第84話 学生になったからって別に部活にはいらなくてもよい
「さて、子ども編が終わって、次のターンから学生編がスタート。さて、各々の人生プランが見えてきたところ。ざっくり言うと、『フブキ』は体力ステータスが高め、『ヒヨテリウス』は知力ステータスが高め、『はるみ』はセンスステータスが高め、『あかつき』は資金が高めという感じになっています」
笛吹さん実況解説もやってくれるんですか?
予想斜め上のキャラ変に驚きを隠せないでいると、笛吹がサイコロを回し始める。
「おっ、早速、部活を選ぶイベントみたいだね。さぁ、択ゲーきたよ! ここから人生ゲームは面白くなっていきます!」
こんなテンションが高い笛吹は見たことない。
ゲーム×旅行×仲間という核融合でテンションが限界突破している様子だ。
あれだけ、リアルでの関わり合いを拒絶していた笛吹が、楽しそうにしている姿を見るのはなんか嬉しい気分になる。
「この部活イベントは全員が体験できるのか?」
「確か、そうだよ。確定イベントだと思う。さて、どれにしようか」
選択画面には野球部、サッカー部、テニス部、吹奏楽部、美術部……、おなじみの部活動が並んでいる。《アオハル部》なんてものは、当然ない。
「では、ぼくはサッカー部にしようかな。なでしこジャパンを目指します」
「笛吹がサッカーとか面白すぎるだろ。何回、天変地異が起こったらこうなるんだよ!」
「この手のゲームはバランスよくステータスを上げるより、特定のステータスに割り振った方がいいことが多いんだよね。ぼくは子どもブロックで体力ステータスが高かったから、体力を極めることにするよ」
「マジかよ……」
ここからアスリート系ガチムチ笛吹風雪が爆誕すると思うと、なんだか笑えてくる。
「おっ、練習でシュートを何本も決めたらしい。体力ステータスが爆上がりしたみたいだね」
「ちょっ、お前、もう体力ステータス『C』行ってるじゃん!」
「もうプロ行ってもおかしくないレベル」
俺たちのステータスが『F』とか『E』とかばかりなので、『C』がいかに異常な数値であるか見て取れる。
「では、次は我の番じゃな。部活選択じゃな。ふっふっふ。万年の魔女・ヒヨテリウスに部活など不要……ということで、部活は入らない」
「えっ、そんな選択肢も存在するのかよ」
どうやら部活を入らない、という選択肢も存在するらしい。
うちの学校くらい自由だな、おい。
「なになに……真っすぐ家に帰り勉強に励んだ。知力ステータスが上がった」
「勤勉すぎるだろ、万年の魔女・ヒヨテリウスさん!」
知力ステータスがどんどん上がっていく、比屋根操作するヒヨテリウスさん(魔女と言う設定)。
こんな魔女は見たくなかった。
「次は俺の番だな。まずは部活選びと……」
俺は決めている。
せめてゲームくらいは、中学高校デビュー成功させてくれ!
自分自身の人生のリベンジマッチをゲームでさせてもらうぜ!
「俺はテニス部を選択する! ターンエンド!」
改めてテニス部に入り、王道で青春を謳歌する!
そして、可愛い女子と付き合うんだ!
「うわっ。ちゃっかりリベンジしにいっているわよ、この人」
【悲報】赤槻さんに、俺の目論見がバレてしまう……。
「相変わらずの変態性。評価1.5」
「赤槻さん、なんでレビューみたいに俺を評価しているの? えっと……待って! ハートのマス、止まったんだけど!」
「こいつ……やりやがったわ」
「同じ部活の女の子と知り合った。え……枯葉咲じゃん! 枯葉咲だ! やった、枯葉咲と付き合えるかもしれない!」
「えっ、なにこれ、なんか外部が操作しているの、これ?」
「赤槻サン、オフラインなので、それはないかと……」
「うぐっ……やるじゃない、貴方……」
「よしっ、じゃあな、ガキ共。きみたちがじゃれ合っている間に、俺は幸せをつかみにいくぜ」
「まだ付き合っても無いのにいい気になりやがって。それに、貴方、忘れているかもしれないけれど、このゲーム、資金を持っている人が勝ちだから。ゆえに貴方の行動は何一つ意味ないのよ。さて、私の番ね。部活は勿論、入らないわ」
赤槻は講釈を垂れながら手番を進めた。
というか、部活を選ばないという選択肢を取った人が半数いるって冷静に考えればヤバいだろ。
改めて、この四人が《アオハル部》に入っていることが奇跡に思えてきた。
「何々……帰り道、百万円拾った。資金が百万円増えた。ラッキーね」
「交番に届けろよ、そんな大金!」
道端に落ちている金額のレベルじゃねえぞ。
……ガチでどうなっているだよ、あっちの世界の金銭感覚。
ゲームにツッコむのは野暮と思いつつ、ツッコまずにはいられない。




