

 俯いて悶えてからチラッと自称勇者を見てみる、と泣いていた。

 無表情で涙を流していた。

 うぇええっ!?


「本当に!いいなって思ったよ。嫌味無しで!格好いいなって!!」

「いやあの、違うんです。……なんでだろう?何だか懐かしい気がして」


 自称勇者はゴシゴシと目元を手で擦ってから笑ってみせた。

 それからすぐ「洗濯物干しちゃいましょう。アシュリーさんのも干しましょうか?」と明るく振る舞った。


 だが断るのが私だ。



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