第85話 ゲームでも現実でも金欠は辛いよ
笛吹が持っていた人生ゲームをプレイし始めた《アオハル部》の面々。
序盤である学生ブロックが終了した。
以下が途中経過である。
【フブキ: 知力;F 体力:A センス:E 資金:500万円 進路:プロサッカー選手】
【ヒヨテリウス: 知力:B 体力:E センス:F 資金:100万円 進路:大学生(有名大学)】
【はるみ: 知力:E 体力;E センス;D 資金:20万円 進路:大学生】
【あかつき: 知力;C 体力;E センス:F 資金2000万円 進路:社長】
といった感じになってもうてます。
……いや、ツッコミどころありすぎだろ。
まさかのガチガチアスリートに仕上がったフブキさん、そして秀才と化した魔女・ヒヨテリウスさん、ゲーム内でも普通すぎる俺、圧倒的な資金力を持つ実家太すぎ系社長アカツキさん。
さあ、いよいよ後半戦へ突入。
俺たちに、どんな人生が待っているのか!
「最初はぼくのターンだね。ぼくはサッカー選手として生きていくよ」
「綺麗に真逆の人生歩んでいるな、お前」
「おっ、順調に成長してレギュラーに昇格したみたいだ。よしっ、これで給料アップ」
「いいな~、人生満喫しているな~」
流石はゲーマー笛吹。
全てが順調に行き過ぎている。これがゲーマーの実力か。
……いや、サイコロ振ってランダムに起こるイベントを消化していくだけで、しかも択もそこまで無いので、ほとんど運ゲーであるはずなのだが。
ゲームの神様に愛されているというのか、この女は!
「よしっ、我の順番じゃ。運命のダイスよ導きを示せ! なっ⁉ 友達に騙されて百万円失った……だと⁉ 万年の魔女からお金をむしり取るとは、なんて罰当たりな!」
「うわっ、そんなイベントもあるのかよ! これはキツイなあ……」
「もう終わりじゃ……」
人生ゲーム、シビアすぎるだろ……。
今まで順風満帆だった真面目系魔女が、一気に窮地に立たされる。
どうなるか分からなくなってきたぞ。
「じゃあな、ヒヨテリウス。俺は彼女と幸せにやってるからよ」
余談だけど、俺は高校時代にテニス部の女子と付き合うことに成功した。
……ゲームじゃなくて現実にしてもらえませんかねえ?
「さぁ、華蓮ちゃん! 俺と幸せを歩もう!」
「ゲームの架空キャラをリアルの好きだった人として扱うの、流石にキモすぎるわよ」
「うっせ! これが非モテの生き方なんじゃい!」
「悲しくなってくるわね……」
「いくぜ! ん、えーと……彼女から詐欺にあい百万円、失いました。そして、それが原因で彼女と別れました…………はああああああああああああああ‼ 無慈悲すぎるだろ、このゲーム‼」
まさかの最悪イベントに、俺は言葉を失った。
ゲームとはいえ、ダメージがデカすぎる。
「あっはっは! 可哀そっ! 彼女も金も一瞬で、失うだなんて!」
赤槻が目に涙を浮かべながら、今まで見たことないくらい爆笑している。
「人の不幸を笑うな!」
「人の不幸は蜜の味って、よく言うじゃないの」
「もう嫌だ……。待って、俺の資金、マイナス80万円とかなっているんだけど⁉ まさかの大学生で借金生活突入⁉ 俺の人生、ハードモードすぎない⁉」
なんでゲーム内でも過酷な人生を歩まないといけないんですかねえ……。
「仲間じゃな。これから無一文同盟を組もうではないか」
「組まねえよ、そんな弱小同盟!」
「まあ、なんだ、そういう時もあるさ」
「なあ、笛吹よ。心のこもっていない慰めが一番傷つくんだぜ」
「私の番ね。えっと、金欠の友達が、お金をせびってきた。……って、貴方たちじゃないの! 私の足を引っ張らないで!」
どうやら、『はるみ『ヒヨテリウス』の無一文同盟コンビが、あろうことか友人の『あかつき』さんにお金を所望しているらしい。
こいつらにプライドとか無いのか……?
いや、逆か。
もはや、俺たちに頼れるものは実家極太の友しか居ないんだ……!
「「お恵みを、お願いします~」」
ゲーム画面には「お金をあげる」「お金をあげない」という選択肢が発生している。
俺たちは赤槻に手をすり合わせて祈る。
お願いします。もしお金くれたら、毎晩、あなたに頭を下げてから寝るようにしますから!
赤槻の決断はいかに……。
「えーと、『お金をあげない』っと」
こいつ、やりやがった。
「鬼! 悪魔!」
「魔女を怒らせたらどうなるか、思い知るがよい!」
こうして波乱づくめの人生ゲームは最終章を迎えようとしている!




